EC事業の課題「新規顧客の集客」を解決するには? 「選んでくれた理由」「知ってくれた理由」の現状把握から集客戦略の見直しを

「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。
この連載では、EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝えていきます。5回目はEC運営の永遠の課題「集客」の重要なポイントや実践すべきアクションについて解説します。
- ECのマーケティングとは? 「売り上げを伸ばす」ってどういうこと? EC事業の内製化に大切なポイントを解説!
- 客単価が2倍=売り上げも2倍!はウソ? 事例に学ぶ売上の公式の「真実」とは
- コンバージョン率が高い=良いECサイト? 「割り算」で算出する数値には注意しよう!
- ECサイトのアクセス数アップのポイントは、自社にとって「エンゲージメント」が高いユーザーを意識すること
- ユーザーが自社を「選んでくれた理由」「知ってくれた理由」を分析しよう! 商品作り&顧客作りに重要なポイントを解説
ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。
つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。
「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。
ECサイトの永遠の課題「集客」について学ぼう!

石田さん、こんにちは。この1か月間、楽しみすぎて眠れなかった~!

いやいやネッタヌ君、前回あくびしていたじゃない(笑)

それはエンゲージメントの話が少し難しかったから……。

たしかに前回の話はちょっと難しかったかもね。今回からは「集客のコツ」の話。広く言えば「顧客作り」だね。

ボクもいまいち集客についてはわからないなぁ……。

実はこの連載をスタートする時、「ネッ担」の編集長から「新規顧客の集客の話は絶対やってくれ」と依頼されているんだよね。やはりどのECサイトも集客は永遠の課題だよね。

その裏話、リアル~~。

じゃあ、少しずつ集客の話に入っていこうか。
集客戦略の設計には「現状把握」が必要

ECサイトを成長させる上で最重要の課題は「商品作り」と「顧客作り」だよね。この「顧客作り」の重要な要素が「集客」ということになる。特に「新規顧客の集客」はEC事業の永遠の課題で、ここが解決したら苦労しないって話だよね。

うんうん、苦労しないですね。

なので「ECサイトの新規顧客を増やす」ことを重点的に話していきたいのだけれど。ネッタヌ君、前回のコラムで「できれば取り組んでいきたいこと」を伝えたの、覚えている?

なんでしたっけ?

前回のコラムはほとんどその話だったじゃない。もしかして話の途中から寝ていたの……?

あ、思い出した! 「ECサイトに興味がありそうなお客さまを集客する」だ!

そうなんだよ。集客戦略を展開する上で重要なことは、まず「自社のECサイトに興味がありそうなお客さま」は「どんなお客さまなのか」を知ることなんだよ。

リスティング広告とかInstagramを更新することじゃなくて?

そう。闇雲に集客戦略を展開すると必ず行き詰まる。具体的に言えば、お金や時間に対しての費用対効果が合わない状態が続き、会社の運営資金が目減り、スタッフも疲弊……そして、EC事業自体が停滞することになる。
そうなると、どうなる?

会社が倒産しちゃう……。

ネッタヌ君、極端すぎるでしょ!
EC事業を続けられなくなっちゃうんだよね。ECサイトを立ち上げて、当然のように広告にお金をかけてもまったく売り上げにつながらないから、EC事業自体をストップしちゃう。こういう会社さんをたくさん見てきたんだよ。

だからこそ、集客戦略の設計が必要なんですね。

ネッタヌ君、良いこと言った。そう「設計」が大事なんだよね。そのために「どんなお客さまなのか」を知ること――つまり現状把握だよね。

「選んでくれた理由」「知ってくれた理由」を把握する

これはECに限らずすべてのマーケティングの基本なのだけれど、集客戦略の見直しは現状把握から始まる。

具体的な行動を行う前に、ですね。

そうだね。「なぜお客さまがこのネットショップを知ってくれたのか」「なぜお客さまがこのネットショップを選んでくれたのか」。この2つの情報をまずは徹底的に社内から集めるんだ。

ちょっと1ついいですか? 「なぜお客さまがこのネットショップを知ってくれたのか」はわかるんですけど、「なぜお客さまがこのネットショップを選んでくれたのか」は集客戦略とどんな関係があるんでしょう?

