EC化率4割超のスニーカー販売「atmos」運営企業が仕掛けるデジタル施策とは
「アトモス」などスニーカーを中心としたセレクトショップを展開するテクストトレーディングカンパニーは、自社ECを強化する。コアユーザーの囲い込みに向けてスマホアプリの利用促進を図るほか、通販サイトのリニューアルにも着手してスニーカーが好きな幅広い層にアプローチできるサイトとして存在感を高める。
同社は「ナイキ」をはじめとする人気ブランドとのコラボスニーカーを数多く展開しているのが強みで、企業の成長とともにECチャネルの売り上げも伸ばしており、前期(2018年8月期)のEC化率が40%以上、EC売上高は40億円強で、自社運営サイトの構成比が過半を占める。
スニーカーマニアなどコアなユーザーに向けては、新しい買い物体験を提供する目的で2月1日に同社初のスマホアプリ「アトモスアプリ」を始動。同アプリでしか購入できない商品の展開やアプリ限定ニュースを配信することで付加価値を付けるほか、プレミア商品の抽選機能を実装した。
従来、プレミア商品の販売時は店舗に千人規模で行列ができることもあり、店舗スタッフの負荷などが課題だったため、同アプリを通じて事前に予備抽選を行うほか、本抽選の対象者が指定の時間に店舗近くにいることをアプリ上のGPSで判断。本抽選に参加できる仕組みとし、入店時には“もぎり”機能も用意してオペレーションの改善につなげる。
同アプリには4月中旬をメドに会員証機能を持たせる。これまではECだけだった会員システムを実店舗にも段階的に広げ、6月にもECと実店舗のポイント連携をスタート。リアルとネットの相互利用を促すのに加え、顧客分析を強化して提案力を高める考え。
3月1日にはAR(拡張現実)技術を用いたアプリ「アトモスAR」をローンチ。同社が3月4日にナイキの歴代エアマックスを特集したスニーカーブック「ビジブル・バイ・アトモス・エアマックス・マガジン」をプロデュースしたのに合わせて、対象ページに付いたARマークをアプリでスキャンすると商品の説明動画が見られるようにするなど、コアなファンに向けた体験型アプリとして展開する。
一方、安定成長に向けてはスニーカーブームが続いているうちに次の一手を打ちたい意向で、「幅広いユーザーへの認知拡大が不可欠」(岡山暢祐ECビジネス事業部部長)とし、ポイントアップキャンペーンなどマス受けする施策を検討しているほか、自社ECのコンテンツも充実させる。
同社では店舗販売員の協力を得て、商品のスタッフレビューやコーディネート提案を強化しているほか、ユーチューブでも「アトモス」の販売スタッフがさまざまなブランドの注目スニーカーを紹介する「アトモスTV」を配信。同動画コンテンツは好評を得ているため、現状の週1回程度から同3回以上の更新を目指すとともに、幅広いユーザー向けの商品提案も増やす考え。
3月末以降には自社通販サイト「アトモス公式通販」(画像)のリニューアルを実施。コアユーザー以外にも買いやすいサイトを目指す考えで、“パーソナライズ化”をキーワードに、「何を選んでいいか分からないユーザーに対してもスニーカー屋としてしっかりレコメンドしていく」(岡山部長)という。同社ではMAツールも導入し、実店舗の情報も吸い上げて来訪者一人ひとりに最適な提案を行っていく。
また、リニューアルに伴い、プレミア商品のEC抽選会は従来の代引き決済からクレジットカード払いに改める。同社によると、EC当選者に商品が届くのはプレミア商品の発売後となるため、高額な値段がつかないと判断した商品の受け取りを拒否する当選者もいるようで、カード決済とすることで転売目的の購入を防ぐ狙い。
加えて、今回のサイト刷新では従来の大手ベンダーから小回りの利くベンダーに変更。これまで以上に各種施策を迅速に打てるようにし、自社ECの機動力を高める。
同社は今期(19年8月期)もEC売上高は2ケタ増を計画。自社ECを中心に順調に推移しているが、今後は写真撮影といった付帯業務は外部委託を増やし、企画立案や顧客分析に力を注いで自社ECの強化を図る。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
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