【2020年トレンド予測】カスタマーエクスペリエンス向上施策で押さえるべき5つの変化
2019年は、シンプルで印象的で一貫性のあるエクスペリエンスに対する消費者の期待が高まり続けた1年でした。2020年は、消費者とのつながりを深めるカスタマーエクスペリエンスを追求するために、企業はより厳格に運用していくことでしょう。それらの変化は5つの主要な流れの中で顕著に現れます。
消費者の80%「企業が提供するエクスペリエンスは商品やサービス同様に重要」
2019年は、シンプルで記憶に残る一貫したエクスペリエンスに対する消費者の期待が高まり続け、ビジネスのあらゆる側面で企業のパフォーマンスに対するプレッシャーが増大しました。実際、Salesforce社の最近の調査では、消費者の80%は企業が提供するエクスペリエンスは商品やサービスと同じくらい重要だと考えていると報告さしています。
2020年に目を向ける前に、まずは正直に振り返ってみましょう。2019年は、消費者の要求に対して積極的に対応していましたか? 大胆で決断力がありましたか? それともでたらめなアプローチを採ってしまいましたか?
先進的なブランドは、消費者と関わる人材に再投資し、消費者に関する知識を可能な限り得ようとしています。
もし、2019年がカスタマーエクスペリエンスの競争として象徴されるとしたら、2020年は、消費者とのつながりを深めるカスタマーエクスペリエンスを追求するために、企業はより厳格に運用していくことになるでしょう。
そして、それらの変化は以下の5つの主要な流れの中で起こります。
2020年、企業がカスタマーエクスペリエンスを追求するために起こる5つの変化
1.マーケティングとeコマースチームは同じKPI、結果を共有する
比較的最近まで、マーケティングチームとeコマースチームはそれぞれ独立した組織で、それぞれが独自に運営する企業が大半でした。
Salesforce社のレポートによると、共通の目標と指標を共有しているマーケティングチームとeコマースチームの割合は現在、半分に留まっています。
調査会社のAltimeter社の見解も同様で、マーケターはデジタルマーケティングにおける取り組みの目標を、最も有名な「ブランド認知」に置いていますが、実はその成功となるKPIは収益で測られているのです(調査対象企業のうち55%)。このように、目標とKPIの間にギャップがあることは、戦略的な同期が為されていないことを表しています。
やるべきことはたくさんありますが、マーケティングチームとeコマースチームはすでに密接に連携して、KPIの達成、カスタマージャーニーの最適化、および潜在顧客のコンバージョン関する責任を共有し始めています。それでも、調整は難航しているようです。
2020年は、売り上げ、市場浸透率、ブランド認知、顧客維持に関する共通の目標を達成するために、eコマースチームとマーケティングチームの連携に重点が置かれるでしょう。
必然的に両チームが、メール開封率や「いいね!」の数といったソフトなものではなく、多大なビジネスインパクトがある売上高、取引高、平均受注額、顧客減少などを測るための、一連の測定基準を共有することになるかもしれません。
たとえば、Whereoware社は、複数のブランドを持つ独立系ディーラーを通じて商品を販売するグローバルな消費者ブランドと提携しています。販売店の競争が激化しているため、マーケティングチームは、本質的なブランドへのロイヤリティを高めるためその場ですぐに購入に至る見込み客が、店舗に来店することを目標としています。この目標を達成するために、ブランドのマーケティングサイトは、競合他社よりもさらに先を行き、タッチポイント全体でパーソナライズされたエクスペリエンスを設計しているのです。
2. eコマース担当者は機械学習とAIアプリケーションの活用法を学ぶ
我々が関わっている多くのブランドはAIの波に乗りたいと思っていますが、それが何を意味するのかはわかっていません。洗練度のレベルはさまざまですが、それらのブランドのほとんどは、すでにAIを使っているのです(自覚しているかどうかは別にして)。
ほとんどのeコマースサイトは、商品レコメンデーションエンジン、コンテンツレコメンデーションエンジン、パーソナライゼーションエンジンなど、さまざまなAIアプリケーションを使用しています。
これらのソリューションはすべて、ユーザー行動などを予測し、行動を起こさせ、結果を測定し、どの商品やメッセージが特定の個人にもっとも響くのかを評価するアルゴリズムを保有。eコマースサイトは、戦略を最適化し、さらにはそれらのインサイトを他のチャネルに適用できます。AIアプリケーションは、そのために設計されているのです。
