消費者はホリデーシーズン中のサプライチェーンの混乱を避けるため早めに買い物をし、2021年の広告を起点としたWebサイトのトラフィックは前年比で堅調に推移しました。デジタルマーケティング企業Merkle社の調査では、2021年第3四半期のクリック単価は前年同期比41%増加したのに対し、第4四半期は銅13%の増加にとどまっており、広告主は安堵しています。

2022年は事前計画をしっかりと立て、変種急増を注意深く監視するように

多くの消費者がサプライチェーンの問題を警戒、通常より早く商品を購入したため、ホリデーシーズンの売り上げは分散した」とMerkle社のメリッサ・ライリー氏(パフォーマンスメディア&マーケティングコミュニケーション担当アソシエイトディレクター)は言います。小売事業者のマーケティング担当者が、10月という早い時期からお買い得商品を提供したことも、この傾向を後押ししました。

その結果、Merkle社の「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」によると、2021年10月と11月の広告を起点としたWebサイトのトラフィックは、12月に比べて多くなっています。10月と11月に買い物をする消費者が増えたため、一部のブランドは12月の広告費を減らしたとMerkle社は見ています。

また、人員不足とサプライチェーンの課題によってブランドは販売できる在庫が少なくなり、広告費をそれほど積極的に使わなかったとライリー氏は指摘。次のように感謝祭の週末前後の時期を分析しています。

マーケティング担当者の立場からすると、5~6週間というまとまった広告費投入のタイミングがなかったということです。

『Digital Commerce 360』とBizRate社が1033人の消費者を対象に実施した「2021年ホリデー調査」(2022年1月実施)では、「品切れが予想されたため、早めに買い物をした」と32%が回答。また、62%の消費者がホリデーシーズンの買い物で一部または多くの商品の品切れに気付いたそうです。

小売事業者は、2022年は事前計画をしっかりと立て、「今年後半に発生する可能性のあるオミクロンのようなコロナウイルスの変種急増を注意深く監視するように」とライリー氏は提言しています。

オンライン広告コストが低下傾向

2021年第4四半期は、第2四半期、第3四半期と比較して、オンライン広告のコストが低下しています。消費者が広告をクリックするたびに広告主が支払うクリック単価(CPC)は、2020年第4四半期と比較して2021年第4四半期は13%増。一方、広告経由のトラフィックは7%減少しています。緩やかなクリック数の減少によって、広告費は前年同期比6%増となりました。

CPCとインプレッション単価(CPM)は、広告が1000インプレッション/ビューを獲得するごとに企業が価格を支払う広告オプションで、2020年の第2四半期と第3四半期は、第4四半期よりも大きく低下していました。ライリー氏は、これが「2021年第2、第3四半期のCPC、CPMの増加率が誤解を招くほど膨らんだ」と分析しています。

米国のデジタル広告への投資状況 米国全体の有料検索広告費、クリック数、クリック単価の前年比
米国全体の有料検索広告費、クリック数、クリック単価の前年同期比。有料検索サービスの利用が減速、クリック単価は下落している(Google、Microsoftなど、Merkle社が計測したすべての検索連動型広告を含む、出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

Googleの2021年第4四半期における米国内の有料検索ボリュームは、第3四半期と比較してわずか7%の増加。CPCの伸びが軟調であったことが一因で、CPCの第4四半期における伸び率は14ポイント増でした。Merkle社によると、クリック数は引き続き減少していますが、第2四半期、第3四半期と比較すると劇的には減っていないようです。

米国のデジタル広告への投資状況 米国全体におけるGoogleの有料検索支出、クリック数、クリック単価
米国全体におけるGoogleの有料検索支出、クリック数、クリック単価。Googleの有料検索が減速、クリック単価は14ポイント上昇(出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

Markel社によると、トラフィックコストがより高くなった結果、Googleにおける検索広告のクリック数は前年同期比ベースで減少を続けています。10月のクリック数が前年同月比2%減にとどまったのは、消費者のホリデーショッピングの開始時期が早まったため。消費者は、品切れや配送の遅れを最小限に抑えたいと考えたのです。

クリック数は減少したものの、CPCが上昇したため、小売業の広告費への支出は前年同期比6%増となりました。

米国のデジタル広告への投資状況 小売業向け検索広告クリック数の月別伸び率の前年比
小売業向け検索広告クリック数の月別伸び率の前年同期比。第4四半期まで減少傾向。10月のオンラインホリデー・ショッピングの早期開始が一因(出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

