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小売事業者は、幅広い配送オプションの中から適切なサービスを選択して提供、消費者が商品を簡単に返品できる環境を用意する必要があります。

驚くほど競争が激しいeコマースの世界で、小売事業者たちは常に売り上げアップ、コスト削減につながる新たな方法を模索しています。

大切なことは、オンラインで買い物をする消費者を引きつけ、お客さまになってもらうためのカスタマーエクスペリエンスの向上です。

ECで十分な利益を計上してる企業は1割

オンラインで買い物をする消費者の中で、ミレニアル世代は特にモバイルデバイスでのショッピングを好みます。配送面では、スピード配送時間指定配送方法のオプションなど、消費者の要求は高くなる一方です。

送料無料の要求に加え、消費者は最安値のサイトを検索し、価格が一番安かったECサイトで購入する傾向が増えているため、EC事業者の利益はどんどん少なくなっています

サプライチェーンソリューションを提供するJDAとコンサルティングファームのPwCが行った調査によると、350の世界的な小売業者のわずか10%しか、ECサイトの運営で十分な利益を上げていないようです。

オムニチャネルを実施しながら利益を上げていると回答した企業は10%
ネッ担編注:赤枠内は、オムニチャネルを実施しながら利益を上げていると回答した企業は10%だったという主旨(編集部がJDAの資料をキャプチャして追記)

Amazon(アマゾン)の抜け目ないオペレーション、拡大し続けるロイヤリティプログラム(Amazon プライム)を見ると、すでに「ゲームオーバー」と感じる人もいるかもしれません。豊富な資金、複数の収益源を確保しているアマゾンと競争することは難しいでしょう。

しかし、マーケティング支援企業CPC Strategy社が公表した最新レポートによると、オンライン通販を利用する人の半分以上は、時々または常にアマゾン以外のサイトで価格を確認するため、すぐにアマゾンを訪れて商品を購入するわけではないようです。

消費者の23.1%は商品購入を決める要素として価格を1位にあげていますが、配送は19.8%と僅差で2位につけています。ソフトフェア開発などを手がけるMetapack社の調査では、「配送サービスが良い通販・EC事業者のサイトで再び買い物をしたいと思う」と回答した人は87%にのぼっています。

配送サービスが良い通販事業者で再度買い物をしたいと思うと回答した人は87%
ネッ担編注:赤枠箇所は、配送サービスが良い通販事業者で再度買い物をしたいと思うと回答した人は87%だったという主旨(編集部がMetaPackの資料からキャプチャして追記)

アンケート回答者が各社の配送サービスを格付けしたMetapack社の調査によると、アマゾンは他のEC事業者を引き離してトップに。こんな絶大な人気を誇るアマゾンから学べることは何でしょうか?

アマゾンのフルフィルメントが他の事業者よりも優れているのは以下の3点です。

① 配送オプション

Metapack社が実施した調査によると、回答者の61%は「配送オプションが豊富な業者から買い物する」と答えました。

世界各国で行った調査では、平均61%が配送オプションの豊富な事業者から買い物すると答えた
ネッ担編注:世界各国で行った調査では、平均61%が配送オプションの豊富な事業者から買い物すると答えた(編集部がMetaPackの資料からキャプチャして追記)

Home Depot(ホームデポ、ネッ担編注:住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーン大手)社はこのほど、追加送料を支払うと即日配送サービスを利用できるサービスを試験的に始めましたのですが、即日配送サービス自体はそれほど利用されませんでした。しかし、配送オプションが増えた影響によって、全体のオーダー数が明らかに増えたというのです。

配送オプションは、消費者の期待に応えるサービス設計である必要があります。多くの消費者が抱く期待やニーズに応えることができるアマゾンの配送サービスは、同社の大きな特徴になっています。

Logitech(ロジテック、ネッ担編注:コンピュータ周辺機器の製造販売会社)社のサイトは、多くの製造業社のサイトと同様に、希望小売価格を掲載していますが、アマゾンでは同商品がはるかに安く販売されています。

この重要なことは、ロジテック社が配送日数を4~7日、もしくは2~3日としているところ。アマゾンは配送日数を4日とし、曜日指定もできるようにしています。アマゾンは消費者に配送オプションを提供するとともに、正確に消費者の期待値をコントロールしているのです。

UPSが通販・EC利用者を対象に行った調査(2016年実施)では、回答者の48%が「配送日指定サービスの有無は購買を決める際に重要だ」と答えました。一方、豊富な配送オプションが欲しいと答えながら、42%が買い物時に陸上配送(ネッ担編注:飛行機ではなく列車やトラックなどの陸上輸送を使用して荷物を運ぶ)を指定しています。また、回答者の46%は「配送日数が長すぎる」「配送日が不明」という理由でカート離脱をしています

31%が配送スピードのオプションがあると購入の決め手になると回答、46%は配送日数が長すぎたり不明だったりするとカートを離脱すると答えている
ネッ担編注:31%が配送スピードのオプションがあると購入の決め手になると回答、46%は配送日数が長すぎたり不明だったりするとカートを離脱すると答えている(編集部がUPSの資料UPS からキャプチャし追記)

