森野 誠之[執筆] 2022/11/1 8:00

コロナの影響で一気に伸びたECですが、2023年以降はそのボーナスタイムも終了して競争が激化しそうです。今までに蓄積した顧客リストを大切にして、ロイヤルティの高い顧客とのコミュニケーションを。

成功のために「販売計画」「行動計画」「導線設計」を策定しましょう

「売上を追うだけでは上手くいかない」200社超への支援で分かったECの成功条件 | ニュー アキンド センター
https://new.akind.center/apurosoken_lee/

成功するEC事業者さんの特徴を一言で表現するならば、「EC事業を継続する覚悟を持っている」ことでしょうね。

現在のEC市場は競争が激しいため、ECを始めてすぐに結果がでることは稀です。プロモーション施策の勝率は1勝9敗くらいがいいところ。その現実を経営陣が理解し、事業計画をしっかり立てた上で、EC事業が黒字化するまで継続する覚悟と忍耐力が必要になるでしょう。

いきなり強烈な一言です。事業を継続させるには利益を出さないといけません。ECだけなのか会社全体なのかは決めればいいとして、「利益を出す」という強い意思がない限り続きません。「売れればいいな」ではダメ。

経営者がEC事業の業績をこまめに把握し、必要な投資を適切なタイミングで実行していくことが重要です。黒字化するまでどれくらい投資が必要なのか、事前にある程度計算しておくことも大切です。

事業計画がなくても販促施策が上手くはまって一時的に売上が伸びることはありますが、そういった幸運は長くは続きません。施策の勝率を上げるにはPDCAサイクルを回すことが必要であり、そのためには事業計画や行動計画の策定が必須だと強調しておきたいです。

継続させようと思うと事業計画が必要になります。事業計画を立てるとなると損益計画も立てなければいけないので、おのずと販促などにかけられる予算も決まります。その範囲でPDCAを回していかないとお金が出ていく一方に。

インターネット上などに公開されている成功事例を鵜呑みにして、表面上だけを真似してしまうような企業は、なかなか成功できないでしょうね。

販促施策を打ったことで「売上高が数倍に増えた」といった、派手な成功事例がインターネット上に散見されます。しかし、その成功確率は何%なのでしょうか。成功の裏には数え切れない失敗があるはずです。

成功は固有の理由があって、失敗には共通の理由があります。その失敗の理由の1つがこれで、扱っている商品もスタッフも違うのですから、真似をしてもうまくいくはずがありません。自分でかみ砕いて理解し、試してみて自分のものにしないと成功は見えてこないでしょう。

ECは非対面での販売なので顧客とのコミュニケーションが希薄になりがちですが、だからこそ顧客とのつながりを作れれば、それが競争優位になります。

お客様との関係構築を、どこまでしっかり行えるか。それがアフターコロナ時代を勝ち抜く鍵になるでしょうね。

現在のEC市場では、大手メーカーがD2Cを強化し、海外勢を含めて巨大プラットフォーマーの寡占化も進んでいます。EC市場はまだまだ拡大していくと思いますが、競争も激しくなっていますから、これまでに蓄積した顧客リストをベースに、既存の顧客とのコミュニケーションを取れるか否かが勝敗を分けると思います。

「商品を送るだけ」「メールを送るだけ」「ページを作るだけ」ではコミュニケーションは発生しません。相手の気持ちになって発送・発信していくことで、どのタイミングで何をすればいいかがわかってきます。気さくに相手に話しかけることができる関係性を築いていきましょう。「お客さま」ではあるものの「友人」という意識を持てるとうまくいくかもしれません。

コロナの影響でネットが一気に普及してECも伸びました。しかし、ボーナスタイムは終了です。買ってくれた人たちの顔を思い浮かべながら、コミュニケーションをとっていきましょう。

今週の要チェック記事

「SHEIN」ポップアップ開店、3000人来場2.5時間待ちの大行列 人気沸騰で心斎橋騒然徴 |モデルプレス
https://mdpr.jp/news/detail/3415164

「SHEIN」というブランドになっていますね。何かしら規制が入るまではこの勢いが続きそうです。

総合ECサイトがギフト購入場所の首位に ギフトECの購入経験は26%で増加傾向 |ECzine
https://eczine.jp/news/detail/11918

以前は百貨店で購入でしたが、コロナの影響や百貨店自体が減っているのでこうなりますよね。

年間6万人来店の飲食店「みそら屋」が食品販売の店舗とECサイトで実現したいこと | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/24821

「同じShopifyというカートシステムでの構築にも関わらず、見積もりの金額が異なっていた」。世間の人はこの感覚。制作側はきちんと説明しましょう。

ShopifyのECサイト2店舗で実際に使用しているおすすめアプリ10選 | ローリン
https://rollin.co.jp/knowledge/917

「Shopify」の利用料は少なくても、プラグインを使うと利用料がじわりと増えていきます。損益計算をしておきましょう。

商品価格は安い、でも配送料は数万円 Amazonで相次ぐ 会計前に突如送料が発生する例も | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2210/22/news052.html

買いやすいから起きること。最終確認画面は何度も確認を。

Amazonでのマーケティングで重要なキーワード分析と最適な消費者への訴求方法【事例で解説】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10281

アメリカでのAmazon攻略法ですが、日本でも参考になる部分が多いです。

開封率メルマガの3倍超、若年層獲得の効果も! 澤井珈琲&白鳩の事例に学ぶLINE公式アカウント活用術 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10273

LINEの初期設定は通知がONになっています。嫌われないように適度な配信を。

クックパッド、保育園のお迎えと同時に食品の買い物が完結する施策を開始 生鮮宅配ボックスの設置を強化 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/11955

車でお迎えならものすごく便利な仕組み。これは良い。

“2023年 ヒット予想” 生活者が選んだのは、ポストコロナ生活を楽しむための手頃で身近な商品・サービス。キーワードは【攻めの安近短】 | ひらけ、みらい。生活総研
https://seikatsusoken.jp/newsrelease/19689/

「攻めの安近短」がキーワードになっていますが、コロナが気にならなくなれば遠くまで行くと思っています。

今週の名言

森脇健児が大ブレークからの挫折経て掴んだ天職 | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/628304

余計なことをせず、素直に、謙虚に、コツコツ頑張るのが大事

結局のところ、これが近道です。「余計なことをした」と思っても必要な回り道だと思えば気になりません。楽な方法ばかり目に付いてもコツコツと。

筆者出版情報

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める小さい会社のウェブマーケティング必勝法

「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める
小さい会社のウェブマーケティング必勝法

森野誠之 著
翔泳社 刊
発売日 2021年10月15日
価格 2,200円+税

この連載の筆者 森野誠之氏の著書が翔泳社から発売されました。小さな会社の“ひとり担当者”が、未経験、低予算、独学でホームページのリニューアルからウェブマーケティングまでを成功させるための指南書です。電子版、オンデマンド印刷版ともにAmazonで発売中です!

この本をAmazonで購入
この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]