OMOって何をしたら良いの? 実施する重要性、有効な施策、メリット・デメリットなどを解説
実店舗を運営している事業者にとって、オンラインとオフラインの垣根をなくし購買体験の質を高めていくOMO(Online Merges with Offline)の必要性が拡大していることは、皆さん理解されているかと思います。
しかし「どう始めればよいかわからない」「どういった施策を行うべきなのかわからない」といった理由から、OMOを実現できていない事業者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、昨今におけるOMOの必要性、実現するために必要な施策を解説します。OMOを検討している事業者はぜひ参考にしてみてください。
新型コロナウイルスが一段落した影響でOMOの重要性がさらに拡大
新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響で、ECサイトの利用が急激に加速しました。コロナ禍では自社ECサイト構築に力を入れる事業者が多く、ECサイトの重要性や市場規模の拡大につながりました。
そんな新型コロナウイルス発生から数年が経過し、徐々に市場やユーザーの購買体験に変化が見られています。
2022年春以降、外出機会の増加に伴い実店舗への来店が回復。ユーザーが実店舗へ回帰することにより、実店舗の売り上げに大きく影響しました。
また総務省の統計調査では、コロナ禍だった2021年と比較して引き続きECサイトの支出額が増加傾向にあり、実店舗への回帰があるなかでもECサイト利用が定着していることがうかがえます。
出典:総務省統計局【家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について(二人以上の世帯) ー2022年(令和4年)11月分結果ー】
このように、ECサイトと実店舗を行き来する購買体験が顕著になっていることで、事業者に求められることが増加しているのが実情です。
つまり、オンラインとオフラインを融合しユーザーに適切なアプローチを行う「OMO(Online Merges with Offline)」の重要性がより拡大しているのです。
OMOを実現するための施策
先述した内容から、市場やユーザーの購買体験の変化を踏まえるとOMO実現の重要性がますます拡大していることがわかるかと思います。
今後は「実店舗」と「ECサイト」それぞれでの価値提供をめざすのではなく、ブランド全体でユーザーにより良い購買体験を提供できる枠組みを構築する必要があります。
OMOを実現する施策の一例はこちらです。
- 実店舗在庫の情報をECサイトに表示する
- ECサイトで購入した商品を、実店舗で受け取れるようにする
- 実店舗とECサイトの顧客データベースを統合し、顧客情報を一元管理する
- 実店舗・ECサイトの両方でポイントを貯められる、使えるようにする
- 実店舗・ECサイトのどちらで購入しても、会員のランクアップができるようにする
- ECサイト上で実店舗スタッフが商品をおすすめする、店舗で友だちになったユーザーにオンライン接客を行う
今回はこのなかでも「実店舗在庫の情報をECサイトに表示する」施策である、「実店舗在庫表示」のメリットや重要性を説明します。
実店舗在庫表示とは
オフラインの実店舗在庫情報をECサイトから確認することができます。在庫のある実店舗をユーザー自身で確認できる施策です。
実店舗在庫表示の重要性
「実店舗在庫表示」はオンラインからオフラインへの送客ができ、ブランド全体の売上向上にも効果が期待できます。直接見たい商品や試してみたい商品の在庫情報がECサイトに表示されていたり、近隣の店舗に在庫があることがわかったりすれば、その情報を経由して実店舗への来店頻度を増やすことが可能です。
OMO施策は実店舗在庫表示以外にもさまざまな手法があり、適切な施策を継続的に実施することが重要ですが、実店舗在庫表示は売り上げに直結しやすく、大きなオペレーション変更も必要ない比較的取り組みやすい施策と言えるため、OMO施策の最初の一歩として最適であり非常に重要な施策となります。
「何から始めればよいのかわからない」と考えている事業者は、まずは第一歩として実店舗在庫表示を始めてみるのはいかがでしょうか。
実店舗在庫表示導入がもたらすメリット
実店舗在庫表示を導入することで、ユーザーと事業者の双方にメリットがあります。それぞれの目線から導入のメリットを解説します。
