【シニア女性のデジタル活用】2人に1人はネット通販を利用、SNSの利用率はInstagramがトップで22%

コロナ禍を契機に、シニア世代でもデジタル化が進んだ。最新調査によると、シニア女性の半数超がECを利用。SNSの利用率も顕著に高まっているという。調査結果からコロナ禍の経年トレンドを整理する

高野 真維

2023年12月5日 8:00

シニア向け女性誌「ハルメク」を発行するハルメクの社内シンクタンク「生きかた上手研究所」が実施した「デジタルとネットの活用についてのアンケート」(55~74歳の女性454人が対象)の調査結果によると、ECの利用率は過半を占め、増加傾向にあることがわかった。また、決済手段を使い分けるユーザーも増加。Instagramを筆頭にSNS全体の利用率も高まっている。

シニア女性のEC(ネットショッピング)利用率は半数超

2023年のEC利用率は52.0%(236人)だった。年齢別では、55~59歳は72.4%と特に利用率が高い。伸長率で見ると、70~74歳は前年比9.4ポイント増の37.1%で、ほかの年代よりも伸びが大きい。

ECの利用率推移
ECの利用率推移

有料サブスク動画の利用率は横ばい

動画(YouTubeなど)の利用率は、前年を下回る38.8%(176人)。有料サブスク動画の利用率は、前年比0.1ポイント減の9.3%(42人)とほぼ横ばい。年齢別で見ると、有料動画は特に55~59歳で前年からの利用率の低下が目立ち、前年比5.4ポイント減の10.5%だった。

動画、有料サブスク動画の利用率(右は有料サブスクの年齢別利用率)
動画、有料サブスク動画の利用率(右は有料サブスクの年齢別利用率)

ほぼ全てのシニア女性がスマホを利用

2023年のスマホの利用率は前年比2.6ポイント増の96.9%。例年の調査では利用率に大きな変動がなかったパソコンの利用率が前年比7.6ポイント増の49.1%に伸びた。一方、スマートウォッチ、スマートスピーカーの利用率は低下した。スマートウォッチは前年比1.0ポイント減の4.0%、スマートスピーカーは同0.9ポイント減の1.5%だった。

現在利用しているデバイスの利用率推移
現在利用しているデバイスの利用率推移

SNSの利用率はInstagramがトップ

Instagram、facebook、X(旧Twitter)の利用率は上昇している。その他のSNSも伸長傾向だが、2023年から新たに聴取項目に追加したPinterestの利用率は2.0%、noteの利用率は1.5%と少数にとどまった。

SNS利用率の推移
SNS利用率の推移

コロナ禍の経年トレンドは「オンライン決済・QR決済」「LINE電話の利用拡大」「動画撮影」

スマホの機能・アプリの利用率を聞いた質問では、コロナ前の2019年からコロナ後の2023年までの利用率をそれぞれ算出。利用率の分母は「スマホまたはパソコン」の利用者とした。

コロナ前(2019年)と比べ、利用率が20ポイント以上アップしたのは、2019年比35.3ポイント増の「オンライン決済・QR決済」(41.5%)、同23.9ポイント増の「動画の撮影」(71.6%)、同21.2ポイント増の「ポイ活」(42.7%)。「LINE電話」は集計を開始した2020年と比べると28.8ポイント増の87.6%となった。

図中では、「コロナ前」「コロナ後」の利用率の差を「上昇成長型」「上昇成熟型」「下降型」「山形」「谷型」「低空飛行型」に分類。「上昇成長型」のなかで、利用率が20.0ポイント以上アップしたのは「オンライン決済・QR決済」「動画の撮影」「ポイ活」。「LINE電話」は2020年比で28.8ポイント増の87.6%だった。

利用が下降したのは「Eメール」で2023年の利用率は80.8%。コロナ禍で一時的に利用が増えてその後低下した「山型」は、「YouTube or 有料の動画サービス」(39.7%)、「健康管理」(29.8%)だった。

