森野 誠之[執筆] 2023/9/26 8:00

Amazonとebisumartは出品者向けの商品説明を自動生成するAIツールを提供。一方で、「Alexa」にも会話型AIが導入され、消費者の購入体験が変化しています。これらの技術革新がEC業界に大きな変化を引き起こすのは間違いないですね。

想像以上に早いAIの普及についていかないと!

Amazonが商品説明を自動生成する出品者向けAIツールを発表 | AISmiley
https://aismiley.co.jp/ai_news/amazon-generative-ai-tool-seller/

Amazonは、出品者向けの生成AIツールを発表しました。このAIツールは、商品説明文を自動生成するためのもので、出品者が商品内容をプロンプトに入力すると、AIが魅力的な商品説明、タイトル、商品詳細を生成します。出品者は生成された説明文等をそのまま使用するか、編集してから公開するか選択することができます。

クラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」が ChatGPTを活用した機能「AIアシスタント」オプションをリリース ~商品の特長から商品説明文を作成。EC担当者様の業務負担を軽減~ | インターファクトリー
https://www.interfactory.co.jp/item/2023_9_21.html?_fsi=Xb20lgS0

ebisumartのAIアシスタントでは、文章スタイルを設定することができ、ユーザーターゲットに合わせた文章を生成することができます。ECご担当者様は生成されたテキストを基に商品説明文を清書することで、何もない状態から文章を作成するよりも格段に業務負荷を抑え、運用コストを削減することができます。

「ChatGPT」を利用して商品説明文を作成している人は多いと思いますが、モールやカートのASPでもAIによる商品説明文作成機能が導入され始めました。作成する際に別のウィンドウやアプリケーションを立ち上げるのって意外と面倒ですし、PCのメモリも消費しますので、できれば管理画面で済ませたいところです。こういったサービスは地味ながらも便利なものだと思います。

以前の記事(https://netshop.impress.co.jp/node/11222)で紹介したように、「Shopify」は説明文だけではなく、キャンペーンの作成などもAIが手伝ってくれます。

もはやこの手の機能は当たり前といっても良いものなので、モールやカートのASPも導入することが差別化になるというよりは、導入しないことで他社よりも劣って見えてしまうことになります。

事業者側もAIを使わないと効率化が進みませんので、じわっと他社との差がついていくことになります。将来の投資だと思って積極的に使っていきたいですね。書籍やセミナーもたくさんありますので、勉強する機会はいくらでもありますから。

AlexaにジェネレーティブAIがやってくる 「まるで人間と会話しているような感覚に」──米Amazonがデモを公開 | ITmedia PC USER
https://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/2309/21/news081.html

デモで紹介された新しい「Let's chat」と呼ばれる会話機能では、Alexaに「アレクサ、レッツチャット」と呼びかけると「ではチャットをしましょう。何かお手伝いできることはありますか」と返答され、会話を続けられる。デモでは次のような会話を自然に行う様子が紹介された。

予想通り音声アシスタントに生成AIが導入されてきました。今までは会話が成立しませんでしたが、今回は何を聞いても答えてくれるでしょう。音声アシスタントはGoogle、Appleも持っていますので、このあたりが導入してきたらあっという間に当たり前になるでしょう。

AI生成インフルエンサーが24時間稼ぎ続ける中国ライブコマース新事情 | MIT Tech Review
https://www.technologyreview.jp/s/317584/deepfakes-of-chinese-influencers-are-livestreaming-24-7/

中国で真夜中のライブ配信を見ると、熱心に商品を売り込むストリーマーの姿が目立つ。だが実はこのストリーマー、わずか数分の動画からAIが生成したもので、24時間年中無休で働き続けることができる。

そして、こんなものも出てくるわけです。24時間疲れもせずに販売を続けるAIに皆さんは太刀打ちできるのでしょうか? 「人間は何ができるのか?」が問われるような時代ですね。

運営堂・森野さんと語る!ブランド価値を高めるAI時代のEC運営とは【後編】 | FRACTA
https://fracta.co.jp/blogs/journal/journal_230731

