鳥栖 剛[執筆] 6/18 9:00

消費者庁は6月14日に公表した2023年度の「消費者白書」と「消費者意識基本調査」で、消費者がクチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態について調査した。

それによると、全年代で過半数がレビューなど「評価高い商品を選ぶ」と回答。半数が「レビュー件数の多さが購買決定に影響」と答え、3割が公式情報・知名度・受賞歴よりもクチコミを重視する。否定的なクチコミ情報で6割強が購入をためらうといった回答も得た。

「消費者意識基本調査」は2023年11月1日~15日の期間で、全国の15歳以上の男女1万人を対象にWebと郵送でアンケート調査を実施。5544人から有効回答を得た。調査では「生活全般における意識や行動」「情報の利用に関する意識や行動」「デジタルプラットフォームでの商品・サービスの利用」「消費生活における意識や行動」「消費者事故・トラブル」について聞いた。

クチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態

「情報の利用に関する意識や行動」分野で、消費者がレビューやクチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態について調べた。購買行動の際に重要となる情報源について聞いた質問では、「家族・友人・知人」の割合が36.1%で最も高かった。次いで「インターネット記事やブログ」が29.9%となった。

消費者庁は6月14日に公表した2023年度の「消費者白書」と「消費者意識基本調査」で、消費者がクチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態について調査
15‐29歳ではSNS重視の傾向が飛びぬけて高い(画像は消費者庁の公表した「消費者白書」より編集部がキャプチャ)

年代別では異なる傾向が見られた。15-29歳では「SNS」と回答する人の割合が58.3%。「家族・友人・知人」や「インターネット記事やブログ」「クチコミ・レビューサイト」がそれぞれ3割以上だった。

30-49歳では「インターネット記事やブログ」が40.2%で最も高く、「クチコミ・レビューサイト」「家族・友人・知人」「SNS」がそれぞれ3割以上。15-49歳の年代では消費者がWeb上で発信する情報源が購入の決め手として重視されていることがうかがえる。

全年代で過半数がレビューなど「評価高い商品を選ぶ」と回答

Web上のクチコミや評価に対する考えについても聞いた。「インターネット上のクチコミや評価が高い商品を選ぶ」に「当てはまる」に該当する回答は70.1%に上った。

消費者庁は6月14日に公表した2023年度の「消費者白書」と「消費者意識基本調査」で、消費者がクチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態について調査
若い年代ほどWeb上のクチコミ重視の傾向に(画像は消費者庁の公表した「消費者白書」より編集部がキャプチャ)

年齢層別では、「当てはまる」と回答した人の割合は、十代後半から20歳代では約9割にのぼり、年齢層が高くなるほど「当てはまる」と回答した人の割合は低くなった。ただ、70歳以上を除く全ての年齢層で過半数が「当てはまる」と回答しており、全体で見てもWeb上のクチコミ情報の影響は大きいことが分かった。

レビュー件数が与える印象や影響についても調査。商品検討の際にレビュー件数が多い商品を選ぶかどうかについて聞いたところ、「当てはまる」は50.6%。特に、10歳代後半、20歳代30歳代の各年齢層ではそれぞれ6割以上と、若い年代ほどレビュー件数の重要視していることがわかった。

3割が「クチコミ>公式情報・知名度・受賞歴」

公式情報とクチコミ情報のいずれを重視するかも聞いた。「メーカーや販売者による商品説明よりも、クチコミの評判を重視する」に、36.5%が「当てはまる」に該当する回答をした。

消費者庁は6月14日に公表した2023年度の「消費者白書」と「消費者意識基本調査」で、消費者がクチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態について調査
若い年代ほど公式情報よりもクチコミを重視(画像は消費者庁の公表した「消費者白書」より編集部がキャプチャ)

また「ブランドの知名度や受賞歴よりも、クチコミの評判を重視する」についても35.7%が当てはまると回答。いずれも、「当てはまる」と回答した人の割合は10歳代後半が最も高く5割を超えている。

消費者庁は6月14日に公表した2023年度の「消費者白書」と「消費者意識基本調査」で、消費者がクチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態について調査
知名度や受賞歴よりもクチコミを重視する人が35.7%(画像は消費者庁の公表した「消費者白書」より編集部がキャプチャ)

10歳代後半から40歳代までの各年齢層で、それぞれ4割を超える人が「メーカーや販売者による商品説明」や「ブランドの知名度や受賞歴」よりも「クチコミの評判を重視する」と回答した。公式情報や社会的評価よりもクチコミをより重視する人も一定割合存在することがわかった。

否定的なクチコミ情報で6割強が購入ためらう

否定的なクチコミ情報が及ぼす影響についても調べた。おおむね高評価でも否定的な口コミ情報で購入をためらうことがある人は63.9%に上った。

消費者庁は6月14日に公表した2023年度の「消費者白書」と「消費者意識基本調査」で、消費者がクチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態について調査
ネガティブなクチコミで7割近くが離脱?(画像は消費者庁の公表した「消費者白書」より編集部がキャプチャ)

一方、「評価の点数が低くても、好意的なクチコミを見て購入を決めることがある」に「当てはまる」と回答したのは23.7%にとどまった。

消費者庁は6月14日に公表した2023年度の「消費者白書」と「消費者意識基本調査」で、消費者がクチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態について調査
評価点数が低くても好意的なクチコミによってはいい作用も?(画像は消費者庁の公表した「消費者白書」より編集部がキャプチャ)

また、「評価の点数が低くても、家族や友人が勧める商品であれば購入することがある」は48.7%だった。

消費者庁は6月14日に公表した2023年度の「消費者白書」と「消費者意識基本調査」で、消費者がクチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態について調査
「クチコミ<家族や友人の勧め」という層も半数近い(画像は消費者庁の公表した「消費者白書」より編集部がキャプチャ)

著名人やインフルエンサーのお勧めに対する影響についても聞いた。15.3%が「信頼する著名人やインフルエンサーが勧めた商品であれば信用できる」と回答。年代別の傾向では、10代後半が32.2%で最も高く、次いで20代が25.3%だった。

消費者庁は6月14日に公表した2023年度の「消費者白書」と「消費者意識基本調査」で、消費者がクチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態について調査
10代後半は著名人やインフルエンサーの発信に信頼高く(画像は消費者庁の公表した「消費者白書」より編集部がキャプチャ)

購入検討の際に重視する情報源として、「インフルエンサー」と回答した人は15-29歳が9.1%で最多。若い年代は他の年代と比べてインフルエンサーの影響を受けやすい可能性がうかがえる。

クチコミ行動をしたことがある人は半数弱

消費者のクチコミ行動についても聞いた。「SNSやクチコミサイト、動画サイト等で、商品やサービスに関してしたことのある反応」を聞いたところ、「お気に入り」「いいね」「高評価/低評価」をつけたことがあると回答した人は42.8%。続いて「リツイート」「リポスト」「シェア」の経験がある人は15.0%、「投稿」「コメント」経験ありは21.1%。いずれかの反応をしたことがあると回答した人は47.9%となった。

年齢別の傾向では15-29歳の年代では、いずれかの反応経験ありが74.4%。投稿やコメント以外のリアクション経験も高い傾向にあった。

消費者庁は6月14日に公表した2023年度の「消費者白書」と「消費者意識基本調査」で、消費者がクチコミから受ける影響やクチコミ行動の実態について調査
4割がSNSリアクションなどクチコミ行動経験がある(画像は消費者庁の公表した「消費者白書」より編集部がキャプチャ)

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