アフィリエイトをASPから自社プログラムに移行したらどう変わる? 年間63億円を売るマーケットエンタープライズの事例
消費者や企業からネット経由でユーズド商品を買い取り、販売するマーケットエンタープライズ。30もの買取サイトから買い取った商品は、自社ECサイトの「ReRe(リリ)」、ヤフオク!、楽天市場、eBayなどで展開し、年間63億円(2018年6月期)も売り上げる。在庫回転率は年12回転。家電や釣り具、医療機器や農機具まで幅広い商品が入れ替わり立ち替わり売られていく。
会社設立は2006年(事業開始は2004年)。右肩上がりの成長を続け2015年に東証マザーズに上場したマーケットエンタープライズのECビジネスを取材した。
成長を遂げた秘訣は多様な買取サイトの展開
買い取り型のECを手がけるマーケットエンタープライズのビジネスの肝は、買い取り件数を増やすこと。年12回転という在庫回転率が示すように、1か月に1回は数万点を超えるすべての在庫がなくなる計算。在庫の確保が事業拡大を担う1つの要素となっている。
2017年6月期の月間平均買取依頼件数は3万6000件。売上高の拡大とともに買取依頼件数は増えており、2016年6月期から6000件も増えている。
買い取るジャンルは電動工具、鉄道模型、教材、楽器、家電、釣り具など幅広い。近年は中古医療機器、農機具・農業機械などの買い取りもスタート。いわゆる、ビジネスユース向けの中古買い取り&販売にも進出している。
買取専門フラッグシップサイトの名称は「高く売れるドットコム」で、ジャンルごとに専門サイトを運営。買い取った商品は自社ECサイトの「ReRe(リリ)」などで販売する。
仕入れ量を確保するためのマーケティング手段は、主にリスティング広告とSEO施策、アフィリエイト広告がメイン。近年は中古販売市場が活性化しており競合が増加、「CPAも限界があるので、SEMは頭打ち感がある」(金子良太マーケティング室長)。
そのため、いま注力しているのがアフィリエイト広告。2017年まではASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)を活用していたが、2018年に自社アフィリエイトプログラムに移行した。
自社アフィリエイトに移行した理由
ASPを活用していた当時、アフィリエイトを担当していたのは2人。各ASPに20超のサイトを登録し、アフィリエイターを募る。そして運用。その作業量は膨大だった。なかでももっとも手を焼いたのがレポーティング作業だった。
「仕事はレポート作り(苦笑)。『PDCA』の“PD”で終わってしまう」。こう振り返るのは、当時からアフィリエイト業務を担当しているマーケティング室の齊藤数馬氏。各ASPの管理画面から、各サイトのレポートデータをダウンロードする場合、たとえば、「A」「B」「C」というASPを活用していれば、1サイトだけで3つのデータをダウンロードしなければならない。そして、そのデータを付け合わせる。それが20超のサイト分が発生する。
CSVをマージする方法を長らく採用してきたため、「数字が合わないとか、おかしな数字が発生することはざら」(齊藤氏)。こうした状況が4年ほど続いたという。
こうした状況を打破するために、マーケットエンタープライズはASPから自社アフィリエイトへの移行といった思い切った決断を下す。これまでASPで築いたアフィリエイト会員とのネットワークを、新たにゼロから構築しなければならないといったデメリットもあった。
たが、今後、「レポーティング業務のデジタル化、業務の効率化は避けては通れない。運用業務の『デジタルによる可視化』は、事業拡大のためには必要不可欠だった」(金子氏)。
マーケットエンタープライズのECサイト、在庫や受注管理システムなどは自社開発。こうした自社システムとAPIでつなぎ、デジタルマーケティングの施策を効率化できるシステムを探しているところで見つけたのが、パートナライズが提供する「Partnerizeパートナーマーケティングプラットフォーム」だった。
「Partnerizeパートナーマーケティングプラットフォーム」が公開しているAPIとマーケットエンタープライズの各種システを連携。各種サイトのデータを付け合わせるといった作業がなくなったのはもちろん、データのリアルタイム追跡、買い取りから販売データの可視化などが可能になった。
たとえば、買い取りから販売というフローが発生するビジネスモデルでは、一般的な販売よりも、「仕入れから販売までの期間が長い」(金子氏)。そのため、エクセルの付け合わせでは、買い取りから販売までのデータを追うことができなかった。
「Partnerizeパートナーマーケティングプラットフォーム」上でのデータ連携、柔軟なパラメータ設定により、「買い取りの集客→買い取り→審査→販売→配送」といった販売までの長い業務フローでも、買い取りから販売までを可視化、コンバージョンに直結したアフィリエイターのデータも追跡できるようになった。
自社アフィリエイトへの移行によって、アフィリエイターとの関係も変化した。金子氏はこう言う。
アフィリエイターに直接コンタクトし、関係性を構築できる。コミュニケーションを通じてアフィリエイターの質を上げることもできるし、自分たちでアフィリエイターの方々をコントロールできるようになった。それは買い取りの集客にも大きく影響している。
ASPではさまざまな作業が発生するため、1サイトごとにアフィリエイターへの報酬額を設定していた。自社アフィリエイトへの移行後、システム上で条件に応じた報酬額の設定が可能となり、商材の粗利を意識したプライシングも実現できるようになったという。
また、コスト削減にも成功。商材ごとの報酬額設定などによって運用費はASPを使っていたときよりも「削減できている」(金子氏)。登録アフィリエイターの母数は減ったものの、質の向上によって集客効果は維持。今後は直接アフィリエイターと接触していく機会を増やし、質の高い集客場所を確保していく方針を掲げる。