瀧川 正実 2019/1/17 12:00

公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が1月11日に開いた新年賀詞交歓会で、冒頭のあいさつで登壇した阿部嘉文会長は、参加した500人以上の通販・EC企業の参加者に対し、変わりゆく業界動向を踏まえて今後の業界の見通しなどを語った。その内容を要約して紹介する。

市場は拡大も、勝ち組・負け組が色分け

2019年はラグビーW杯、2020年は東京オリンピック、2025年には大阪万博と、大きなイベントが目白押し。世界の人から見られる日本、世界の中の日本、という時代がいや応もなくやってくる。

2018年はいろいろなことがあった。宅配問題は落ち着きを取り戻したが、災害が非常に多く、経済活動にも大きな影響を及ぼした1年だった。

通販業界においては、通信などに関する技術革新が一層進み、(業務などに)非常に影響を与えた1年だったと感じている。

通販市場の規模は年々拡大し、確実に成長している反面、勝ち組、負け組が色分けされつつあるネット社会、グローバル社会への対応など、さまざまな課題が待ったなしで突きつけられている

平成の時代を振り返ると、通信販売は平成の時代とともに発展してきた。通販各社は時代の先頭を走ってきたのではないか。事業の中身だけではなく、2018年に話題となった働き方改革においても、一般的な価値観とは違う価値観でさまざまな働き方、環境を用意してきたということにも、そういったことが言えようと思う。

こういった中、時代が大きく変わりつつある。ネットの発展とともに、社会はさらに新しいものを求める時代に突入しようとしている何を変えなければならないのか? 一方で、変わりゆく時代の中で通販本来の強みはどこにあるのか? こういったものを今一度考えてみる機会ではないだろうかと考えている。

公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)の新年賀詞交換会であいさつした阿部嘉文会長
阿部嘉文会長

今後はコミュニケーションの質が問われる時代に

課題はそれぞれの企業、ビジネスモデルよって異なるが、私自身はITなどの先端技術によるイノベーションだけで課題が解決されるわけではないと思っている。

たとえば、F2転換と呼ばれる2回目以降の継続購入。店舗一般よりも通販は転換率が高い。通販は“Face to Face”ではないから人のつながりが弱いと思われるが、実はその逆。人と人のコミュニケーションをうまく取ることによって、企業が発展してきた。コミュニケーションの密度が高いのが通信販売の特徴である。

通販はテレビなどとの相性がいい。そして、SNSとも相性がいい。通信販売はコミュニケーションを核として発展してきたビジネスである。

ITやネットを生かした利便性の追求は、サービス業である以上、これからの時代は必須要件である。コミュニケーションの在り方次第で、特徴、ビジネスの価値、サステナビリティは伸びる余地、発展の可能性がまだまだあると考えている。

価格中心のコミュニケーションになるかもしれない。一方で、価格だけではない価値を数多く持つことが通販の強みである。

2019年10月に消費増税がある。政府が経済対策を行っている。過去2回の消費増税の際、消費増税の負担額は8兆円を超えていたが、今回は日本銀行の試算によると家庭の負担額は2.2兆円。消費増税は逆風ではあるが、(日銀の家庭負担の試算を見ると)今回はさほど大きな規模ではない。

むしろ、新しい時代の変化のなかでどういったコミュニケーションを取るか、コミュニケーションの中でどういった価値を提供できるのか。コミュニケーションの質が問われる時代になる

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