森野 誠之 2020/7/28 8:00
ネッ担まとめ

昨年は5月に公開された経産省の「電子商取引に関する市場調査」。令和元年版が公開されました。日本のBtoC-ECの市場規模は7.65%増の19.4兆円。昨年の調査結果ですので、コロナの影響は含まれていないのでご注意を。

BtoC-ECの市場規模は19.4兆円で7.65%増

電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました | METI/経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003.html

まとめると、

  • 2019年のBtoC-ECの市場規模は19.4兆円(前年18.0兆円、前年比7.65%増)、BtoB-EC市場規模は353兆円(前年344.2兆円、前年比2.5%増)、CtoC-ECの市場規模は1兆7,407億円(前年比9.5%増)
  • 中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は1兆6,558億円(前年比7.9%増)、米国消費者による越境EC購入額は9,034億円(前年比9.7%増)
  • 物販のBtoC-ECにおけるスマートフォン比率は42.4%とこの5年で2.1倍に
BtoC-ECの市場規模および物販系EC化率の経年推移(単位:億円)「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)
BtoC-ECの市場規模および物販系EC化率の経年推移(単位:億円)

令和元年も国内EC市場は伸びていますね。10年前は7.8兆億円ほどでしたので急成長なのがわかります。それに合わせてEC比率も高まって物販のBtoC-ECでは42.4%と半分に迫る勢いです。注意したいのは調査期間が2019年1月から2019年12月ということ。コロナの影響を受けてECがどれぐらい伸びたのか、旅行や飲食などのサービス系ECがどれぐらい落ち込んだのかといったあたりは来年の結果を待つこととなります。ご注意を。

第3章の「国内経済等の動向」や第7章の「世界のEC市場の動向と日本・米国・中国 ヵ国間の越境EC市場規模」は、ECに限らずWebに関わっている人なら参考になる部分が多いはずです。

関連記事

Googleが「Shoploop」公開、GunosyがECに参入

グーグルがモバイル用動画ショッピングプラットフォーム「Shoploop」をローンチ | TechCrunch Japan
https://jp.techcrunch.com/2020/07/17/2020-07-16-googles-latest-rd-project-is-shoploop-a-mobile-video-shopping-platform/

Gunosy(グノシー)がネット通販事業に本格参入、ECを新たな収益の柱へ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7858

まとめると、

  • Googleは90秒以内の動画で商品を消費者に紹介できる動画ショッピングプラットフォーム「Shoploop(ショップループ)」を公開した
  • 現在はスマートフォンのみだが、PCからもアクセスできるように準備中
  • Gunosyは「グノシー」の「クーポンタブ」を切り出して展開しているクーポンアプリ「オトクル」内で、日用品のテスト販売を始めた

このエクスペリエンスはYouTubeでチュートリアル動画を見るのに似ているが、一番の見せ所に凝縮されており、その意味ではTikTokのほうが近い。
(中略)
オンラインで顧客とつながる新しい手段を増やせば、このインターネットの巨大企業の収益は上がる。そして、動画とインフルエンサーによって強化されるショッピング・エクスペリエンスは、特に若い顧客層を引きつけることになるだろう。

Googleの「Shoploop」はInstagramやTikTokに奪われたユーザーを取り戻すことを目的としているようです。実際に見てみると似ているとわかると思いますが、作っただけの感がありますので今後拡大していくかは注目です。

Gunosy、は新型コロナウイルスの影響によって広告主の予算不透明化、広告市場を含めた景気の長期低迷リスクが顕在化していると説明。「グノシー」を中心とした既存領域は収益性向上に注力し、新規領域への積極投資に方針転換した。

Gunosyはライバルに対抗するのではなく、コロナの影響で先行きが不透明な広告事業以外に収益が見込めるものを立ち上げたということのようです。調査データにもあるようにECは伸びていますからね。

EC新規参入のコツは、できる人を採用すること

新型コロナ対策で安易に「ネット通販」に手を出すと失敗する4つの理由 | マネー現代(竹内 謙礼)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73808

まとめると、

  • ECの新規参入で失敗するポイントは、①制作コストが高い ②手数料や送料も高く、利益が出にくい ③売れるものと売れないものの差が激しい ④人材がいないの4つ
  • 知識・経験ゼロで始めるのは危険
  • EC事業は平常時でも成功させるのが難しい事業。異常事態の中で成功させるのはさらに難しいと思ったほうが良い

ネットショップ運営の成功の可否は人材で決まるところが大きく、その人材が確保できないのであれば、ネットショップ運営というハードルの高いビジネスには手を出さないほうが得策といえる。

すでにネットショップを始めていたり、SNSで良質なお客様を抱え込んでいたりする企業であれば力を入れる価値はあるが、経験も知識もゼロで始めるには非常に厳しいビジネスだということは理解しておいたほうがいいだろう。

著者自身も否定的な意見ばかり書いたとありますが、私もこの4点に関しては同感です。ネットショップを立ち上げることは簡単にできますが、事業は簡単には立ち上がりません。すでに顧客がいるのであれば、その人たちにアプローチすることから始めましょう。新しいことはネットショップ運営に慣れてから。

EC全般

泣き寝入りの消費者に 返金手続き始まる | NHK 解説委員室(くらし☆解説)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/432854.html

ECの不正が増えているのでその対策を2つ。「国から特別な認定を受けた消費者団体が、消費者に代わっておカネを取り戻してくれる制度」が2016年にスタートしています。不当な勧誘などで支払ったお金が戻ってくる可能性があります。

ネット通販で代金を振り込んだら音信不通に 詐欺にだまされた…どうすればいい? | Yahoo!ニュース(前田恒彦)
https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20200718-00188640/

「振り込め詐欺救済法」を使ってお金が戻ってくる可能性があります。

「置き配」で増える「オートロック無断突破」 アマゾン配達員が明かす現場の事情 | J-CAST ニュース
https://www.j-cast.com/2020/07/18390296.html

私の経験では、大手業者ではなく個人事業主などの配送で頼んでもいない置き配が多いように思います。配送業者を選択できるのであれば大手が安心かも。

「ECはオリジナル商品強化」「既存顧客に注力」「自社ノウハウを活かした物流提案」スクロール鶴見社長に聞くコロナ禍の成長戦略 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7848

「消費行動の変化をウオッチしながら対応していくということにつきる」。消費行動の変化はこのまとめでも継続的にピックアップしていきます。

洋服屋は何を発信し、店舗の役割は何が残るのか?【UNIQLO TOKYO体験記】 | 川添 隆と皆で模索する、小売ビジネス・働き方ノート/エバン合同会社
https://evanh.jp/n/n53db76c07d78

店舗の得意な領域は「偶然の出会い」「一覧性」「店舗の品格」。ECで偶然の出会いは少ないですよね。

ステラ漢方、KMウェブ、ソウルドアウト社員の薬機法違反逮捕、大阪府警「情報提供あった」 | NETIB-NEWS
https://www.data-max.co.jp/article/36806/

広告主、代理店、制作委託先から逮捕者出ています。薬機法はわかりづらいですが細心の注意を。こちらの記事も参考に。

今週の名言

単純ですが、「できている人を見る」ことです。
──畠山和也氏

新規事業開発を実践してきた人たちが語る、事業創造のための「アンラーニング」とは? | Biz/Zine
https://bizzine.jp/article/detail/4718

新しいことをやる時、変化しないといけない時は「できている人を見る」のが重要です。見るというより観察に近いでしょうか。

筆者出版情報

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