もちろん、消費者の期待に応えることは重要です。つまり、約束通りに配送することです。

まずは、配送業者の詳細な配送サービス実績のレポートをチェックしましょう。データを分析し、特定の場所に届けるにはどの配送業者が良いかなど、最適な業者を選択していく必要があります。

国営の配送業者をアメリカ全土で採用するのは、サービスレベルやコストを考えると次善の策と言えるでしょう。国際配送に関しては、少し複雑になりますが、データ分析をすれば最適な業者を選択できるはずです。

② 配送の可視化

配送スピードや配送オプションは重要なポイントですが、オーダーや配送の可視化も重要度が高くなっています

アマゾンなどトップEC事業者は、商品が注文されると同時に注文状況を表示します。注文確定から、配送通知、運送状況までを表示、配送を可視化しているのです。可視化は消費者にとって大変重要な要素です。

3PL事業者のDotcom Distribution社が2016年に発表した「早い配送と質の高い包装で消費者のロイヤリティを高める」という調査では、「注文状況を把握できない小売事業者や、発送や配送が確認できない小売事業者からは商品を購入しない」と答えた回答者は47%でした。

注文状況がわからない事業者や、発送や配送が確認できない事業者からはもう商品を購入しないと答えた回答者は47%
ネッ担編注:注文状況がわからない事業者や、発送や配送が確認できない事業者からは商品を購入しないと答えた回答者は47%(画像は編集部がDotcom Distribution社の資料をキャプチャし追加)

ECプラットフォームなどのConvey社が実施したアンケートでは、消費者の75%は「情報共有が重要」と回答。その内の38%は「何か問題があったらすぐに知らせて欲しい」と回答しました。

UPSが2016年に行った通販・EC利用者対象の調査でも、回答者の30%が「発送の際にメッセージを受け取るかどうか選択できる機能が重要だ」と答えています。

30%が発送の際にメッセージを受け取るかどうか選択できる機能が重要だと答えている
ネッ担編注:30%が発送の際にメッセージを受け取るかどうか選択できる機能が重要だと答えている(編集部がUPSの資料からキャプチャし追記)

国際市場では、配送の可視化に関する期待値はさらに高いようです。DHL社がドイツで行った調査では、88%が「荷物のトラッキング番号に直接アクセスしたい」と回答。

84%が配送業者を知りたいと答えました。そして、消費者の85%が、ECでは「荷物をトラッキングできるサイトへの直リンクがあることが重要」と回答しました。

配送業者の選択はとても重要なことです。消費者が使用するプラットフォームで配送状況を適切に可視化できる配送業者が、消費者の高い期待に応えられる業者なのです。

③ 返品の効率化

UPSが行った通販・EC利用者対象の調査(2016年実施)によると、ECでは返品が消費者の満足度に大きく関わっているようです。

アマゾンは早くて簡単な返品サービスを提供しています。返品のプロセスは、消費者の購買履歴と完全統合され、ユーザー自身で返品処理することができます。ほとんどのケースでは返品時の送料が無料です。返金フローは、返品商品がアマゾンに到着した時ではなく、返品を配送する業者が商品を確認した段階で返金されます。

便利で使いやすい返品プロセスを提供することは、eコマースのバリューチェーンすべての要素に関わってきます。

Webサイト同様、返品ポリシーやプロセスも簡単でわかりやすくなければなりません。米国では発送の際、返品の説明や返品用ラベルを封入しておくのがEC事業者の慣例になっています。

オンラインで返品手続きを始めると、返品ラベルの用意、配送の説明、返金、トラッキング、最終確認までのプロセスが簡単に把握できる仕組みであることが重要です。

返品プロセスで大事なのは、どの場所に返品するかという点。UPSの調査では、回答者の60%が「実店舗に返品したい」と答えました。

40%が事業者に、60%の回答者が実店舗に返品したいと答えました
ネッ担編注:回答者の40%が小売事業者に、60%が実店舗に返品したいと答えた(編集部がUPSの資料からキャプチャし追記)

しかし、オンライン通販だけの小売事業者では、これを実現することはできません。そのため、消費者が返品時に利用する配送業者が(消費者にとって)便利な場所に存在していることが重要です。

UPSの調査では、消費者の55%が「配送業者に返品を持ち込む」と答え、21%が「配送業者の配達ボックスかUPSのピックアップサービスを利用する」と答えました。

ネッ担編注:55%が配送業者に返品を持ち込むと答え、21%が配送業者の配達ボックスかUPSのピックアップサービスを利用すると答えた(編集部がUPSの資料からキャプチャし追記)

ほぼ全ての配送業者が、簡単に返品できるサービスを提供しています。しかし、消費者の利便性を損なわないためにも配送業者のロケーションは必ず考慮しましょう

返品の仕組みはいくつもありますが、大切なのは「便利」「簡単」「ストレスフリー」であることです。

◇◇◇

eコマースの世界は急激に変化しています。アマゾンの影響で、消費者ニーズも同時に変化しています。

配送、オーダーの可視化、返品が効率的に行えるオペレーションを持つECサイトは、将来的にアマゾンのサービスレベルに近づくことができます。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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