瀧川 正実 2020/1/29 7:00
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欧米を中心に昨今メーカーが直接消費者とつながって商品を販売する、メーカー直販(D2C)モデルに注目が集まっている。イタリアの家電メーカーの日本法人である「De'Longhi Japan(デロンギ・ジャパン)」も、新たな顧客接点作り、製品のブランド価値向上という目的を掲げ、ECサイトを運営している。

そこで重要視しているのは、直営店舗と同様に、ECサイトでいかに消費者をおもてなしし、ECサイトを利用するにあたっての“使いやすさ”と“買いやすさ”を追及できるかだった。デロンギ・ジャパンの取り組みについて取材した。写真:吉田浩章

自社ECサイトは製品のブランディングが主目的

デロンギ社はイタリアの家庭用小物家電メーカーで、北部イタリアの都市ベネチアの郊外にあるトレヴィーソという町に本社を構えている。元々製造販売していたデロンギ・ブランドの製品群に加え、現在はブラウンのハンドブレンダーを中心とした家庭用小物家電の製造・販売も手がけ、全世界33か国に商品を供給している。「日本市場はさまざまな市場の中でも最重要マーケットの1つとして位置付けられています」(井上創介 オペレーション部 デジタル推進室 シニアマネジャー)

日本市場への参入は約40年前で、日本でのビジネスの歴史は長い。現在はヒーターや全自動コーヒーメーカー、ハンドブレンダーやケトルなどのキッチン家電など、日本の家庭に「手の届くプレミアム」商品を輸入・販売している。家電量販店や百貨店での販売の他、自社販売のチャネルとして表参道、御殿場および神戸三田のプレミアムアウトレットに出店。オンラインでは、自社ECサイト、Amazonでの販売やその他ECモールへの出店なども行っている。

デロンギ・ジャパンの製品
デロンギ・ジャパンが扱う製品

自社ECサイトは5年以上前に立ち上げていたが、主な目的は消耗品の販売だった。「オンラインが重要な顧客接点となることは明白でしたので、自社ECサイトの位置付けを明確化し、最終製品の紹介やブランディングにも力を入れていこうと考えてプロジェクトチームを組成しました」(井上氏)と方針を転換したのは約1年前。トップページやカテゴリページを刷新し、消費者にメーカーとして伝えたい情報を掲載するようにした。

スマートフォンなどを使って商品情報を簡単に検索できるようになったので、現在多くの家電メーカーは、自社チャネルにおいて商品の情報をしっかりと案内する事に力を入れていると思います。家電のような耐久消費財を購入する際、お客さまは必ず商品の情報を調べ、口コミや価格を確認されます。メーカーが公式のECサイトを展開する意味として最も大切な事は、お客さまにお届けしたい商品の特徴や使っていただく際の利点や注意点をお伝えすることが必要だと思いました

店頭で手にとっていただいた時に、その場でご購入いただければベストですが、後で少しでも気になってメーカーサイトに訪れた時に、お客さまが気になっていた点を解消できるようにすることをチームの皆に伝えるよう心がけています。(井上氏)

デロンギ・ジャパン 井上創介 オペレーション部 デジタル推進室 シニアマネジャー
デロンギ・ジャパン 井上創介 オペレーション部 デジタル推進室 シニアマネジャー

“買いにくい”“使いにくい”を改善しブランドの価値を向上

自社ECサイトの運営をスタートしてから5年。この間にオンラインでの商品購入は当たり前のこととなり、消費者はECサイトに対し、“使いやすさ”と“買いやすさ”を求めるようになってきた。消費者にとって“買いにくい”“使いにくい”ECサイトであれば、ブランド価値の毀損(きそん)につながってしまう可能性がある。ブランディング目的で運営される自社ECサイトが消費者のニーズに応えるにはどうすべきか。

商品購入における重要なプロセスである決済は、当初、代引き決済とクレジットカード決済のみでした。その後の世の中の変化を受けて、2019年から“使いやすさ”と“買いやすさ”を両立できるECサイトを作るためにはどうすればいいのかを、さまざまな角度から検討していました。(井上氏)。

こうした課題に向き合う中で、改善策の机上にあがったのが、Amazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay」だった

