顧客分析とは、顧客の年齢、性別、居住地などの属性や購買情報などを分析することです。
顧客分析を行うことで顧客に対する理解が深まり、よりニーズに応えた商品開発ができたり、マーケティングが効率的に進められたりします。
特に飲食店や小売業などでは、顧客に直接店舗まで足を運んでもらわなければなりません。顧客を自社のファンにさせるためにも、顧客分析は必要不可欠です。
本記事では、顧客分析を行う際に押さえておきたいポイントと効果的な6つのフレームワーク、分析結果の活用法を解説します。
顧客分析とは
顧客分析とは、今後の商品開発やマーケティングを成功させるために、自社の顧客について多角的に分析することです。
具体的には、顧客の年齢、性別、居住地などの基本的な情報のほか、これまでの購買行動やライフスタイルなども分析対象です。
顧客分析を行うことで、自社の商品やサービスの改善、新商品の開発、マーケティング施策などに活かせます。
特に飲食業や小売業など店舗ビジネスを展開している企業では、いかに顧客ニーズを満たし、自社のファン化させるかが重要です。そのためにも、顧客分析を通じて顧客の理解に努めなければなりません。
顧客分析で押さえておきたいポイント
顧客分析を行う際には、次の4つがポイントです。
- 市場規模や将来性
- ペルソナ
- 顧客のニーズ
- 購買までのプロセス
これらを意識することで、より効果的に顧客分析が進められます。
それぞれのポイントを解説します。
1. 市場規模や将来性
顧客分析を行うと同時に、自社が参入している市場についても客観的に判断しなければなりません。市場規模、つまり市場全体の年間総売上などの情報から、自社が獲得できるシェアの見込みを判断します。
市場規模の調べ方は、官公庁や業界の団体が発行しているものを参考にするほか、調査会社から購入する方法などがあります。
ここで注意したいのは、市場規模が小さい場合や縮小傾向にある場合です。市場規模が小さかったり縮小したりしている場合、顧客分析を活かして大きなシェアが獲得できたとしても、長期的に成長を続けていくのは難しいと言えます。
この場合、新たな顧客の開拓を模索するか、最悪の場合は事業からの撤退も検討しなければなりません。
2. ペルソナ
サービスを利用するユーザー像のことです。アンケートや口コミなどの情報から、年齢や居住地、家族構成、ライフスタイルに至るまでリアルな人物像を設定します。ペルソナを明確にすることで、社内で訴求すべき顧客の共通認識が持て、商品開発やマーケティングが進めやすくなります。
ペルソナ設定では「30代女性」ではなく、「福岡在住で子育てしている20代・30代で、時間があまりないけど痩せたいと思っている女性」などと情報を具体的にします。
できる限りリアルなユーザー像を設定することで、企業視点ではなく顧客の視点に立った思考ができるのもメリットです。
3. 顧客のニーズ
顧客のニーズを把握し、商品やサービスに反映させなければ利益の拡大は見込めません。なぜ顧客が自社商品を選んだのか、そのきっかけや理由を分析することで、思いがけない顧客ニーズが判明することもあります。
そこから顧客が抱えている悩みをさらに掘り下げられれば、既存商品の改善や新商品開発の重要な手掛かりが得られます。
4. 購買までのプロセス
顧客分析を行う際には、顧客がどのように自社の商品を知り、どのような思考を経て購入に至ったかを知ることが重要です。自社で行ったマーケティング施策が、どこのプロセスで効果を発揮しているかの確認ができるからです。
また、新たな施策を打ち出す際にも購買プロセスの把握は欠かせません。商品を認知してから購買行動に移すまでの一連のプロセスの中で、どのタイミングでどのような施策を取ればもっとも効果が出るか仮説を立てる際にも役立ちます。
顧客分析に効果的な6つのフレームワーク
顧客分析のポイントが押さえられたら、フレームワークを活用して分析を進めます。ここからは顧客分析に効果的と言われるフレームワークを6つ紹介します。
- デシル分析
- RFM分析
- CTB分析
- セグメンテーション分析
- コホート分析
- 行動トレンド分析
デシル分析からコホート分析までの5つは、顧客を特定の条件に応じてグループ分けする方法です。
行動トレンド分析はグループ分けではなく、顧客の購買行動に着目して分析を行います。
1つのフレームワークだけでなく、複数の方法を組み合わせると、顧客への理解が深まります。
1. デシル分析|購買金額順に顧客を10組にグループ分け
