EC企業が知っておきたい世界最大級の通販イベント、今後やるべきことが分かる「IRCE」とは
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世界最大のネット通販のイベントで、Eコマースの最新情報を求めて世界40か国から1万人以上のEC関係者が参加する「IRCE(アイアールシーイー)」。今年で10周年目を迎えたIRCEは「モバイルコマース」「ソーシャルコマース」「ビデオコマース」「アマゾン」「グローバル市場の動向」など、多岐にわたるテーマで200セッション以上の講演が行われました。先端のネット通販事情が分かるIRCEは、日本のEC事業者にぜひ知ってもらい、足を運んでもらいたいイベントです。なぜなら、今リテーラーがやるべきことが分かり、それが日本でECビジネスを展開する上でのヒントになるからです。
世界のEC関連企業が考える今年のテーマは「顧客接点」
2013年に引き続き今年も参加したIRCEですが、昨年以上に賑わっていました。IRCEは、米国の最先端の情報だけではなく、ヨーロッパ、南米、APAC(アジア太平洋)など、世界中の情報を得ることができます。今年は中国、インドからの参加者も多いようでした。来場者の属性を見ても、世界のEC市場の隆盛が分かります。また、今年は大手のリテーラーだけでなく中小のリテーラーの参加が多いのも印象的でした。
今年のテーマは「Changing Connecting Creating」。基調講演にはeBayのCEO兼社長ジョンドナホー氏、家具・インテリアのオンライン販売最大手WayFairのCEO兼共同創設者のニラージシャー氏が登壇。スペシャルゲストスピーカーとしてWikipediaのCEO兼創設者ジミーウェールズ氏が講演を行いました。
その講演で心に残ったのが、eBayのジョンドナホー氏が指摘した次のこと。
「モバイルの普及により今まで以上に顧客を中心にすえた考え方が重要である」
全体の講演を俯瞰すると、「顧客との接点を広げ、顧客に支持されるサービスを提供するために、具体的に何を行ったか」というセミナーテーマが多かったように感じます。IRCEでは、ノウハウを自社のものだけにするのではなくEC企業などと共有し、業界を盛り上げていこうという雰囲気が強く感じられます。なかなか具体的で実践的な情報が得にくい日本との大きな違いだと思います。
2013年は「タッチポイントを増やしましょう、顧客とあらゆる接点を持ちましょう」という概念的な内容が多かったのに対し、2014年は「顧客を中心に考えたとき、顧客にとって自分たちは具体的にどうあるべきか」を、自社の顧客分析を通じて戦略を立てて実践するという、より具体的な講演内容が目立ちました。いずれも顧客を中心に考えるという点に徹底的にフォーカスしているのが印象的です。
どんな実践方法かは各リテーラーによって異なり、「モバイル活用」「クロスチャネル」「データ分析とパーソナライズド広告」「コンテンツ」「ビデオコマース」など、さまざまな成功体験が、具体的に来場者へシェアされていました。参加者からも実践するための具体的な方法を確認する質問が多く飛び交いました。
日本では「オムニチャネル」「ビッグデータ」がバズワードとしてよく聞かれますが、IRCEでは「オムニチャネル」「ビッグデータ」は、「リテーラー視点のワードだ」と考える講演者が多かったように感じます。4日間セミナーを聴講して一番耳にしたのは「オムニチャネル」でも「ビッグデータ」でもなく、「顧客を中心に」「顧客に選ばれる」という言葉。いかに顧客視点に立って自らを見つめ直すかということがテーマだったと思います。
リテーラーが抱える課題は世界共通、日本市場で生き残るための戦略のヒントがある
具体的なソリューションが数多く共有される中で、リテーラーが自ら選んだソリューション提供会社(ベンダー)を積極的に紹介するセミナーも多く行われていました。ベンダーの選び方のコツ、その結果どのような効果を得ることができたのか、ベンダーの紹介という流れのセミナー。終了後にはベンダー会社との名刺交換をする聴講者が多く見受けられました。日本ではあまり見ることができないセッションに、新鮮さを覚えるとともに、米国EC市場でのノウハウ共有の方法が多様化していることを実感しました。
参加者同士が積極的に情報交換するのもIRCEの特徴です。会場内には朝食や昼食が用意されており、食事を共にしながら直接参加者達と意見交換する機会があります。ホテルと会場の行き帰りのバスの中でも多いに盛り上がっていました。また、直接会話するだけでなく、IRCEが提供するアプリを通じていろいろな参加者との交流も盛り上がりました。日本ではまだあまり見受けられませんが、講師がツイッターで質問などを直接受け付けるというのも、参加者同士で情報を共有し、交流を大切にしたイベントなのだと感じました。
さて展示会場ですが、約2万4000平方メートルの広さに600以上の企業が各種サービスや製品を展示しています。世界のEコマース市場の9割以上のソリューションサービスが一堂に揃っているそうです。「良いのがあったら話を聞いてみよう」というスタンスよりは、「今考えていることを実現するために」というスタンスで積極的にベンダーと議論を交わしている姿が印象的。セミナーでリテーラーから紹介されたベンダーの出展ブースは特に賑わっていましたが、IRCEは出展企業の熱意に負けないくらい、参加しているリテーラーの熱意を感じます。
セミナーは1日ごとにテーマが分かれ、興味のあるテーマの中から聴講したいセミナーを選択できるシステムになっています。今年のプログラムは以下の通りです。セミナー数やテーマを見て、米国で重要視されているテーマや時流などが分かると思います。
・1日目
- アマゾンワークショップ(セミナー数10)
- テクノロジーワークショップ(セミナー数8)
- ビデオワークショップ(セミナー数9)
・2日目
- 経営者のための戦略(セミナー数7)
- 小売店のチェーン(セミナー数7)
- グローバルEコマース(セミナー数7)
- 小規模Eコマース(セミナー数7)
- マーケティング(セミナー数7)
・3日目
- 物流、カスタマーサービス、運用(セミナー数7)
- ソーシャル(セミナー数7)
- テクノロジー(セミナー数7)
- B2B(セミナー数7)
- デザイン&マーチャンダイジング(セミナー数7)
・4日目
- モバイルワークショップ(セミナー数12)
- サーチワークショップ(セミナー数9)
- ソーシャルワークショップ(セミナー数10)
イベント会期中の4日間は英語漬けの毎日ですが、リテーラーが抱える課題は世界共通です。世界のEC市場の動向と、日本市場での役立て方、ヒントを得るためには大変有意義なイベントです。日本の皆様もぜひIRCEに興味を持ち、参加されてはいかがでしょうか。新しい発見があると思います。
当社は11年間、ECサイトの集客拡大を支援してきた観点から、日本のECサイトにとって役立つ情報を今後も発信し続けます。次回コラムではアメリカで注目されるアマゾンの新しいプロダクト、モバイルコマース、ビデオコマースで盛り上がった内容をお伝えします。
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