デロンギ・ジャパンが導入しているECカートは、「Amazon Pay」の「Premier Partner」であるEストアーが提供する「ショップサーブ」。「ショップサーブ」では、店舗側が追加開発などを行うことなく自社ECサイトに「Amazon Pay」を導入することができる。

「Amazon Pay」はAmazonアカウントに登録された配送先情報やクレジットカード情報を使い、Amazon以外の自社ECサイトでログインや決済ができるID決済サービス。デロンギ・ジャパンがAmazon Payを導入した背景には、購入プロセスをよりシンプルにして、顧客体験のプロセスを向上させたい、という考えがあった。井上氏はこう言う。

デロンギ・ジャパンは40年日本でビジネスしていますが、まだまだ皆さんに認知されているブランドではありません。ECサイトにおいても、デロンギを知らないお客さまにとっては情報を登録するハードルが高く、購入の手前で止めてしまうお客さまも一定の比率でいらっしゃいました。

「Amazon Pay」ならAmazonでの購買体験を自社ECサイトでご提供することができ、お客さまへの安心を高めることができると考えました。弊社のようにブランディングに力を入れている他の家電メーカーさまが「Amazon Pay」を導入していることも導入の後押しになりました

「Amazon Pay」導入でカゴ落ち率が約10%改善

「Amazon Pay」なら、初めて利用するECサイトでも、Amazonアカウントでログインすることでクレジットカード情報などを入力する必要がない。「当時はカート離脱率が少し高かったことも課題でした」と振り返る井上氏。2019年8月の「Amazon Pay」導入後、どのように変わったのか。

導入前は代引き決済とクレジットカード決済を提供していたが、すぐに変化が現れる。「Amazon Pay」導入初日から「Amazon Pay」経由で注文が入り、「Amazon Pay」の利用率があっという間に約2割を超え、その後、3割前後にまで増えている

ECサイトで実施している他のさまざまな施策の要因もあるものの、売上高は昨対を超え、当初の目的だったカート離脱率も10%程度改善した。

ECシステムを提供しているEストアーから見ても、「Amazon Pay」導入による面白い効果が数字に表れているという。Eストアーの松本怜士ソリューション営業部プロモーションマネジメント ジェネラルマネージャーは次のように説明する。

ECサイト全体の月次受注における新規顧客:リピート顧客の割合は平均で8:2なのですが、「Amazon Pay」だけで見ると9:1。新規購入者による「Amazon Pay」の利用比率が高いです。初回購入時の「入力の手間」の改善につながっているのではないかと考えられます

Eストアー 松本怜士 ソリューション営業部 プロモーションマネジメント
Eストアー 松本怜士 ソリューション営業部 プロモーションマネジメント ジェネラルマネージャー

デロンギ・ジャパンによるAmazon Payの導入から約4か月後となる昨年11月に、井上氏はECサイト運営者として、顧客の購買行動の変化を感じたという。

自社ECサイトのリピーターであるお客さまが消耗品を購入される際にも「Amazon Pay」で購入するようになってきています。数百円のものから1個十数万円のものまで、さまざまな価格帯で「Amazon Pay」が利用されるようになっていることを感じます。(井上氏)

「Amazon Pay」で変わった「問い合わせ対応」「安心・安全の提供」

全体の決済利用率の3割程度まで拡大した「Amazon Pay」。これまでコールセンターへ寄せられていた問い合わせの一部が、「Amazon Pay」経由のメール問い合わせに移行しているという。

「Amazon Pay」の購入履歴には、購入したサイトの問い合わせ情報としてEメールアドレスなどが記載されているので、メール経由でお問い合わせされるお客さまが多いんです。購入履歴のフォーマットから察するに、Amazonを使っているような感覚で、問い合わせしやすい設計になっているのでしょう

Amazonのお客さまの多くはITリテラシーが高いと考えられるので、メールで簡単に問い合わせをしたいという場合には大きなメリットになると感じています。(井上氏)

注文履歴の確認>注文の詳細を表示→販売事業者に問い合わせ
「Amazon Pay」にログインし注文の詳細を表示。画面右側に販売事業者への問い合わせ情報が記載されている