旅行関連サイトの検索では、有料検索、オーガニック検索ともに2020年より増えました。Googleのオーガニック検索の訪問者数は前年同期比41%増。Google有料検索は、広告費が同40%増、CPCが同12%増となり、クリック数は同25%増となりました。Merkle社によると、消費者が年末年始の旅行を予約したため、11月は全体的にオーガニックトラフィックが増加しています。オーガニック検索訪問者数の合計は同1%減少し、3%減少だった2021年第3四半期と比較して改善。モバイルの訪問者数は前年同期比6%増で、スマートフォンが牽引しています。

B2Bウェブサイトの検索からのトラフィックも増加し、第4四半期にはGoogle有料検索が7%増、Googleオーガニック検索が4%増でした。CPCは9%増加し、全体の広告費は前年同期比17%増になっています。11月はB2Bオーガニック検索がピークになり、訪問者数は前年同期比13%増でした。

米国のデジタル広告への投資状況 小売業、B2B、旅行業におけるGoogle広告費、クリック数、CPCの前年比
小売業、B2B、旅行業におけるGoogle広告費、クリック数、CPCの前年同期比。小売業の広告費は、クリック単価の上昇により前年同期比6%増に(出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

Google検索のオーガニック訪問者総数は前年同期比1%減、携帯電話とタブレットを合わせたモバイル訪問者数は同6%増となりました。

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Googleオーガニック検索全体とモバイルでの訪問者数の伸び。Google検索のオーガニック訪問者数は前年同期比1%減、モバイル訪問者数は6%増(出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

なお、Microsoft Advertisingにおける前四半期比の広告費とCPCの伸びは減速した一方、クリックの伸びは改善しました。しかし、Microsoftの広告費は前年同期比3%減、クリック数は4%減でした。Merkle社によると、CPCの伸びは同1%でした。

米国のデジタル広告への投資状況 マイクロソフトの広告 米国検索広告全体の前年同期比(
マイクロソフトの広告 米国検索広告全体の前年同期比(広告主はマイクロソフトの広告費を3%増加。検索広告のトラフィックは前年同期比4%減少。出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

Amazonでは広告主へのリターンが向上

Amazonスポンサープロダクト広告からの売上高は前年同期比12%増。クリック数は同11%減。CPCは同27%減少し、広告費は同35%減となりました。

Amazonスポンサープロダクト広告は、最強のクリック単価を維持しています。クリック単価は、第3四半期と比較して3ポイント上昇し89%増。スポンサーディスプレイ広告のクリック単価も、第4四半期は同9%増の59%になりました。

米国のデジタル広告への投資状況 Amazonスポンサープロダクト広告の前年比
Amazonスポンサープロダクト広告の前年同期比。Amazonスポンサープロダクト広告費でクリック数は11%減、売上高は12%増(出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

スポンサーブランド広告のCPCは2四半期連続で同75%近く増加した後、同4%減少。クリックからのトラフィックも前年同期比で減少(-33%)し、その結果、広告費も35%減少しています。Merkle 社によると、売上高も前年同期比で減少していますが、その数字はマイナス20%と、他に比べると減少幅は小さいようです。

米国のデジタル広告への投資状況 Amazonブランド広告の前年同期比成長率
Amazonブランド広告の前年同期比成長率。Amazonスポンサーブランド広告のCPCは4%減少、クリック数は33%減少し、広告費は35%減に(出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

2021年第4四半期のAmazonのプラットフォームにおける全検索広告インプレッションのうち、スポンサープロダクト広告は75%を占め、次いでスポンサーブランド広告が17%です。第3四半期と比較すると、スポンサープロダクト広告とスポンサーディスプレイ広告はともにインプレッションを伸ばしましたが、スポンサーブランド広告は11ポイント減少。また、スポンサーブランド広告は、昨年と比較してクリック数が減少し、消費額と売上高も減少しています。

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Amazonスポンサープロダクトの前年同期比成長率。Amazonスポンサープロダクト広告がインプレッションのトップを継続(出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

2021年第4四半期のソーシャルプラットフォーム広告費の推移

ディスプレイ、ソーシャル、動画および/または音声広告を掲載しているブランドは、ソーシャルプラットフォームへの広告支出シェアが前四半期比8ポイント増の50%となりました。

米国のデジタル広告への投資状況 2021年第4四半期のディスプレイ、ソーシャル、動画への広告支出シェア
2021年第4四半期のディスプレイ、ソーシャル、動画への広告支出シェア。有料ソーシャル広告は前四半期比50%増(出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