実は「お客さまが選んでくれた理由」は集客戦略に大いに関係するんだ。
「お客さまが選んでくれた理由」は外部に対してのアピールポイントになる。たとえば「選んでくれた理由」がネットショップの特定の商品だとしたら、「その商品を欲しい人たちはインターネット上のどこにいるか」「その商品はインターネット上でどうやって探されるか」という発想につながっていく。

たしかに! 集客を考えるコツは「知ってくれた理由」だけじゃないんですね。

そうなんだよ。冒頭でECの最重要課題は「商品作り」と「顧客作り」だと話したよね。一見すると「顧客作り」だけが集客に関わってくるように感じるけれど、「商品作り」も集客に大きく関わってくる。「商品作り」と「顧客作り」は密接につながっていると考えてほしい。

話を戻すのですが、「なぜお客さまがこのネットショップを知ってくれたのか」「なぜお客さまがこのネットショップを選んでくれたのか」の情報を集めるポイントってありますか?
集客戦略の見直しを図る時点で、必ずしも情報が社内に蓄積されている状態ではないと思うんです。

まずはECサイトのシステムに自動的に蓄積されているデータを分析して、「知ってくれた理由」と「選んでくれた理由」を知るところからスタートしていきたいね。具体的には、商品ページの閲覧データ、受注(注文)データ、検索クエリのデータ、参照元データ、レビューの文面、これらはまず現状把握として役立てたいところだね。
あと本来は、お客さまからの「生の声」がほしい。

「生の声」? アンケートとかですかね。

アンケートも悪くはないけれど、どうしても答える側にバイアスがかかってしまうよね。特にお返しのあるアンケートだと、実名やアカウント名の開示が必須になるだろうからバイアスがかかりやすい。
「生の声」に関しては、ECサイトとともに実店舗を運営している会社さんが有利なんだ。「お客さまがポロっと発した何気ないひと言」を拾いたいんだよね。「何気ない会話の何気ないひと言」にはバイアスがかかっていないからさ。

やっぱり実店舗がある方が、ECのマーケティングでも有利ですか?

間違いなく有利だね。お客さまの「生の声」を吸い上げられるという点でもそうだし、やっぱり「実体性がある(店舗として実在する)」というのは、インターネットの世界でも信用が違うよね。集客という点では、シンプルに「実店舗のお客さまをネットにも誘導できる」メリットもある。

実店舗がなくて、ECだけの会社さんでも得られる情報って他にありますか?

お客さまからの「問い合わせ」は重要視したいよね。実店舗でいう「生の声」と一緒だから。あとは、「今までそこまで売れていなかった商品が売れ出した」「これまでさほど閲覧されていなかった商品ページが見られるようになった」というような「変化」には常に注意を払いたい。

現時点で集められる情報と、実は行動していないだけで「本当は集められる情報」があるってことなんですね。

さすが、ネッタヌ君。そこが重要なんだよ。
多くの会社さんで「本当は集められる情報」を集めるルーチン、そしてその情報を文章などで残すルーチンができていないことが多い。この行動を習慣化して、常に情報を蓄積する仕組みが必要だね。もちろん、その後は情報の活用だ。

まとめ

最後に今回のコラムを少しまとめるね。
ECの最重要ポイントは「商品作り」と「顧客作り」。集客戦略はこの両方に関係している。集客戦略の見直しのスタートは「現状把握」から。今取得できる「知ってくれた理由」と「選んでくれた理由」のデータをまずは机上に並べよう。もしかしたらそれだけでは不十分かもしれない。実店舗の「生の声」や問い合わせ、そして購買行動の変化など「本当は集められる情報」を蓄積する習慣を社内で作っていこう、というところだね。
できたら、次回の連載までにこちらを改めて実践してみてほしい。

なんだか良い感じに「アクション」に落とし込むことができた。

やっぱり何か具体的な行動につながった方が良いからね。

石田さん、次回のご予定は?

もちろん集客の話!!
ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。
この連載の理解度チェックを行えるホワイトペーパーを無料で配布しています。「EC事業の内製化」をめざすためにお役立て下さい!
>>お問い合わせはこちら
UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。