大場 雅人 2015/9/3 8:00

私がネットショップの責任者をしていたとき、比較的文章作成量が多いカスタマーサポート系の職種では、タイピング関連の作業は200文字/分を作業時間の最低ラインに設定していました。もちろん単語登録やテンプレートの活用を徹底していましたが。

流れの早いネットショップ業界では、新しい概念やスキームを取り入れて試行錯誤することが競争力の源泉になります。だからこそ、タイピングを始めとする基本動作は徹底的に熟練しておくことが必要です。ネットショップ視点でのタイピングによる人財育成の方法を紹介します。経営者や責任者はもちろん、入社間もない新卒の担当者などはぜひ参考にしてください。

なぜ今さらタッチタイピングなのか、という2つの理由

そもそも、「今さらなぜ、タッチタイピングなのか」と思った読者の方も多いことでしょう。タッチタイピングを舐めてはいけません。ここから得られる効果って大きいんですよ。

標準的な基本動作だから

入力デバイスの劇的な進化が今後あるかもしれませんが、現時点ではキーボード入力は文書作成における基本動作であるため、作業効率に影響が大きいです。

たとえば、1日に1万文字を入力する仕事があったとしましょう。100文字/分の人材と、200文字/分の人材の効率は2倍の開きがあります。時間にすると50分の差になります。

年間稼働日数を240日とすると、その差は1万2000分(200時間)になるのです。大袈裟な計算ですが、タッチタイピングって“塵も積もれば山となる”タイプの作業なんです。

訓練時間と上達の相関が強いから

タッチタイピングは、いわゆるセンスや勘を必要とする作業ではありません。相応の時間で正しい訓練をすれば誰もが同じ程度上達するものです。

だから、“できません”といった言い訳はできない。やればやるだけ上達するし結果も定量的で、目に見えやすいものです。逆を言うと、自分を律し、訓練の時間を取らなければ、いつまでたっても効率の悪いままなのです。

また、一夜漬けが効くタイプのものでもありません。日々自分の癖を矯正することを意識しなければなりませんし、自己流ではある水準以上は上達しづらいものです。

タッチタイピングで得られる3つの効果

タッチタイピングの修練がもたらすEC業務の効率化の効用

① 自己成長スキルのモデルとして

最重要スキルの1つに「自分を成長させるスキル」があるでしょう。

現状を分析し、対策を立て、実行する。仕事をする上での基本ともいえるこのサイクルを実際に体験することで、それ以降、さまざまな課題に対しての応用力を養えることができます

具体的には自分のタイピング速度を測定し、苦手な指を使い、打ち間違えやすいキーを自覚し、ホームポジションを守り、適度な量の訓練を施すということです。言い方や概念は異なりますが、守破離やPDCAなどと通じるものがあります。

② 時間の使い方が変わる

当然、作業速度が上がれば圧縮した時間は、違うことに時間を使えるようになります

作文にたとえると、文章を書く時間が速くなればなるほど、文章の構成を考えたり推敲したりする時間が増えるということ。結果的に同業他社よりもより生産性が上がり、競争力も大幅にアップします。

③ 忍耐力と徹底力の向上

夢いっぱいの新人には、やりたい仕事があることでしょう。きっと先輩から見るとその仕事をする前にやらなければならないこと、身につけねばならないスキルが山ほどあります。

タイピング速度の向上も同様で、なりたいと思っても瞬間的に速くなるものではありません。愚直に訓練することが必要なのです。

基本を守らなければばレベルアップできませんし、相応の忍耐力と徹底力がなければ自分を変えることはできません。しかし、ここで忍耐力・徹底力を身につけておけば、修練により上達するタイプのビジネススキルの向上は再現しやくなるはずです。

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