コロナ禍で利用が減ったもののその後回復した「谷型」は、「ラジオ」「地図アプリ」だった。

スマホの機能/アプリの利用率推移
スマホの機能/アプリの利用率推移

図中の注「※1」~「※6」

  1. 「地図アプリ」は、2022年は「地図・ナビゲーション」として聴取
  2. 「LINEトーク」は、2023年は「LINE」に関する詳細は別質問で聴取する方式に変更
  3. 「Zoomなどのオンライン通話」は、2020~2021年は「テレビ電話・ビデオ会議(zoom、skypeなど)」として聴取
  4. 「オンライン決済・QR決済」は、2022年までは「スマホ決済」としてスマホ保有者のみ聴取
  5. 「メルカリなどのフリマアプリ」は、2022年までは「スマホアプリで物の売買」として聴取
  6. 「ポイ活(ポイントを貯める活動)」は、2022年は「割引クーポンの入手」として聴取

「生きかた上手研究所」の梅津順江所長は次のように解説している。

コロナ禍に進化したシニア女性のデジタルリテラシー。今回の調査から、シニア女性は、オンラインとオフラインを使い分けるようになっていることが明らかになりました。また、今後も取捨選択しながら使い分けていくであろうことが予見できます。

コロナ前、コロナ禍、コロナ後の視点で経年トレンドを追うと、「SNS」「Instagram」「LINEトーク」は“下降型”となった「Eメール」からとって代わったと言えそうです。“山型”の「YouTubeなど有料の動画サービス」「健康管理」はコロナバブルがあった、「ラジオ」「地図アプリ」は外出先で活用されていると推察できます。

ハルメク 生きかた上手研究所 梅津順江所長
ハルメク 生きかた上手研究所 梅津順江所長

調査概要

  • 調査方法:郵送での質問紙配布アンケート
  • 調査対象:55~74歳の全国「ハルメク」読者の女性
  • 有効回答数:2023年は454人 ※同アンケートは2011年から毎年実施。回答者数は毎年異なる
  • 調査実施日:2023年7月12日(水)~9月4日(月) 
  • 調査主体:ハルメクホールディングス ハルメク 生きかた上手研究所
この記事のキーワード

この記事をシェアしてほしいタヌ!

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る

企画広告も役立つ情報バッチリ! Sponsored

「サムソナイト」「グレゴリー」のEC改善事例。CVR改善+購入完了率が最大45%増の成果をあげたアプローチとは 11月12日 7:00 スマホゲーム「モンスト」ファンがお得にアイテムを購入できる「モンストWebショップ」はなぜ「Amazon Pay」を選んだのか。導入効果+UI/UX向上に向けた取り組みを聞いた 10月30日 7:00 アンドエスティが「3Dセキュア2.0」の超効率的運用に成功したワケ。オーソリ承認率大幅改善、売上アップにつながった不正対策アプローチとは? 10月28日 7:00 EC業界で市場価値を最大化する――「全体を見渡せる人材」になるためのキャリア設計 10月27日 7:00 転売ヤーが引き起こすEC市場の混乱に立ち向かう! Shopifyパートナー・フラッグシップが提案する最新対策 9月29日 8:00 14か月で累計売上30億円超え。 韓国のネイルブランド「ohora」の急成長を支えたEC戦略とは 9月22日 8:00 生成AI検索が変える消費者の購買行動。UGC活用でサイト流入を最大化する 9月10日 8:00 ほしい商品が見つからないイライラを解消し、CVRを向上! 検索機能強化と顧客満足度アップを実現するBtoB-ECサイト改善のポイントとは? 9月9日 7:00 B向けEC担当者必見。BtoBビジネスを成功に導くサイト内検索の最適化戦略 9月3日 8:00 クリック率3倍、セッション数2.3倍を実現したECサイトの取り組みとは? リアル店舗のような“ワクワク感”を再現するPLAZAの事例 9月2日 7:00