よりCTR(クリック率)を高める上で重要なA/Bテストだが、デメリットもあるという。それは「ヘビーユーザー偏重になりがちなこと」(楽天の河野奈保執行役員=写真左)。キャンペーンを確認するためにトップページに訪れるヘビーユーザーは多いが、こうしたユーザーの感覚に合わせすぎると初心者には分かりにくいサイトになる恐れがある。

そこで「ユーザーの感覚も大事にして、そこのバランスを取りながらサイトを作っていく」(楽天市場事業編成第二部市場トップリニューアルプロジェクトチームリーダーの西岡大揮氏=写真右)。そのために必要なのがユーザーへのインタビューというわけだ。ライトユーザーからは、コンテンツが多すぎて、入り口ページとしては分かりにくいといった声もあったという。こうした声にも配慮した。

全セグメント層でCTRがアップした楽天市場のトップページ刷新の舞台裏

ユーザーを細かくセグメンテーションし、それぞれのセグメントごとに数値が上がったかどうかを分析。テスト段階では、すべてのセグメントで下層ページへのCTRが上昇しているが、最も効果があったのはライトユーザーだったという。「以前はナビゲーションに関する情報がページのあちこちに点在していたものを、きちんと1カ所にまとめるなど、情報を整理するための仕組みを劇的に変えたことが大きいのではないか。新規顧客の購入率が良いサイトはユーザーインターフェースがすぐれているということ。その声を打ち消さないようにした」(河野執行役員)。もちろん、ライトユーザー偏重でヘビーユーザーの数値が落ちては意味がないが、そういった意味でもバランスの取れたトップページに仕上がったという。

デザインに関しては「ユーザーは買い物目的なので、先進的である必要はないが、今の時代のベースとなっているトレンドは拾わないといけない」(同)。今回の刷新では、トップページ上部に楽天グループへのリンクを設けた。中でも一番左に来ているのは、ポイント還元率を高くした商品を販売するコーナー「楽天スーパーDEAL」。グループ内でも位置付けがかなり高いことがうかがえる。また、店舗のロゴも多数表示されるようにした。商品画像の視認性を高めたことも含めて、全般的に視覚に訴える部分を強化したわけだ。

西岡氏は「約2カ月のテスト期間中、CTRなどの数値を見ながら、新トップページに関するユーザーアンケートにおける要望を汲み取り、何十回も更新した。売り上げを最大化するために、トップページ全体として絶妙なバランスを取るにはどうすればいいか、チューニングに苦労した」と振り返る。今回の刷新以前から繰り返してきたA/Bテストのデータが蓄積されていたことも大きかったという。

今後は下層ページにも同様のデザインを採用する。また、店舗ページへの敷衍(ふえん)も期待される。「店舗からは『詳細なA/Bテストができないので、楽天が入念に実験し、採用したCTRの高いデザインはぜひ採用したい』という声をいただいている。フラットなデザインや、ブロックリンクなどはぜひ参考にしていただきたい」(河野執行役員)。

もちろん、スマートフォンやタブレット向けサイトの強化も重要だ。PC向けとのデザイン性の統一を進めていく。また、スマホ向けに関しては、プッシュ通知で効率的な販促ができる専用アプリの利用率を高めていく必要がある。スマホでブラウザーから購入するのはライトユーザーが多いだけに、デザイン面でもブラウザー利用者が違和感ないようにするなど工夫することで、アプリへと誘導していく。(おわり

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