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産直ECサイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデンが2020年8月に発表した「食べチョク物流構想」。生産者側と消費者側の双方が抱える出荷や配送のペインを解消する取り組みだ。ヤマト運輸や簡易宅配ボックス「OKIPPA」を提供するYperとの連携に加え、「かなり先の展開まで構想ができている」という。「食べチョク物流構想」の全容を、ビビッドガーデン シニアマネジャーの酒井勇輔氏に聞いた。

「産直EC」ならではの課題

コロナ禍でニーズ急増も、人手不足で生産者から悲鳴の声

産直ECの「食べチョク」はサービス開始から4年が経ち、2020年12月時点の登録ユーザー数は前年同月比で28倍と急増した。新型コロナウイルス感染拡大による「生産者の応援消費ニーズ」を受けたためだ。こうした状況下、ビビッドガーデンが「食べチョク物流構想」の実現に向けて動き出したのは、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年4月のことだった。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響が出始めた4月。ユーザーの急激な増加で、浮き彫りになったのが物流面での課題だった。「注文件数が増えるにつれて今までの人員だけでは発送が追いつかない」など生産者のリソース不足の課題に対し、早急に対策を講じる必要があった。その後、4か月でヤマト運輸との連携のプレスリリースを発表(8月)。そこから2か月後の10月に本格始動となった。

食べチョクトップページ
食べチョクトップページ(画像:サイトからキャプチャ)

「食べチョク物流構想」は、生産者、消費者それぞれの課題を解決する取り組みだ。

まず生産者側の課題。「食べチョク」では注文が入った場合、生産者が自ら梱包や発送手続きを行う。生産者と消費者が直接つながれることは産直EC最大の魅力。生産者側は仲買などを通すよりも利益を確保しやすいというメリットがあるが、一方で発送業務などが負担になっていたところもある。

「食べチョク」を利用すると、(直販なので)利益を確保しやすいが、梱包作業や発送作業などの手間がかかる側面もある。人手不足に悩んでいる生産者も多く、これらの手間をかけるくらいなら利益は下がっても既存の流通に出した方が良いと、産直ECに踏み出せない生産者も多くいた。こうした手間を省き、生産者の皆さまには、生産に注力してもらう環境を作りたかった。(ビビッドガーデン シニアマネジャー 酒井勇輔氏)

ビッドガーデン シニアマネジャー 酒井勇輔氏
ビビッドガーデン シニアマネジャー 酒井勇輔氏(画像:ビビッドガーデン 提供)

「食べチョク」はそれまで、プラットフォーマーのため物流に介入してこなかった。生産者が自由に配送会社を選択し発送手続きを行ってきたが、コロナ禍でのニーズの高まりを受け、注文件数が急増。「前から物流面の課題は認識していたが、注文件数が急増することで生産者さんにとって負担がさらに大きくなった」(酒井氏)と、発送面の改善を決めた。

続いて消費者側。

消費者は当然、送料はなるべく安い方が良いと考えている。また送料の最適化以外にも、産直ECを使えば使うほど受け取りの回数が増え、到着時間に合わせて自宅にいる必要があるなど、受け取りの手間が気になるようになる。この手間も減らしていきたいと思った。(酒井氏)

ユーザーから届く「みんなの投稿」は、食べチョク内の人気コンテンツ
ユーザーから届く「みんなの投稿」は、食べチョク内の人気コンテンツ(画像:サイトからキャプチャ)

第1弾はヤマト運輸と提携

「食べチョク物流構想」の第1弾として、生産者側の「発送の手間を無くし」、送料を「安くする」を実現するヤマト運輸との連携を開始した。

従来は生産者自身が伝票を手書きで作成し、伝票番号を手打ちで入力する必要があった。注文数が急増した4月以降、特にこうしたアナログ業務によって生産者の負荷が急増していた。

食べチョクでは、新型コロナや自然災害などの被害に遭った生産者の情報をまとめて公開している
「食べチョク」では、新型コロナや自然災害などの被害に遭った生産者の情報をまとめて公開している(画像:サイトよりキャプチャ)

ヤマト運輸との提携で、「食べチョク」に入った注文データを自動連携。生産者はヤマト運輸が持ち込む印字済みの伝票を受け取り、荷物に貼り付けるだけで発送できるようになった。また従来の送料に対し、最大47%オフで提供できる「食べチョク特別送料」を適用できるようにもなった。

ヤマト運輸との連携で、「(生産者から)出荷業務がかなり楽になったという声が多数寄せられている」と酒井氏は話す。

「受け取る手間」を解消するOKIPPAとの取り組み

「食べチョク物流構想」第2弾として11月に打ち出したのは、簡易宅配ボックス「OKIPPA」を提供するYperとの連携だ。消費者の受け取りストレスをなくすための施策として、「食べチョク」デザインのオリジナル置き配ボックスを共同開発した。

Yperと食べチョクが共同開発したオリジナルOKIPPA
Yperと食べチョクが共同開発したオリジナル「OKIPPA」

消費者は「食べチョク」のヘビーユーザーになればなるほど、複数の生産者から商品が届くことになるため、受け取り回数が増加。受け取りの度に家に居る必要があるなど手間が気になるようになる。

玄関前に簡易宅配ボックスを設置することで、こうした「受け取りの手間」を減らすことが、「OKIPPA」との連携を行った狙いだ。

「食べチョク」の置き配バッグは、大きい荷物も受け取れる(※2リットルのペットボトル18本が入る大容量サイズ)だけでなく、盗難防止用のカギをつけられるなどの特徴がある。

「食べチョク」とYperが共同開発したオリジナルOKIPPAの特徴
「食べチョク」とYperが共同開発したオリジナル「OKIPPA」の特徴

コロナの影響もあり、置き配を選択する人が前よりも増えているが、今後ECの利用頻度があがってくるとさらに置き配の利用者が増えてくると考えている。(酒井氏)

「食べチョク物流構想」、今後の方向性

「食べチョク」が掲げる物流構想の今後の展開について酒井氏はどのように考えているのだろうか。

かなり先の展開まで考えている。一貫しているのは「『食べチョク』の物流を手間なく、安く」を突き詰めていくこと。(酒井氏)

その上で、2つ大きな方向性があるという。

1つは、生産者の梱包、発送の手間をさらに減らしていくこと。伝票自動処理を実現したが、「まだ効率化できるところはある」(酒井氏)として、それらに取り組んでいく予定だ。

2つ目は、物流の効率化による送料最適化

配送ルールの見直しや効率化の検討をしながら、送料を最適化していく。(酒井氏)

食べチョク、オンライン料理教室などオンラインイベントを行うことも
オンライン料理教室などオンラインイベントを行うこともある(画像:サイトよりキャプチャ)
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公文 紫都

ネットショップ担当者フォーラム編集部

公文 紫都(Shizu Kumon)

通販・EC業界専門紙記者、ITベンチャー勤務を経て2012年に独立。8年間フリーでライターをした後、2020年4月からネットショップ担当者フォーラム編集部に在籍。4年間NYで暮らしていた経験を生かし、海外の展示会取材なども積極的に行っている。猫派。@shidu

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