ユーザーへのメリット
①ECサイトで見つけた商品を「試してから購入」できる
ECサイトで見つけた商品を「一度見てから購入したい」「試してから購入したい」などといったニーズを持っているユーザーは少なくありません。在庫があることがわかればユーザーは実店舗に行きやすくなり、欲しい商品を満足度が高い状態で購入することができます。
②実店舗に来店することで、商品のさらなる魅力に気付くことができる
来店し実際に欲しい商品を手に取ることで、商品の情報をさらに知ることができます。また実店舗スタッフとのコミュニケーションから、コーディネートや使用方法の提案・説明を聞くことで商品のさらなる魅力や活用方法に気付くことができます。
陳列されている商品のなかから気に入った商品があれば追加で購入もできるので、ECサイトと実店舗を融合した満足度の高いお買い物を行うことが可能です。
③近隣の店舗にあれば、ユーザーの生活導線上で購入できる
ユーザーにとって生活導線上で購買体験ができることは非常に大きなメリットとなります。ECサイトで見た商品を、自宅から会社、自宅から学校など生活圏内の範囲で実際に確認できるのであれば、実店舗に「ついでに寄る」ことができます。また「実店舗の場所を知る」ことでECサイト・実店舗の両方がユーザーにとっての選択肢となり、欲しい商品を手に入れやすくなります。
④購入時の送料を心配する必要がない
商品購入時にかかる送料をなるべく抑えたいと考えるユーザーは多いと思います。たとえば少額の商品を購入する場合、送料が高いと商品の購入に影響する可能性が高まります。
在庫情報を見てユーザーが実店舗に来店すれば、送料を心配せずとも気兼ねなく商品を購入できるので、ユーザーの満足度向上に直結します。
事業者へのメリット
①実店舗への送客により、ブランド全体のアップセル・クロスセルにつながる
ECサイトから実店舗にユーザーが訪れることで、ブランド全体のアップセル・クロスセルのタイミングを創出することができます。
来店したユーザーとの直接のコミュニケーションから、好みや興味・関心に寄り添うことでさまざまな商品の提案が可能です。
②ユーザーとの接客回数の増加でファン化を促進
「ユーザーの来店=直接の接客タイミングの増加」になります。
商品やサービスに魅力を感じたユーザーが、実店舗のスタッフとのコミュニケーションや実店舗の雰囲気を感じることでさらなるファン化を促進でき、リピート施策としても有効です。
③ユーザーが購入する場所の選択肢が増え、売り上げに直結する
ECサイトから実店舗に送客できることで、ユーザーが購入する場所の選択肢を増やすことができます。たとえばECサイトから実店舗に訪れたユーザーが、実際に接客を受けて気になった商品をその場で購入したり、自宅に直接送ってほしいからECサイトで購入したりするなど、ユーザーの状況に合わせた購買体験を提供できるため、ブランド全体のコンバージョン率にも直結します。
「ECサイトから実店舗へ」「実店舗からECサイトへ」という枠組みを構築できればOMOの実現に大きく近づきます。
④実店舗に在庫があるのに、ECサイトで離脱されてしまうといった機会損失の防止となる
実店舗の在庫を表示することで、「ECで在庫がないとそこで離脱されてしまう」といった機会損失の防止策となり、ECサイトから訪れたユーザーに商品を提供することができます。
ECサイトで自社商品を見つけてくれたユーザーに、確実に届けられる機会を提供することで、顧客満足度の向上やブランド全体の利益につながります。
まとめ
市場やユーザーの購買体験の変化に伴い、オンラインとオフラインを融合しユーザーに適切なアプローチを行うOMOの必要性は益々高くなっています。
OMOを実現するためにはさまざまな手法があり、それらの手法を継続的に実施することが重要です。今回紹介した「実店舗在庫表示機能」は、オンラインからオフラインをつなぐことができ、今後OMOを進めるための第一歩として有効な機能です。
近年では多くのECサイトが導入していることから、ユーザーからのニーズも高まっておりブランド全体の売り上げアップにもつながるため、今後も事業者が取り入れるべき重要な施策の1つとなるでしょう。
この記事はフューチャーショップのオウンドメディア『E-Commerce Magazine』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。