米国の消費者はサンクスギビング(編注:米国の感謝際)の週末の5日間で何百万もの商品をオンラインで購入するため、オンライン小売事業者が迅速な配送の約束を果たすには、最大限の稼働が求められます。

Macy's、Gap、“ゆっくり配送”選択者に特典提供

大手小売事業者Amazon、Gap、Targetなどは、迅速な配送が特典になることは理解しつつも、すべての消費者がそれを必要としているわけではないと認識しています。

Macy's(メイシーズ、2019年度のDigital Commerce360トップ1000社 第5位)とGap(同第28位)は、サンクスギビングからサイバーマンデーまでの期間(サイバーファイブ)に配送を遅らせること(ゆっくり配送)を選択した消費者に特典を提供しました。

Macy'sのECサイトで提供している”ゆっくり配送”オプション。選択した顧客には、Macy'sで利用できる10ドル分のギフトカードを付与
Macy'sのECサイトで提供している”ゆっくり配送”オプション。選択した顧客には、Macy'sで利用できる10ドル分のギフトカードを付与

Macy'sは、通常3~6日以内の配送を6~9日以内に遅らせる“ゆっくり配送”に変更した消費者に、12月4日から16日の間にオンラインや店舗で使える10ドルのギフトカードを提供しました。この件でMacy'sにコメントを求めましたが、回答は得られませんでした。

“ゆっくり配送”の利点は、繁忙期のコスト削減、供給能力へのストレス緩和

ラストワンマイルの配送ソフトウェアベンダーであるConvey社のCEOロブ・テイラー氏によると、“ゆっくり配送”は配送コストの削減に直接関係しているそうです。しかし、いくら削減されるのか平均的な金額はわかりませんでした。

Forrester Research社の主席アナリスト、ブレンダン・ウィッチャー氏によると、多くの大手小売事業者は既に倉庫のネットワークを持ち、1日で配送可能な圏内店舗からの配送機能を持っているため、“ゆっくり配送”は必ずしもコスト削減にはつながらないそうです。むしろその利点は、労働力と供給能力へのストレスを緩和することだと、ウィッチャー氏は言います。

現実には、小売事業者は板挟み状態なのです。顧客満足度を向上させるために、2日以内または翌日の配送を提供したいと考えていますが、運用上、一定期間内に倉庫または店舗から出荷できる品目数には制限があります。(ウィッチャー氏)

Gapは、Old Navy、Gap、Banana Republic、Athleta、Hill Cityなど、同社のeコマースブランドすべてにおいて、出荷ペースを遅らせるためのインセンティブを提供しました。(2019年の)サンクスギビング前日の11月27日から12月4日まで、消費者は200ドルのギフトカードが当たるチャンスを得るために、カートのページに表示されている“ゆっくり配送”を選ぶことができました。Gapの広報担当者によると、毎時間、複数の消費者がギフトカードに当選したそうです。

Gapの”ゆっくり配送”オプション。6~10営業日以降の配送日を選択すると、送料無料(50ドル以上の購入が必要)オプションの他、数百ドル相当のギフトカードが当たるキャンペーンに参加できる
Gapの”ゆっくり配送”オプション。6~10営業日以降の配送日を選択すると、送料無料(50ドル以上の購入が必要)オプションの他、数百ドル相当のギフトカードが当たるキャンペーンに参加できる

Gapがギフトカードプレゼントキャンペーンを実施したのは2019年で3回目ですが、この特典を利用した消費者の数は公表されていません。広報担当者は次のように述べています。

このキャンペーンは、繁忙期の週に注文はするものの、すぐにオーダーした商品を必要としていないお客さま向けです。お客さまから好評をいただいているだけでなく、我々も最も忙しい週の1つであるこの時期に、物流センターの稼働を分散させることができます。

顧客は必ずしも迅速な配送を求めているわけではない

DSW、Sephora、Amazon、Targetの“ゆっくり配送”特典とは?

Convey社のテイラー氏によると、サンクスギビングの日に注文する消費者の多くは、クリスマスの日まで約1か月も商品を必要としていないこともあるので、これは理にかなっていると言います。

配送に関する誇大宣伝に巻き込まれるのは簡単です。配送オプションは増え続けており、以前よりも早くて便利になっていますが、消費者は常にすべてを超高速で配送されることを求めているわけではありません。(テイラー氏)

靴小売業のDSW社(2019年度のDigital Commerce360トップ1000社 第184位)や化粧品小売業のSephora(LVMH傘下、同第20位)は、サイバーファイブ期間中に“ゆっくり配送”を選んだ消費者にボーナスポイントを提供しました。Amazon(同第1位)とTarget(同第16位)は2019年、配送が遅れても良いとした消費者へのインセンティブ提供を開始し、この施策を通年で実施しています。

Amazonは2月に「Amazon Day」をローンチしましたが、これはプライム会員が、配送日が1~2日遅くなっても注文商品をすべて同じ日に配達してもらえることを選べるオプションです。Amazonは遅い配送を選択した消費者に、デジタルストリーミングやPrime Now経由の配送を迅速にするなど、他のサービスで利用できる1ドルのクレジットを提供しています。何百万人ものプライム会員が「Amazon Day」を利用していると、広報担当者はDigital Commerce360に話しました。

2019年4~6月期(第2四半期)にTarget.comは、発送時期が遅くなる可能性があるものの、消費者が注文をより少ない回数で配送することを選択した場合、1ドルの割引を提供しました。

Targetの広報担当者は以前、Digital Commerce360に対し、「お客さまの反応を見ると、その多くは配送回数を減らしたいと考えています。オンラインショッピングを快適にするのはスピードだけではありません」と述べていましたが、同社はサイバーファイブ期間中の動向に関してはコメントを控えました。

大手運送会社のFedExとUPSは、季節労働者を増やし処理能力を拡大して、ホリデーシーズンの需要増加に対応しています。

たとえばFedExの広報担当者によると、同社は一部の従業員の勤務時間を増やしたり、約5万5,000人の季節労働者を採用したりして、仕分け拠点を拡大・追加して効率性を高め、荷物の量や場所の変動に適応しているそうです。UPSは季節労働者を10万人雇用し、ピーク時に対応できるよう処理能力を増強していると、同社の広報担当者が明かしています。

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この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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