デシル分析とは、全顧客を購入金額の多い順に10グループに分類する分析法です。それぞれのグループの購入比率や売上構成比を分析し、自社にとって優良な顧客層を見極めます。優良顧客層を重要視した施策を打ち出すことで、効率的にマーケティングが展開できます。
2. RFM分析|購入日・頻度・金額に応じて顧客をグループ分け
RFM分析とは、次の3つの指標で顧客をグループ分けする分析法です。- Recency(最終購入日)
- Frequency(購入頻度)
- Monetary(累計購入金額)
最終購入日からの時間が浅い顧客、購入頻度の高い顧客、これまでの購入総額が高い顧客を上位にランク付けし、優良顧客を見極めます。
さらに、RFMの値がすべて高い優良顧客だけでなく、Rは高いがFは低い、RFは低いがMが高い、などといった細かな分析もでき、それぞれに対応した施策が打ち出せます。
3. CTB分析|興味関心に応じて顧客をグループ分け
CTB分析とは、次の3つの要素から顧客が購入した商品を分析し、興味や関心に応じて顧客をグループ分けする分析法です。- Category(分類):大分類(例:レディースファッション)、小分類(例:Tシャツ)
- Taste(テイスト):デザイン、サイズなど
- Brand(ブランド):メーカー、キャラクター
CTB分析をすることで、顧客が次にどのような商品を購入するか予測できます。さらに、顧客の趣向に合わせた商品開発にも効果的です。
4. セグメンテーション分析|属性に応じて顧客をグループ分け
セグメンテーション分析とは、顧客の属性、ニーズなどの共通点でグループ分けする分析法です。
居住地や年齢、性別、さらに職業や趣味など、様々な視点から分類できます。
例えば「関東に住む20代女性の顧客グループだけが7月に購買行動が高まる傾向がある」といったように、各グループの購入履歴や行動履歴から見られる傾向を読み取ることで、マーケティング施策に活かせます。
5. コホート分析|共通項に応じて顧客をグループ分け
コホート分析とは、顧客をこれまでの行動履歴に応じて分類する分析法です。
例えば、「ダイレクトメールを受け取ったのちに購買に至ったグループ」などの共通項で顧客を分類します。
セグメンテーション分析と共通する部分もありますが、コホート分析では各グループの購買後の行動を追い、リピート率、商品やサービスをどれくらい活用しているかなどを長期的に分析するのが特徴です。
6. 行動トレンド分析|シーズン毎の顧客の購買活動を分析
行動トレンド分析とは、決まったシーズンに購買行動をとる顧客を分析する方法です。自社の商品の売上が伸びる時期(トレンド)に、どういった顧客がそのトレンドを生み出しているか分析し、自社への貢献度の高い優良顧客を見極めます。
そして、その特定のシーズンに優良顧客に向けたマーケテイングを打ち出すことで、さらなる売上の増加が期待できます。
顧客分析の結果を活用する方法
フレームワークを活用して顧客分析ができても、結果だけを見て満足していては意味がありません。得られた情報をいかに活かすかで、今後の業績が大きく左右されます。
ここでは、分析結果の活用法を解説します。
現状の把握と施策効果の確認
顧客分析の結果は、自社の現状を把握することに活用できます。
自社の商品やサービスが選ばれている理由、または選ばれていない理由が明確になれば、強みをより活かし、弱みを改善する施策が打ち出せます。
さらに、改善施策を取ったのちにもう一度顧客分析を行えば、新しい施策にどれだけの効果があったのかが確認できます。
顧客分析の結果を用いながら、一連の流れを繰り返すことで、施策効果が高まります。
商品やサービスの改善
顧客分析を行うと、顧客ニーズへの理解が深まります。
自社の商品やサービスが顧客ニーズを満たすものであるか、それともズレが生じているのかが把握できれば、今後の改善に役立ちます。
また、これまで想定していた顧客ニーズとは違うものが浮かび上がってきたり、思わぬターゲットから支持を得ていたりする結果が明らかになることもあります。
顧客分析を行えばこのような状況にいち早く気づけますが、重要なのは、この結果をいかに今後の商品の改善に活かしていけるかです。
顧客分析で効果的なマーケティング施策を
顧客分析は自社の現状把握に役立つだけではなく、将来を見据えた商品展開やマーケティング施策にも効果的です。複数のフレームワークを活用することで、多角的な視点から顧客への理解が深まります。
顧客について知り、ニーズを満たしてあげることは自社のファンの増加にも繋がります。飲食店や小売業ではいかにファンを作るかが収益の鍵となります。
顧客分析から得られた情報をもとに効果的なマーケティング施策をとることは、収益拡大の一助となるでしょう。