キリンホールディングスがファンケルを買収し、完全子会社化へ

約33%の株式を保有するキリンホールディングスは、取得価格総額約2200億円で67%を追加取得する。TOB成立後、ファンケルの株式は上場廃止となる予定

松原 沙甫[執筆]

2024年6月17日 8:00

キリンホールディングスは6月14日、持分法適用関連会社であるファンケルの株式を公開買い付け(TOB)で追加取得し、完全子会社化すると発表した。

現在、約33%の株式を保有するキリンHDは、取得価格総額約2200億円で67%を追加取得する。TOB成立後、ファンケルの株式は上場廃止となる予定。

両社は社会課題の解決を通じて成長をめざすという理念や方向性が一致しており、シナジーの創出についてもさまざまな可能性について検討してきた。「健康」という社会課題の解決には資本関係のさらなる強化、シナジー創出への課題解決が企業価値向上につながると判断した。

キリンホールディングスは6月14日、持分法適用関連会社であるファンケルの株式を公開買い付け(TOB)で追加取得し、完全子会社化すると発表した
ファンケル買収について(画像はキリンHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

キリンHDは、ファンケルが強みを持つCRM(顧客関係力)を活用することで、DtoC事業を強固にする。また、キリンHDの飲料やサプリなど身体の内側からの健康アプローチに加えることで、消費者へ提供できるソリューションを拡充する。

ファンケルの海外成長にも取り組む。キリンHDは2023年、アジア・パシフィック(アジア 太平洋地域)で健康食品事業を展開するオーストラリアの上場企業 Blackmores Limitedを買収して完全子会社化している。Blackmoresなどグループの知見を活用し、海外事業を強化する。なお、ファンケルの海外事業の売上構成比は全体の1割程度。

キリンホールディングスは6月14日、持分法適用関連会社であるファンケルの株式を公開買い付け(TOB)で追加取得し、完全子会社化すると発表した
ファンケル買収の背景について(画像はキリンHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

キリンHDとファンケルは2019年に資本業務提携を締結、ファンケルの創業者である池森賢二氏らとの株式譲渡により、キリンHDはファンケルの筆頭株主となった。

ファンケルの2024年3月期の売上高は前期比7.0%増の1108億8100万円。営業利益は同60.3%増の125億7000万円、経常利益は同51.2%増の129億4000万円、当期純利益は同77.7%増の88億3300万円となった。売り上げの内訳としては、化粧品は同6.5%増の612億600万円。栄養補助食品は同9.7%増の437億22300万円だった。

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