ミネルヴァHDに対するソパージャのTOB成立へ、上場廃止で経営の自由度高める
フィッシング・アウトドア用品のECを手掛けるナチュラム・イーコマースなどを傘下に持つミネルヴァ・ホールディングスは5月17日、筆頭株主であるオキシレングループの投資会社ソパージャ エス ピー アール エル(以下ソパージャ)が実施していたTOB(株式公開買い付け)により、ソパージャが議決権割合で66.31%の株式を取得する見込みとなったと発表した。決済日は23日。TOB成立に伴い、今後ミネルヴァHDは上場廃止の手続きを進める。
TOBへの応募は51万5941株で、買い付け予定数の下限である35万5150株を超えたため、ソパージャは応募株式の全てを取得する。ソパージャの発行済み株式に対する議決権割合は従来の29.99%から、66.31%になる。ソパージャにはミネルヴァHDの創業者で、会長兼社長の中島成浩氏が取締役に就いており、実施されたTOBは実質的なMBO(経営陣による株式の買い取り)になる。
今回、創業者一族はTOBには応募していない。創業者一族が議決権割合で保有する議決権の所有割合は約25%で、売却しないことでソパージャと合意している。ソパージャは発行済み株式の74.12%を上限に最大約5億8622万円を投じて株式を取得する計画を掲げていた。
TOB成立後も中島社長兼会長がミネルヴァHDの指揮を執る予定で、株式非公開で経営の自由度を高める。メーカー商材を中心に取り扱うミネルヴァHDにとって、価格競争などが続く現在の経営環境は決して良好とはいえない。非公開化で上場維持に関するコストを削減。経営の自由度を高め、現在拡販を進めているプライベートブランド商材などの販売に注力する。
ミネルヴァHDは07年10月に、持ち株会社に移行する前のナチュラム時代に大証ヘラクレスへ上場。近年は価格競争の激化で業績が低迷。14年1月期業績は、4期連続の最終赤字を計上した。だが、収益改善は縮小しており、4期ぶりに営業黒字への転換を果たしている。
EC黎明期の90年代後半から、実店舗を運営していた「ナチュラム」(ミネルヴァ・ホールディングスの前身)でECを始めたのが、現会長兼社長の中島成浩氏。圧倒的な品揃えを武器にシェアを獲得していくロングテール戦略を取り入れ、EC事業を拡大。店舗を閉鎖し、EC一本で事業を進めてきた。
老舗釣り具店が、ジャスダックに上場したのは07年。その後、経営環境はガラリと変わった。消費低迷、新規参入企業の増加などで、価格競争の波が押し寄せ、ミネルヴァHDもその波に飲まれるようになった。
そんな中、オキシレングループとの資本・業務提携で、オキシレンが取り扱うブランドの日本販売を推進。プライベートブランドの取り扱いの幅を増やし、従来の戦略からの方針転換を進めている。数年間に及ぶ業績低迷という辛酸をなめた中島氏は、従来通りミネルヴァHDの経営に携わる。非上場化によって今後どのように変わっていくのか。中島氏の舵取りに注目が集まる。