定期購入顧客へのプレゼント、景品規制(景表法)で注意すべき3ポイント
定期購入顧客に対しプレゼントを行う際、景表法上、気を付ける点とは
化粧品や健康食品の通販会社では、長年の愛用客であるロイヤル顧客に対し、さまざまなプレゼントを提供するケースがよくあります。実は、こうしたプレゼントは好き勝手に行えるものではありません。なぜなら、景品表示法上の景品規制が発生する場合があるからです。企画のパターンを3つ想定し、事例をもとに注意点を解説します。
① 事前告知がない場合、プレゼントは1回あたりの購入金額の2割
事前告知なく、ある回数に到達したらプレゼントが送られてくるケース。たとえば、下記のような場合を想定してみます。
2回目:定期購入8000円の美容液「A」購入+2回目継続に関するプレゼント
3回目:定期購入8000円の美容液「A」購入
4回目:定期購入8000円の美容液「A」購入
5回目:定期購入8000円の美容液「A」購入+5回目継続に関するプレゼント
景品類の提供は原則、過去に遡って取引価格を算出することができないとされています。
そのため、景品設定のベースとなる取引価格は、2回目ならびに5回目に都度発生する8000円と考えるのが妥当。よって、8000円に対して2割までが景品として提供できる価格となり(景品表示法では、景品の総提供額は総購入額に対して10分の2以内に収まるようにする必要があるとしています)、2回目および5回目の継続プレゼントの上限額は、都度1600円となります。
② 事前にプレゼント内容を告知している場合、プレゼントまでの総購入額が対象
定期コースへ加入する時点で、継続回数に応じたプレゼントが送られてくることを事前告知しているケース。
2回目:定期購入8000円の美容液「A」購入+2回目継続に関するプレゼント
3回目:定期購入8000円の美容液「A」購入
4回目:定期購入8000円の美容液「A」購入
5回目:定期購入8000円の美容液「A」購入+5回目継続に関するプレゼント
ただし①のケースと異なるのは“事前告知”。消費者が定期コースへ加入する時点で、継続回数に応じプレゼントがあることを知らされています。
たとえば、
5回目…お風呂で使えるターバン
8回目…コットンケース
10回目…やさしい爪ヤスリ
12回目…うるおいフェイスマスク
といった情報が消費者に公開されている場合です。
加入時の選択の要件として事前に告知をし、回数に応じたプレゼント内容を消費者が把握している場合、広く慣習化していて告知しなくても周知されているような場合は、“累計購入額”を取引価格と考えても差し支えないとされています。
景品表示法では、景品の総提供額は総購入額に対して10分の2以内に収まるようにする必要があるとしているため、
- 2回目:そこまでの累計購入額 1万円を取引価格と考える ⇒ 1万円に対しての10分の2となり、景品としての上限は2000円
- 5回目:3回目から5回目までの累計購入額2万4000円が取引価格と考える ⇒ 2万4000円に対しての10分の2となり、景品としての上限は4800円
ということになります。
③ 同じ商品がプレゼントされる場合は景品扱いにならない
定期コースで購入している商品と同じ商品がプレゼントされるケース。
2回目:定期購入8000円の美容液「A」購入+同美容液「A」のミニボトル20ml
3回目:定期購入8000円の美容液「A」購入
4回目:定期購入8000円の美容液「A」購入
5回目:定期購入8000円の美容液「A」購入+同美容液「A」本品(100ml)
このケースは、「増量値引き」に該当するため、景品扱いにはなりません。よって景品規制の対象にはならないと考えます(同商品の“分量違い”も増量値引きと考えます。ただし、正常な商習慣の範囲内でなければなりませんので、正常な商習慣の中では考えられないような量を増量することは不適切と判断されます)。
ポイントは、同じラインの別商品(同じブランド内の「乳液」「クリーム」など)は、同じ商品とはみなされないため、増量値引きには該当せず、総付景品扱いとなります。またメイク用品の場合、同じ商品の色違いはも同一商品とはみなされません。
赤の口紅を買った人に「ピンクの口紅もプレゼント!」と告知する場合、増量値引きではなく総付景品と考えるべきとされています。
そのため、このような場合は景品規制の対象となりますので、景品の上限金額が発生します。