杉崎 健史 2015/8/20 9:00

PC・スマホ・アプリとさまざまなデバイスが登場し、ユーザーのカスタマージャーニーも多様化し、データなしではマーケティングができない状況になってきています。最終回となる今回は、これらを踏まえてデータドリブンマーケティングをするにあたり、これから必要になると予測するマーケティングオートメーション化への流れに関して解説します。

取得できるデータ量の増え、情報の処理ができなくなってきている

インターネット上には、PCとスマートフォンとタブレットの3種類のコンタクトポイントが存在します。そのなかでも圧倒的にシェアを伸ばしているのはスマートフォンです。

また、スマートフォンには、スマホWebとアプリが存在し、アプリの可処分時間は9割にも及びます。

インターネット上でのカスタマージャーニー(=ユーザーの行動)も多様化しています。また、EC運営者側のマーケティング手法もWebとアプリでは異なり、管理指標も同様です。取得できるデータ量も多くなる為、属人的な人間の能力だけでは情報の質・量を処理ができなくなってきている現状があります。

ソーシャルメディア施策を行いたいEC企業は減っている

シャノンの調査資料を見てみると、EC企業が今後実施したい活動は、オンライン/オフライン、自社サイト強化、アドテクノロジーの活用、データ一元管理等と多岐に渡り、統合型のマーケティングが必要になってきます。

その中で、ソーシャルメディアへの意欲低下とオウンドメディアの台頭が目に付きます。特に、ソーシャルメデイアは、コンテンツ運用や企画、ユーザーとのリレーションなど、人的リソースが必要ですので、優先順位が下がっていると推測できます。

この中で一番重要なのは、顧客の一元管理です。オンラインでとオフラインで集めた顧客を一元管理し、売り上げや、接触情報などのデータと融合したデータベースを構築することを指します。これが、集客の為の広告配信やCRM、自社売上分析、将来予測などに役立ちます。すべての戦略の基点となるのです。

多種多様な目的毎に仕様の異なるツールを使い分けることは困難

このマップは、マーケティングテクノロジー施策として、どのようなカテゴリがあるのか? カテゴリ毎にどのようなマーケティングテクノロジープレイヤーがいるのか? などをまとめた資料です。

先ほどのEC企業の今後実施したい活動内容と照らし合わせて見ると、Eメールマーケティング、アドテクノロジー、ソーシャルメディア、CRM、DMPなど、統合型マーケティングを実現するにあたって、必要なツールがラインナップされています。

1つの目的を実現する為にツールを導入することは、非常に効率的。しかし、多種多様な目的毎に仕様の異なるツールを使い分けることは困難であり、使いこなすのも時間がかかります。つまり、より作業が煩雑化する恐れが出てくるのです。

また、担当範囲において部署をまたいでしまうと、他部署との兼ね合いで連携できないといった問題も出てきます。

マーケティングオートメーションの重要性

これは、ECサイト運営で最低限必要なことと、集客に必要なグロースハックで必要なことをまとめています。前述の通り、別々のツールを導入・運用しようとすると、作業効率が劇的に悪化します。

そこで、業務の分散化、煩雑化したツールの利用環境を一元化して効率化しようという流れが出てきています。それがマーケティングオートメーションの所以です。

ハブスポットやマルケトなどのマーケティングオートメーション専用に最初から開発されたツールもあります。各目的毎に開発されたマーケティングテクノロジーツールであっても、API連携しているSalesforceなどのツールも沢山あります。各種データを連携させて、汎用性のある1つのツールに寄せていくことも可能でしょう。

これらのマーケティングオートメーションツールを活用することで、人でなくてもできる集計・統計分析などは、システムで代替することが可能になります。今までの人的な作業負荷やコスト、時間が削減でき、スタッフはクリエイティブな仕事に時間を配分できるようになります。

また、データを元にした統合型マーケティングも加速するので、PDCAのパターン解析による機会学習で予測モデルを確立させ、意思決定を容易にする効果も期待できます。

今後留意しなくてはいけないポイントは、IT領域部門、経営管理部門、営業・販売促進部門、マーケティング部門等の他部署とのデータ連携を強化していく必要があること。今後どんどん進化していくデータとテクノロジーを使いこなすスキルセットを身につけていく必要があります。

アメリカでは、マーケティングオートメーションツールを導入している企業は、導入していない企業と比べて2倍のリードを獲得し、マーケティング活動の効率化も2倍できているという実績もあります。

今後、日本でもマーケティングオートメーション市場が盛り上がっていくことが予想され、新たなマーケティング施策の1つとして注目されていくでしょう。

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