第4四半期におけるFacebookのCPM成長率(前年同期比)は、第3四半期の同46%から同8%に低下し、減速しています。インプレッションは同1%減少し、広告費は同7%増。第4四半期はFacebookとInstagramがともに前年同期比で成長し、動画・音声広告のシェアは第3四半期と比較してわずか1ポイント減少しています。Merkle社によると、広告主は引き続き動画と音声広告を来年度の機会として捉えているようです。

Instagram広告は、CPMの成長期を経て、第4四半期に同9%減となりました。CPMの低下により、トラフィックが増加し、インプレッション数は同40%増となっています。CPMの低下とインプレッションの増加の組み合わせにより、同27%増の広告費になりました。

米国のデジタル広告への投資状況 FacebookとInstagram広告の前年同期比成長率
FacebookとInstagram広告の前年同期比成長率。InstagramのCPMは9%減、Facebook広告費は7%増 第4四半期のCPMの伸びは8%に鈍化(出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

Connected TV(CTV)は2021年第4四半期、CTVデバイスに1000ドル以上を投資する広告主のディスプレイ/ソーシャル広告費の22%を獲得しました。これは、2021年第3四半期の20%から2ポイント増加しています。

Merkle社は、ビデオコンテンツストリーミングをサポートするためにテレビに接続されたデバイスを通じて、どれだけの広告が配信されたかを計算して測定しました。これには、Amazon Fire TV、Roku、Apple TV、Playstationが含まれていますが、それ以外にもデバイスはあります。同社の調査では、CTVに中程度の投資を行っている広告主のみにデータを限定しています。

米国のデジタル広告への投資状況 CTVのメディアに少なくとも1000ドル以上投資している広告主
CTVのメディアに少なくとも1000ドル以上投資している広告主。2020年の人気急上昇後、視聴率が堅調に推移し、広告主の支出に占めるコネクテッドTVの割合は22%に(出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

Merkle社が2021年第3四半期からTikTokのトラッキングを開始したところ、2021年第4四半期のソーシャル広告費に占めるTikTokの割合は4%であることがわかりました。これは、新規広告主が同プラットフォームに試験的に参入する一方、既存の広告主がホリデーシーズンに投資を増やしたためで、第3四半期の2%から上昇しています。化粧品、靴、百貨店は、TikTokへの投資が最も多かった業界です

TikTokの広告は成熟し続けており、「Promo Tiles」と呼ばれるプロモーション広告やコレクション広告の展開、ShopifyやSquareなどのパートナーとの統合によるTikTokショッピングの実現など、コマースソリューションの開発が顕著です

Merkle社のシニアマネージャーであるケイティ・コッタム氏は説明。このような小売向けの広告フォーマットやプラットフォーム内でのシームレスなショッピング体験は、小売ブランドがTiKTokのテストを開始する新たな理由になっていると言います。

ブランドは、このアプリの非常に熱心なオーディエンスを効果的に開拓する方法を、これまで以上に手にしています。TikTokへの広告出稿は2022年も増え続けると予想しています

第4四半期の小規模ソーシャルプラットフォームの広告シェアは、Pinterestが20%と最も高く、次いでSnapchatが9%、TikTokのシェアが4%となっています。

米国のデジタル広告への投資状況 Pinterest、Snapchat、TikTokの広告の前年比成長率
Pinterest、Snapchat、TikTokの広告の前年同期比成長率。Pinterestは小規模なソーシャルプラットフォームの中で最も高いシェア(出典:Markel社「デジタルマーケティングレポート Q4 2021」)

2022年、10月に消費者がホリデーショッピングを先取りできるかどうかは、小売事業者の行動にかかっていると、Markle社のライリー氏は言います。

小売事業者は10月にブラックフライデーのようなお買い得品を提供し続けるのでしょうか?そうであれば、消費者はそれを利用することになるでしょう。しかし、お得な情報がなければ、そして、今年の第4四半期までに人々がコロナ禍前の活動の多くを再開したと仮定すると、2022年はより凝縮されたホリデーシーズンに戻るかもしれません。

記事内の数値は、各マーケティングチャネルでMerkle社を利用したことのあるクライアントからのサンプルによるものです。これらのサンプルは、①Markle社との間で15か月以上アクティブなプログラムを維持②戦略目標や商品内容に大きな変更がなく③最低広告費基準を満たすクライアント――に限定しています。本レポートに掲載されている数値はすべて、一定期間における同一サイトの変化を表しています。特に指定がない限り、本レポートのデータポイントは米国です。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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