次世代通信規格「5G」への移行に伴い「文字や画像よりも動画を見る、動画文化になる」。数年先をこう見据えるのはTikTok Adsの鈴木瑛氏(Head of X Design Center)だ。EC業界でも注目されるショートムービープラットフォーム「TikTok」の最新インサイトなどを鈴木氏が解説する。

「TikTok」を使うユーザーってどんな人?

「TikTok」の普及で変わったことは、文字や画像よりも動画を見るユーザーが増えたこと。これからは、いかに動画を通じたコミュニケーションを取れるかが重要になる。(鈴木氏)

TikTok Adsが動画に関するユーザーの動向と実態をまとめた「TikTokユーザー白書(2019.8)」(「TikTok」ユーザー1036人、ノンユーザー1036人がネット調査に回答、対象は15~69歳の男女)によると、40.1%が「文字や画像より動画を見ることが増えた」と回答「何かあったら、まず動画を撮る」といったユーザーも2割にのぼった。

TikTok Adsが動画に関するユーザーの動向と実態をまとめた「TikTokユーザー白書(2019.8)」によると、40.1%が「文字や画像より動画を見ることが増えた」と回答
文字や画像よりも動画を見るユーザーが増えているという

スマホなどでの動画の閲覧や撮影が急速に普及している状況を踏まえ、鈴木氏は次のように指摘する。「これからはよりユーザーと向き合わなければならない。『TikTok』は長尺ではできない、短尺動画だからこそのアプローチができる」。

「TikTok」ではダンス系の動画といったイメージが強いが、最近ではアウトカメラ(モバイル端末の背面に搭載されたデジタルカメラ)で撮影したコンテンツが急増。飼っているペット、旅行の景色、アート系、How to系といった動画の投稿、および閲覧が増えているという。

「TikTok」のキーワードはダイバーシティ。投稿も閲覧ニーズも多様化してきている。(鈴木氏)

なお、「TikTok」は現在、150の国と地域、75の言語に対応。米国の調査会社Sensor Towerの発表によると、「TikTok」は全世界で累計ダウンロード数は15億件を超えている(2019年11月時点)。

若年層を中心に利用者が拡大している「TikTok」について、「TikTokユーザー白書(2019.8)」を基に、最新インサイトを見ていきたい。

「TikTok」で見た商品を購入するユーザーも

44.1%が「TikTok」で聴いた音楽を思わず口ずさむと回答し、28.4%が「TikTok」のことが友人間で話題になると答えている。そして、「『TikTok』内で紹介された商品サービスを購入」するユーザーは12.7%にものぼった。鈴木氏は言う。

「TikTok」が生活に浸透し、ユーザーの生活を変え始めている

「『TikTok』内で紹介された商品サービスを購入」するユーザーは12.7%にものぼった
「TikTok」内で紹介された商品サービスを購入するユーザーは12.7%にものぼる

高いエンゲージメント

「TikTok」を利用している時間帯では、トップが54.8%で「家にいる時」。27.8%が「その他空き時間」と回答し、昼休みや移動中など、家にいる時以外の日常生活で利用されているという。

他の調査になるが、TikTok Internal Data(App Annie : 2019.05)では、1日あたりの「TikTok」平均視聴時間は42分という結果も。「短尺の影響によって、電車の中や待っている時など、隙間時間でも利用されている」(鈴木氏)

TikTok Internal Data(App Annie : 2019.05)では、1日あたりの「TikTok」平均視聴時間は42分という結果も
1日あたりの「TikTok」平均視聴時間は42分という結果も出ている

買い物意識が高い「TikTok」ユーザー

「TikTok」ユーザーはノンユーザーと比べ、アクティブで購買に積極的な傾向にあるようだ。「TikTok」ユーザーとノンユーザーの「買い物意識」のスコア差では、「衝動買いする」という「TikTok」ユーザーはノンユーザーよりも10.3ポイント高い。また、「広告でよく見る商品を買うことが多い」という「TikTok」ユーザーはノンユーザーよりも6.5ポイント多かった

