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今回はECで店舗接客のようなオススメを実現するために必要なことについて、そのアプローチに関するトレンドなどを紹介します。優秀な店員による店舗の接客はなぜ優れているのでしょうか? それは個々のお客さんごとに最適な対応をしているからに他なりません。つまり、接客はパーソナライズそのものなのです。

OtoO、ビッグデータ、オムニチャネル、マーケティングオートメーション、最近では人工知能がマーケティングのトレンドとして話題ですが、それらは結局、パーソナライズをどう実現するのかというアプローチの違いでしかありません。

店舗接客のような“最適なオススメ”の実現というのは、消費者を理解して商品マッチングをパーソナライズ化する、ということと同じ意味なのです。

最適なオススメ”を実現するマーケティング

そこで、テクノロジーを用いて“最適なオススメ”を実現するマーケティングについて考えてみましょう。

マーケティングは大別すると3種類にわけられます。

  • 全体を対象とするもの
  • 個々を対象とするもの
  • 中間であるクラスタやカテゴリーを対象とするもの

全体を対象とするマーケティングは、あまりテクノロジーの出番がありません。むしろ、クリエイティブの比重が大きいでしょう。

これに対し、個々人を対象、もしくは任意のクラスタを対象とするマーケティングは、テクノロジーが活躍できるところ。ビッグデータやオムニチャネルにしても、目指すところはユーザー(消費者)をより理解するための入力ポイントを増やすという点では共通しています。

なぜ入力ポイントを増やしたいのかと言うと、より高精度なパーソナライズを実現するにはユーザーに関する情報は多ければ多いほど精度が上がるためです。

ここで忘れてはいけないのは、ユーザーに関する情報にはその重要性に大きな差があるということ。購買履歴と閲覧履歴では情報としての価値にかなりの差があります

オムニチャネルの先駆者であるウォルマートによると、購買履歴に10のオーディエンスデータを加えてパーソナライズしたときの正解率が90%だったのに対して、購買履歴以外の1000のオーディエンスデータでパーソナライズしたときの正解率は70%だったそうです。

ここで強調したいのは、ECサイトにおいて、商品検索の検索クエリというのは相当重要なユーザー情報ということです。

「こういった条件に合うものを探している」という情報ですから、商品を検索している時点においてユーザー像を理解するのに役立つ情報は、これ以外はありません。情報としての鮮度という意味では購買履歴にすら勝ると言えるでしょう。

一方、マーケティングオートメーションはユーザーへの出力となるアプローチです。もちろんそのステップの中でユーザーがどう反応していくか、というのはそれ自身が重要な入力でもあります。

また、オムニチャネルも同時にに各タッチポイントでユーザーへの出力をしていくかという役割も持っています。

一気にユーザーを購買まで持っていくことができるなら良いですが、たとえば商品が高額であればあるほど、最終コンバージョンである購買までの流れを事前にパーソナライズしきることはほぼ不可能です。

このためカスタマージャーニー、アトリビューションと言われたりするような、「継続的にユーザーに影響を与えていく」アプローチが重要となってきます。

ROIを最大化させるマーケティングはカテゴライズが重要

ユーザーに関する情報を集め、それを重要なものから活用し、ユーザーにフィードバックしつつ消費マインドを上げていくという一連の流れ……すなわちマーケティングは本来であればユーザーごとにパーソナライズされるのが理想です。

ただ、マーケティングでは同時にROI(投資利益率)という指標があるように、マーケティングにはリターンが求められます。

完璧な購買予測ができるなら、売上総利益を超えるマーケティングコストを投じてもいい、ということはありませんよね。ウォルマートのケースでいえば、購買履歴を活用することの素晴らしい点は、正解率が高いだけではなく計算コストが安い(かもしれない)ことなのです。

そのために必要なことが「カテゴライズ」です。

100万ユーザーごとに個別のプロファイルを持つのではなく、100万ユーザーをまずカテゴライズ。そのカテゴリーごとにパーソナライズを行うというステップを導入することで、場合によっては相当にROIを高めることが可能となります。

もちろん商品ジャンルによって異なります。個々の嗜好の差が出にくいモノ、食料や生活用品などにおいてはかなりROIを向上させることができます

優秀な店員はなぜ接客が優れているのか? テクノロジーを活用した店舗流接客のすすめ
「カテゴライズ」のイメージ

重要なことは、個々に対するパーソナライズ自体、テクノロジーが活躍するケースなのですが、「カテゴライズ」というステップこそが、テクノロジーが本領発揮できるポイントなのです。

これはユーザーだけではなくて商品に関しても同様。ユーザーと商品をカテゴライズしそれらをどう関連付けていくかという流れがITによるマーケティングの大きなトレンドの根本にあるのです。

ただし、今のところECにおいては、まだまだこうした情報のメタ化、カテゴライズというステップは行われていません。

EC市場がまだ消費全体に占める割合が一桁しか占めていない、小さい市場であるということも関係しています。

個々のユーザーの購買履歴から相関によるレコメンドをする程度であれば大したコストではないため、それで良しとされているというだけです。

オムニチャネルが広がり、マーケティングオートメーションが当たり前のように活用されるようになってきたとき、パーソナライズの精度を上げるだけではなく、ROIを上げることをいかに実現するかという点を重視したビッグデータのアプローチが重要になってくると考えます。

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山崎 徳之

株式会社ゼロスタート

山崎 徳之(やまざき・のりゆき)
株式会社ゼロスタート 代表取締役社長

青山学院大学卒業後、アスキー、So-netなどでネットワーク・サーバエンジニアを経験。オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)のデータホテルを構築・運営の後、海外においてVoIPベンチャーを創業。2006年6月に株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ(現株式会社ゼロスタート)を設立、代表取締役就任(現任)。ECソリューションの「ZERO ZONE」シリーズとして検索エンジンやレコメンドエンジンを開発・販売している。

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