山崎 徳之 2014/12/22 10:00

接客の本質とは、すなわちユーザーの要望を叶えることです。ECの場合、ユーザーの要望は1つ。「良い商品提案をして欲しい」。これだけです。それにはお客さんが商品を理解し、商品知識を得られるための提案が必要です。「商品知識」というのは商品情報だけではなく、良い商品提案をするために必要な全般的な知識のこと。ところがほとんどのECサイトでは「商品知識」ではなくて「商品情報」だけがECサイトに掲載されている状況です。これでは良い商品提案はできません。

ECは“商品出会い系サービス”、だから「商品知識」の提案が必要なのです

良い商品提案をするために必要なことは大きく2つ。それはお客さんの「理解」と「商品知識」です。結局のところ、商品提案はお客さんと商品のマッチングです。ECというのは商品と出会う場、つまり“商品出会い系サービス”なのです。

では、「商品知識」について考えてみましょう。お店を運営している人は、商品知識を兼ね備えていて当たり前です。ただECの場合、「商品知識」を形としてシステムに渡さなければなりません。

実店舗の店員であれば、「商品知識」が店員の頭のなかにあれば、接客=商品提案に活用することができます。もちろん実店舗であっても、商品知識を明文化し、店員もしくは店舗の間で共有することで、より接客における商品提案の品質を上げることは可能です。

一方、ECの場合、ECサイトの担当者の頭のなかにだけにある「商品知識」は、ECサイト上でのマッチングに一切活用されません。

そのため、多くのECサイトが、商品情報を「商品知識」としてECサイトに渡すことになります。それには「商品名」「価格」「在庫」「説明文」「カテゴリ」「色やサイズ」「発売時期」などがあります。もちろんこれらの情報はとても重要です。ECサイトを支えるシステムに教えなければいけない必須項目ですよね。

ただ、これだけの情報だけでは、消費者は「欲しい」と思いませんよね? 問題は「これらの情報だけでは良い商品マッチングをするには不十分」だからです。

ここで、「デジカメ」のたとえを挙げてみます。

ユーザーがECサイトで「デジカメ」と検索したら、普通に考えれば「デジタルカメラ」を探しているということがわかります。ところが、商品マスターでは「デジカメ」という文字列を持っているのは、「デジカメフィルム」「デジカメポーチ」のようなアクセサリで、デジタルカメラ自体は「デジカメ」という文字列を商品情報として持っていません。

これを機械的にヒットさせると、「デジカメ」という検索にアクセサリばかりが登場する、イマイチなECサイトになってしまいます。この場合、「デジカメ」は「デジタルカメラ」という文字列で展開するので、かつ商品名よりも商品カテゴリを優先してマッチさせるという処理が必要になります。

ECサイトに商品知識を与えるというのは、商品情報だけではなく、その「処理の仕方」、つまり、ユーザーから見て“簡単に商品が探せる要素”も含めて提供する必要があるのです。

実店舗における優秀な店員の接客をECにも取り入れればいい

ゼロスタート連載
実店舗で行われている高品質な接客をECサイトにも取り入れよう

在庫情報も重要な商品知識になります。

商品検索をすると、「在庫なし」ばかりが上位に出てくるサイトはまだまだたくさんあります。実店舗にたとえると、お客さんが「◯◯はありますか?」と聞いているのに、「ありますよ。在庫はありませんが」と答えているようなものです。

では、在庫なしを無条件に排除すればいいのかというとそういうわけでもありません。一時的に在庫切れでも、またすぐに入荷するような商品であれば、「在庫なし、ただしすぐに入荷予定」として、商品検索の上位に出す方が現実的です。

商品のバリエーションも重要な情報です。たとえばユーザーがデジタルカメラを型番で検索したとします。

そのデジタルカメラがあれば、トップヒットで表示することは必要です。しかし、その後継機種が発売されたらどうしますか? お客さんは後継機種がリリースされたことを知らないかもしれません。

その場合、その後継機種は検索条件で全くヒットしていなくても、2番手くらいに表示してあげるのが親切です。もちろん新機種が発売され、旧機種が値下がりしたのを狙っている可能性もあるので、あくまで型番が一致する商品よりは下位に出すべきです。

でも旧機種がすでに生産終了在庫なしだったら、その後の継機種をトップヒットで出してあげる方が良いでしょう。

デジタルカメラの場合、型番に色が含まれていることが多いのですが(-BKなど)、指定したカラー以外の色の方が、ディスカウントの幅が大きければ、それも候補として結果に出してあげるのが親切かもしれません。

他にも、A社のXというカメラを検索しているとき、ライバル機種であるB社のYという商品の方が、評価が高かったりディスカウントが大きかったりすれば、それも候補になり得ます。これらは実店舗における優秀な店員であれば自然にやっていることなのです。

◇◇◇

今回はECサイトにおける接客のうち、商品知識について触れてみました。次回以降は引き続き良い接客を実現するために必要な要素について取り上げてみます。

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