ただし、それらのアルゴリズムは、企業の個々の目標をサポートするように調整する必要があります。商品レコメンデーションエンジンはコンバージョン率とAOV(平均注文額)を向上させるように設計されているかもしれませんが、もしそれらの目標だけを最適化しているのであれば、低コストや競争率の高い商品にのみ焦点を当てているのかもしれません。
これは、消費者との強固な関係を構築し、より高いLTVを推進することを長期的な戦略に掲げている場合、不利に働く可能性があります。
eコマース担当者がこれらのアルゴリズムを理解し、自ら微調整する必要があると言いたいわけではありません。これらのツールを使って、売上目標を達成しながら、いかに消費者と商品との出合い、ブランド体験を強化するための戦略を最適化できるのかを理解する必要があるのです。
3. eコマースチームはAIツールに大量のデータ提供する
上記のAIコメントに関する要点をあげると、eコマース担当者は顧客ファイル、CRMデータ、商品の収益性などより多くのデータをツールで生かすために、2020年に労力などを費やすことでしょう。
AIを個々の企業向けにカスタマイズすることの重要性は、いくら強調しても足りません(その企業に固有の大量のデータがあると仮定しての話です)。
ツールが自社のファーストパーティデータにアクセスできない場合、そのツールに使用するアルゴリズムは、自社データと似ていると思われる他社データに基づいてレコメンデーションを行います。
こうした傾向においてバランス(より多くのデータを使用したアルゴリズムを調整)を取ることが、最大限の成果をもたらし、意味のあるカスタマーエクスペリエンスを促進する唯一の方法です。
4. 消費者に最も近い人材へ投資する
過去数十年にわたって、ブランドがカスタマージャーニーを理解し、見込み客を獲得するための戦略を実行へ向けて、デジタル技術への集中的な投資が行われてきました。
しかし、セールス担当者やカスタマーケアなどの人間は除外されていました。ですが、人間は依然としてブランドの武器となる最も価値のある(そして高価な)販売チャネルなのです。
先進的なブランドは、消費者と関わる人材に再投資し、消費者に関する知識を可能な限り得ようとしています。これは、Nordstromが販売担当者にiPadを持たせた数年前に始まった傾向です。販売担当者はCRMシステムを利用して過去の購入履歴、嗜好、返品状況などのインサイトを得て、消費者と話すときに適切な提案をすることができます。
2020年は、企業がこの機能をさらに強化し、より幅広いデータに投資し、顧客対応スタッフがすぐに利用できるようにデータの可視化に力を入れていくことでしょう。
5.マーケティング担当者はより厳格にコンテンツを作成する
オーディエンスの感情を刺激し、記憶に残るストーリーを語れるコンテンツは、常に王者であり続けるはずです。しかし、感情の刺激とブランド想起だけでは十分ではありません。
最近、コンテンツが価値あるものになるためには、タイムリー、かつ時代に左右されないものでなければならないと熱烈に信じているマーケターのプレゼンテーションを聞きました。
彼は要点を明確にするため、1970年のファッションの写真を2枚紹介しました。1枚はディスコウェア、ポンチョを着た男性、レジャースーツという本当にひどいもので、もう1枚は「ティファニーで朝食を」の中で黒いドレスを着たオードリー・ヘップバーンのものです。そう、良いコンテンツはいつまでも続くのです。
2020年のマーケターは、人々がブランドに関わり続けられるようなコンテンツを作ることに集中するでしょう。しかし、6か月や12か月後にブランドが恥をかくコンテンツにならないよう、注意する必要があります。
CMSでコンテンツ制作が容易になったため、忘れたくなるようなコンテンツの増加も含め、コンテンツの寿命は延びました。また、コンテンツのアトリビューション分析に力を入れれば、どのメッセージが最も効果的に販売ファネルに移行させるのかを理解することもできます。
消費者がブランドにより多くを期待するように、企業はカスタマーエクスペリエンスへのアプローチにおいて、大胆で、戦略的で、厳格でなければいけません。
これらの傾向はいずれも特に驚くようなものではありませんが、組み合わせることで、BtoBおよびBtoCの消費者を意味のある方法で導くことができます。2020年、みなさんはどのような計画を立てていますか?