森野:ChatGPTや音声アシスタントとくっついていくことを考えると、ユーザーは「選ぶ」ことをしなくなりますよね。ECサイトを作ること、運営することが難しくなります。AIがデータから森野という人物の趣味嗜好を判断して「あなたが食べたいパンはこれですね」と3つほど候補を提案し、そこから選ぶような買い物が主流になったらどうしていくのか。競争が見えなくなるため、「このような対象に向けて商品を作り、発信してみる」を繰り返していくしかないかなと思います。商品の見せかたや売りかたが変わってしまうため、いかにユーザーを知っているかが勝負になると思います。

逆にネットで購入してもらうことをあきらめて、リアルで購入した人がよりリアルで購入しやすいファンしか買えない仕組みを作るとか、田舎で唯一のスーパーのように物理的にオンリーワンの存在になるとか。ブランドと商品をしっかりさせることが、より重要になるでしょうね。

河野:極端に進むことはありえると思います。たとえば洗剤が切れそうだなと思ったら、AIに「同じの買っといて」と言うか、「似たようなので香りが違うやつある?」と候補を出してもらってそこから選んだりするかもしれないですね。わざわざ自分で探して選ぶ機会は減ると思います。

2か月くらい前にフラクタの河野さんと対談したときにこんなことを話しました。数ある商品のなかから商品を探すのではなく、自分の購入データや行動データからAIが最適な商品を探してくれて、それを選んで買うだけになってきそうです。選ぶにしても「もうちょっと安いのはないの?」と聞けば、それもAIが回答してくれます。何でも知っている店員さんが目の前にいるイメージです。

ECがこうなったときに皆さんは何をすればいいのでしょうか? テクノロジーに振り切るのか、アナログに振り切るのか、中間にポジションを取るのか。いずれにしても、今まで通りの売り方で売れるのはどれだけ長くても数年くらいのはずです。

AIを使って業務を効率化して、来るべきAI時代のECへの準備時間を確保しないといけないですね。

今週の要チェック記事

メルカリShopsで海外との「越境販売」がはじまります! | メルカリShopsマガジン
https://shops.mercari.com/magazine/posts/40069

基本的に全商品が対象です。出品者は購入の受付可否を選ぶことができます。

アマゾンの「Buy with Prime」とは? プライム会員の自社ECサイト利用を促進させる新機能+CVRアップなど導入効果を解説 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11395

自社ECサイトにAmazon並みの利便性をもたらすことができますが…。判断が難しいところ。

【2023年後半の通販市場】通販・EC各社の予測+景況感は? 物価高騰による消費マインドの冷え込みを懸念する声も | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11318

伸びはするものの、コロナの時まではいかない感じでしょうか。

【広告主向け】ASP・業界団体のステマ規制ガイドラインと広告主の対応 | すずきたまよ事務所
https://tamayo.jp/1857

アフィリエイトサービス、モールのガイドラインをよく読んで対応を。

研修を受講することで、ECの基礎が確立し理論付けできるように。「EC運営ステップアップコース」卒業生インタビュー | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/230921-regalfactory/

伸びるEC事業者さんは常に勉強していて、交流も活発ですよね。

「楽天スーパーセール」認知度は62.5% 使用金額は1万円未満が過半数10店舗以上買い回りしたのは6.0%(Appliv TOPICS調べ) | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/41236

買い回りの最多は「1店舗」で23.3%。つまり買い回りしてないということですね。

アスクル送料値上げ 「物流現場の働き方改善のため」 | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2309/15/news148.html

送料無料ラインの引き上げ、送料の値上げが増えてきそうですね。

今週の名言

運営堂・森野さんと語る!ブランド価値を高めるAI時代のEC運営とは【後編】 | FRACTA
https://fracta.co.jp/blogs/journal/journal_230731

音楽には「ヒューマナイズ」というコマンドがあって、あえてずらす、つまり下手にすると人間ぽくなるんですよね。そういうのは大事だと思います。

河野さんとの対談記事からもう1つ。人間ができることは人間っぽくすること。これもいつまでなのかはわかりませんが、しばらくは通用するはず。

筆者出版情報

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