また、井上氏は、「Amazon Pay」の導入によって自社ECサイトで2つの「安心・安全」を提供できるようになったと説明する。

1つ目が「Amazonマーケットプレイス保証」(Amazonマーケットプレイスでの購入時に、販売事業者と購入者の間で万一のトラブルが発生した場合に、配送料を含めた購入総額のうち、最高30万円までをAmazonが保証する制度)の適用。「Amazon Pay」経由で商品を購入すると、サービスやデジタル商品など一定の場合を除き、顧客には「Amazonマーケットプレイス保証」が適用される。

デロンギの製品は数万円から十数万円もする高価格帯商品が多い。初めて使うECサイトで高額商品の購入に不安を持つ人は多く、少なからず購入プロセスにおける心理的ハードルが上がる。「Amazonマーケットプレイス保証」の存在によって、不安などの払しょくにつながっていると推測できる。

2つ目がAmazonの堅牢なセキュリティー環境だ。「Amazon Pay」では、Amazonがアカウントやカードの不正利用を24時間365日監視する世界水準の不正検知システムを採用。「Amazon Pay」は、顧客とEC事業者の双方に「安心・安全」を提供している。

デロンギの製品

数ある○○Payの中からAmazon Payを選んだ理由は「マーケティングに活用できるから」

近年、ECサイトで利用できるオンライン決済が増えている。「ショップサーブ」も「Amazon Pay」のほか、各種オンライン決済サービスに対応している。そんな中、「Amazon Pay」をどのような基準で選択したのか。井上氏が振り返る。

Amazon Pay」では、お客さまの同意が得られれば、Amazonアカウントに登録された会員情報を、EC事業者がメール配信などのマーケティングに活用できるためです。Amazonを利用されているお客さまにプッシュ型でアプローチできるようになるメリットは大きいですね。

ただ、「カゴ落ち改善」「安心・安全」「マーケティング面での活用」といったメリットを理解しているものの、決済手数料率が決済金額の4%(デジタルコンテンツは4.5%)であることに二の足を踏む事業者は少なからず存在する。井上氏はこうした意見を一蹴するかのようにこう私見を述べる。

(「Amazon Pay」の手数料は)お客さまへの利便性向上、信頼性の提供に加え、新規購入者の増加効果といったことを考えれば気になりません。デロンギを知っている方もそうでない方も「Amazon Pay」なら安心してご利用いただけますので、事業者としてはとてもありがたく、効果的な決済サービスだと思います。

「Amazon Pay」を導入していることが自社ECサイトにおけるスタンダードに

「Amazon Pay」の活用を含めてECビジネスは好調に伸びているというデロンギ・ジャパン。その背景には、Eストアーの高いサポート力があるという。

EC業界では、Eストアーといえば「ショップサーブ」というイメージが浸透しているが、近年は売上アップなどのマーケティング支援にも非常に注力している。たとえば、「ショップサーブ」のAPIを開放し、新しい機能やサービスの開発、他のEC支援サービスとの連携強化などを進めている。

「Amazon Pay」の導入もEストアーの担当者からの紹介でした。この営業担当の方はデロンギの“ブランド力向上”という意向を理解し、サポートしてくださっています。ヘルプデスクの対応など、事業者へのバックアップ体制が素晴らしいと思います。(井上氏)

安心、安全、購入しやすいというECサイトの要素は、消費者にとってとても大事なことです。個人的には今のところ、「Amazon Pay」を越えるオンラインでの決済手段は他にないだろうと思っています。現在のクレジットカードのように、今後、「Amazon Pay」が決済手段に入っていないからこの自社ECサイトでは買わない、といったケースが増えていくでしょう

つまり自社ECサイトにおいて「Amazon Pay」はスタンダードになる可能性があると思うんです「Amazon Pay」を導入することが他社ECサイトとの差別化になるのではなく、「Amazon Pay」が決済手段として存在しないことがデメリットになる

こうしたことを踏まえ、Eストアーではクライアント企業様にとって最適な提案をしています。デロンギ様で言えば、“買いやすい”“使いやすい”ECサイトにするにはどうすればいいのか。その改善策の1つとして「Amazon Pay」の導入を提案しました。(松本氏)

デロンギ・ジャパンの井上氏とEストアーの松本氏
デロンギ・ジャパンの井上氏とEストアーの松本氏の会話は盛り上がり、話題は音声ショッピングへ。2人は「Webを介さないECがいずれやって来るはず」と話が進み、「Amazon Alexaへの対応も興味深い」と松本氏は答えた
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