Amazonプライムの会員向けサービスを拡充するため、EC業界トップのアマゾンと、全米トップのカード発行会社がタッグを組み、新たなクレジットカードを発行する予定です。クレジットカードに申し込むと、70ドル相当のアマゾンギフト券がもらえます。

全米EC事業 トップ500社」(インターネットリテイラー社発行)で第1位にランクインしているアマゾンは、J.P.モルガン・チェース社と協業し、プライム会員を対象としたクレジットカードAmazon Prime Rewards Visa Signature Card(アマゾン・プライム・リウォード・ビザ・シグニチャー・カード)」を提供すると発表しました。

数千万人のAmazonプライム会員に向けた特典付きカード

アマゾンの買い物で5%のキャッシュバックが実施されるほか、レストランやガソリンスタンド、ドラッグストアでの利用で2%その他の買い物でも1%のキャッシュバックが行われます。また、海外でカードを利用した際、海外取引手数料が無料になります。ただ、アマゾンカードを使って戻ってきたキャッシュバック分に関しては、アマゾンでの買い物しか利用できません。

5%のキャッシュバックは、ターゲット(全米EC事業 トップ500社第22位)が自社カード『Redcard』の利用者に提供しているリベートと同率です。小売業界で、アマゾンの地位を確立しようという試みだと考えられます。

決済コンサルティング会社Mercator Advisoryグループのリサーチオペレーション副社長であるケン・パターソン氏はこう話します。

パターソン氏は、カードを海外で使う際に海外取引手数料が無料になる特典も、プライム会員にとっては魅力的だと説明します。

アマゾンが大切にしている“顧客層のニーズ”に応えるようなクレジットカードにしているわけです。それは、お金持ちで、海外に旅行するような層です。

決済業界向けの雑誌「ニルソン・レポート」のオーナーであり、発行者でもあるデイビッド・ロバートソンは、アメリカの消費者がクレジットカードを使った借入を避ける傾向が高まっていると説明。そのようななか、クレジットカード会社チェースは、支払いを複数回にわけるといった利息を払ってくれる利用者を積極的に開拓しているそうです。

何千万人もの会員を抱えるプライム会員は、チェースにとって良い潜在顧客になり得るのです。プライム会員は「大量に製品を買い、良い買い物をしようと情報を集め、最終的には得をする買い物がしたいと考えている人たちです」とロバートソン氏は話します。

クレジットカードに申し込んでもらうための施策として、カードの申込書が届いた段階で70ドル相当のアマゾンギフトカードをプレゼント。プライム会員以外もクレジットカードに申し込むことができますが、キャッシュバックは3%になります。

金融コンサルティング会社のJavelin Strategy & Research社で支払い部門のディレクターを務めるマイケル・モーサー氏は、アマゾンのクレジットカードについて次のように説明します。

素晴らしいサービスが付帯されたカードです。一般カードに申し込むと50ドルのギフトカード、プライムカードだと70ドルのギフトカードがもらえます。初年度のプライム会員費用がほぼカバーできる金額です。年会費もありません。ガソリンスタンド、ドラッグストア、レストランでの使用で2%、それ以外の買い物でも1%のキャッシュバックがあります。

ECサイトでの購入で3%(店舗では1%)、ウォルマートガソリンスタンドでの利用で1%のキャッシュバックを展開しているウォルマート(「全米EC事業 トップ500社」で第4位にランクイン)と比較しても、アマゾンカードは全体的にお得な内容になっているのです。

また、モーサー氏はこう付け加えます。「アマゾンの一般会員にとっては、プライム会員になるきっかけになります。既存のプライム会員は、プライムがさらに魅力的な価値あるものに変わります。クレジットカードのポイントが統合されて決済時に表示されるので、アマゾンカードは使いやすさと、存在感を増していきます」

プライム会員を対象としたクレジットカード「Amazon Prime Rewards Visa Signature Card(アマゾン・プライム・リウォード・ビザ・シグニチャー・カード)」
プライム会員を対象としたクレジットカード「Amazon Prime Rewards Visa Signature Card(アマゾン・プライム・リウォード・ビザ・シグニチャー・カード)*編集部が画像を追加

アマゾン副社長「プライムの価値をより高めていく」

過去10年間でアマゾンが進めた戦略の大きな柱の1つは、プライム会員を増やすこと。プライム会員は、一般会員よりもはるかに多くの買い物をアマゾンで行います。99ドルの年会費を払えば、アマゾンで売られているプライム対象商品4000万アイテムが送料無料(2日配送)、プライムビデオで映画やテレビ見放題、29都市で即日配送、小さい商品に限っては30都市で2時間以内配送のプライムナウが利用可能になります。

アマゾンの副社長、マックス・バードン氏はこう語っています。

アマゾンのクレジットカードは、アマゾン以外での買い物に関してもキャッシュバックを行うことで、プライムの価値をより高めていきます

Mercator Advisoryグループのパターソン氏は、アマゾンは無料配送サービスとして始まったプライム会員制度に、次から次へと新しいサービスを付加していると説明。プライム会員制度を次のように評価します。

プライムのサービスはどんどん広がっています。送料無料サービスとして始まりましたが、今ではビデオ視聴、クレジットカードサービスなどさまざまな付加価値が付いているのです。当初の送料無料サービスとは全く異なるものになりました。

アマゾンによると、プライム会員数は全世界で数千万人に抱えるそうですが、正確な数字は公表していません。株式調査会社Consumer Intelligence Research Partnersの試算では、2016年9月時点におけるアメリカでのプライム会員数は6500万人プライム会員のアマゾンでの年間平均購買額は1200ドルと試算しており、それは一般会員の倍の金額です。

アマゾンは過去にも、大手企業のロゴが入ったタイアップによるクレジットカードを発行すると同時に、別の方法でもクレジットカード会社と協業してきました。たとえば、ディスカバー・ファイナンス・サービスが提供するクレジットカードでは、キャッシュバックポイントをアマゾンで使用できるサービスを展開。アマゾンの支払い方法で、ディスカバーのカードを選択すると、決済ページでポイントが表示されるようになります。また、ディスカバーの携帯アプリの中で、キャッシュバックポイントをアマゾンポイントに変換することも可能です。

ディスカバーカードの一般的なキャッシュバック率は1%。アマゾンで特定の商品を購入すると5%のキャッシュバックを行う期間限定キャンペーンを定期的に行っています。また、「ディスカバー・イット」というカードでは、カードを使って初めてアマゾンで買い物をすると、75ドルが請求書から減額されるサービスもあります。消費者は、アマゾンでカードの申し込みをすることが可能です。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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