以前の小売業は、対面での交流が主流でした。消費者は店舗を訪れ、商品やサービスを購入したり、店員にアドバイスを求めたり、質問したりしました。小売事業者は、こうした関わりを通して、長期的で価値の高い関係性を消費者と確立することができたのです。

インターネットが普及するにつれて、ショッピングも進化しました。消費者は時間を節約するためにオンラインを使い始めました。そして、消費者が店舗での体験を諦め始めたことで、個人的な関係構築においてテクノロジーが取って代わり始めました。Amazonの影響力は拡大し、消費者は徐々に素早い配達オプションに慣れていきました。

その結果、店舗内の人間関係が急速にテクノロジーに取って代わられ、「デジタル振り子」が揺れたのです。しかし、現代の消費者の需要に応えるために、デジタル振り子はオンラインとオフラインのショッピング体験の融合に戻りつつあります。小売事業者はオンラインとオフラインの正しいバランスを見つけるのに苦労しているのです。

オムニチャネル戦略は購入額をアップさせる

消費者とより強固な関係性を築くために小売事業者が利用すべき技術と、対面での関わりの適切な組み合わせとは何でしょうか? 小売事業者はオムニチャネル戦略を用いて、いつでもどこでも、どんなデバイスからでも消費者にリーチする必要があります。小売事業者がテクノロジー志向の消費者とつながり、彼らを店舗に案内し、ロイヤルティを生み出し、コンバージョンを高める特別な体験を提供できる唯一の方法がオムニチャネルです。

オムニチャネル戦略を利用して消費者と関われば、購入前に商品を見せたり、補完品やアクセサリーを紹介することで、購入金額を3倍から10倍にすることが可能です。実際、BigCommerceによると、アメリカの消費者は買い物予算の64%を実店舗で費やしており、店舗でより多くのお金を使うことが確認されています。

Omni-Channel Retail in 2017(bigcommerce.com)
https://grow.bigcommerce.com/rs/695-JJT-333/images/the-omni-channel-selling-guide.pdfよりネットショップ担当者フォーラム編集部でキャプチャ

予約機能には信じられないくらいの価値がある

小売事業者がオンラインとオフラインの体験を統合する方法の1つは、消費者が店舗内の予約をオンラインでできるシステムを利用することです。予約機能は信じられないほど価値のあるもので、消費者が電子機器のような高額商品を購入したい場合やスタッフに質問がある場合、店内の専門家とのミーティングを予約することができます。これらの消費者は自分のお気に入りの小売事業者との関係を積極的に発展させたいと考えていますが、それはデジタル上で発展させることはできません。

おそらく予約の最も重要な要素は、消費者がオンラインでは体験することのできない、カスタマイズされたサービスが提供できることでしょう。たとえば、消費者が店内で電子機器の専門家と会いたい場合、店内のスタッフからアドバイスやデモを受けることができます。この種のサービスは消費者のロイヤルティを高めます。最終的に、消費者は満足して、場合によっては追加購入もしてお店を後にするでしょう。

予約はまた、大量のアップセルやクロスセルの機会を提供します。なぜなら、店内のスタッフは、最初の購入を補完する追加アイテムをおすすめできるからです。興味深いことに、First Insight Reportによると消費者の71%が店内で買い物をする際に50ドル以上を費やしているのに対し、オンラインで買い物をする際に50ドル以上を費やしているのはわずか54%に止まっています。

店舗をコミュニティを育てる場に変えよう

現代の店舗は経験がすべてです。店舗は同じ関心を持つ消費者の目的地になっています。たとえば百貨店チェーンのノードストロームは、店舗内での体験を便利で利用しやすいサービスハブとして再定義し、在庫ゼロ店舗を各地に開設し、消費者が注文を受け取ったり、交換できるようにしています。小売事業者が、これらの体験をオンラインで再現することはできません。オンラインで始めることができても、消費者との関係はオフラインで培われなければならないのです。

だからこそ小売事業者は、ブランドや店舗を、コミュニティを育む没入型の体験に変えなければいけません。デジタルの世界から実店舗に消費者を呼び込むために、特定のVIP会合、新商品の発売、事前販売などができます。また、イベントに参加する消費者にインセンティブやプロモーションを提供し、店舗で利用してもらうことも可能です。

イベントに参加する消費者に商品やサービスについてのフィードバックを求めることで、彼らと強い関係性を築く絶好の機会を得られます。消費者が店内にいるとき、改善の視点を大切にしていることを示すために、スタッフが直接意見を聞きます。これにより、消費者と店舗の従業員が顔を合わせて考えを共有することで信頼関係が確立されるのです。

小売事業者は消費者とより深い会話をすることができ、消費者はオンラインでレビューを書いて共有するよりも多くのインサイトを提供できます。対面での会話は信頼関係を築き、人間関係を築く上で非常に価値があるのです。

パーソナライゼーションにカスタマーサービスを定着させる

小売事業者は顧客データを分析できなければ革新できません。データを用いれば、オンラインからオフラインにまで拡張されたパーソナライゼーションを提供することができます。BRPの最近の調査によると、消費者の80%近くが「販売員によるパーソナライズされたサービスが、どこで買い物をするかを決める重要な要素である」と考えています。そして消費者は、より良い体験をするのに役立つなら、個人情報を喜んで共有します。

小売事業者は顧客データにアクセスすることで購買履歴を把握し、消費者との関係が最も良好な時期を理解し、個人的な関心を確認できるため、カスタマイズされたプロモーションや商品を提供できます。この顧客中心のサービスは、小売事業者が消費者を個人として扱っていることを示しています

小売事業者が消費者の行動を理解しているため、彼らをビジネスの中心に置いているのです。その結果、消費者はその価値を理解し、小売事業者が自分たちのことを本当に気にかけていることを知ることになり、より多くの商品を購入するようになるのです。

「デジタル振り子」を超えて成功するためには、小売事業者はオムニチャネルのアプローチで消費者とつながり、より高いロイヤルティとコンバージョンをもたらす豊かな経験を消費者に提供しなければいけません。小売事業者が独自のテクノロジーを使用する場合、店舗での重要な要素が欠落しているため、消費者とのより強固な関係を確立できません。デジタル体験と物理的な体験を組み合わせることで、一般的な消費者をブランドのファンに変えることができるのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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