買い物意識に関するデータをまとめると、「TikTok」ユーザーは次のような項目でノンユーザーを上回っている。

買い物意識に関するデータをまとめると、「TikTok」ユーザーはノンユーザーよりも買い物意識が高い
「TikTok」ユーザーはノンユーザーよりも買い物意識が高いという結果も

アクティブなユーザーが多く、消費意欲の高いユーザーが多いことも「TikTok」の特徴と言える。直感・感覚的で変化や楽しいことに価値を置いており、スマホなどのデジタルデバイス上でアクティブなアクションを起こすユーザーが多い。(鈴木氏)

動画時代の重要なマーケティング要素は「WTF」

いまの時代は令和ではなく“飽和”の世の中。流れる情報も商品も飽和状態。つまり、モノもコトも満ち足りた時代になった。課題起点の共感を探すのが困難になってきている。(鈴木氏)

TikTok Adsの鈴木瑛氏(Head of X Design Center)
TikTok Adsの鈴木瑛氏(Head of X Design Center)

こうした環境を踏まえ、従来の「ニーズ(Needs)」「ウォンツ(Wants)」を満たすマーケティングは機能しにくい状況になりつつあると指摘する鈴木氏は、今後、「TikTok」のユーザー属性から見えてきた「WTF」と呼ぶ3つの要素が、企業のマーケティング活動に役立つと説明する。その「WTF」とは、「What the FXXk(なんてこった)」の頭文字をとった略称。それは何を意味するのかというと、

  • W……WISH(よりよい世の中に変えたいという思い。欲求ではなく願いとでも呼ぶべき気持ち)。よりよい世の中を作るために何ができるのかとユーザーは考えている)
  • T……TRY(あらゆるものに充たされ安定した、この世の中で気軽な達成感は嗜好(しこう)品のような存在になっている。ユーザーは変化に富んだ人生を送りたいと考えている)
  • F……FUN(気まぐれ、思いつき、ナンセンスなんだけど面白いことをユーザーは求めている)

EC業界において広告の利用動向が急速な変化を遂げており、特に若年層のビジュアルコミュニケーションにおいてはバナーから動画へのシフトが進んでいる。中でも「TikTok」に代表されるショートビデオはデジタルネイティブ世代のポップカルチャーをリードしていると言われる。こうした動画利用者、いわゆるデジタルネイティブ世代とのコミュニケーションとして、「WTF」は重要な要素になる鈴木氏は言う。

また、TikTok Adsは、ユーザーへのアプローチ方法として、広告配信プラットフォーム「TikTok Ads」を展開。各種プロダクトを活用した統合型のマーケティングソリューションを提供している。広告主は「TikTok Ads」を使えば、最適なユーザーへターゲティング配信することでき、「効果的にユーザーの興味・関心を惹くことができる」(鈴木氏)。

「TikTok Ads」の広告メニューには、

  • 「Top View」……起動時の15秒間、最初のインフィード動画として配信できる、1日1社限定の音声付き動画広告
  • 「Take Over Ad」……「TikTok」の起動画面を1日ジャックできる
  • 「Infeed Ad」……60秒以内の音声有り広告を配信できる
  • 「#Challenge」……ユーザーとのエンゲージメントを高めるためのチャレンジ企画
  • 「Stamp」……ユーザー体験とブランド体験を融合させるスタンプ機能

といったものが用意されており、ターゲットや目的などによって企業は使い分けることができる。「TikTok」のインサイト、そしてそのユーザーにリーチする方法を説明した鈴木氏は次のようにまとめた。

デジタルネイティブ世代は、より良い世の中を作りたい、達成感を得たいといった新しい価値観を持っており、その価値観によって新しい消費のマーケットが作られてきているこれからは動画文化が来る。動画によるコミュニケーションとして「TikTok」に注目してもらいたい。

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瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

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