「安さ納得消費」は減少、こだわり志向の「プレミアム消費」「徹底探索消費」が増加【最新の消費スタイル調査】

生活者1万人を対象に調査した消費実態によると、多くの情報を収集し、お気に入りを安く買ったり、自分が気に入った付加価値には対価を払ったりする、こだわり志向の人が増えていることがわかった。「安ければよい」と考える人は減少傾向だ

松原 沙甫[執筆]

2月7日 7:30

野村総合研究所(NRI)が実施した「生活者1万人アンケート調査」によると、最新の消費動向はこだわり志向が強い「プレミアム消費」「徹底探索消費」スタイルが増加していることがわかった。

NRIは「生活者1万人アンケート調査」を3年に1度実施しており、今回は通算で10回目。調査実施期間は2024年8月で、全国の満15~79歳の男女1万189人が回答した。

今年から来年にかけての家庭の収入の見通しについて聞いたところ、「よくなる」という回答は、2024年調査は11%となり、前回調査よりも4ポイント増加。「悪くなる」は2024年調査で30%、前回調査よりも3ポイント減少した。NRIは各企業の賃上げの影響によるものだと考えている。

今年から来年にかけての景気の見通しを聞いた質問では、「悪くなる」が2024年調査では34%となっており、前回調査の2021年よりも12ポイント減少した。しかし、コロナ禍以前の水準(2018年調査時。「悪くなる」19%)には戻っていない。

現在の西暦から、次の年にかけての景気の見直し
現在の西暦から、次の年にかけての景気の見直し

休日や自由な時間などによくする余暇活動の割合を見ると、これまで拡大してきた「外食・グルメ・食べ歩き」「映画・演劇・美術鑑賞」「カラオケ」などの「街レジャー」は、コロナ禍の2021年に一時減少したが、2024年では大きく回復。国内旅行は2024年調査では回復しているものの、海外旅行の余暇活動の割合は戻っていない。

街レジャーの内訳(左)と、旅行やテーマパークなどに出かける人の内訳(右)
街レジャーの内訳(左)と、旅行やテーマパークなどに出かける人の内訳(右)

NRIは「4つの消費スタイル」を設定。製品にこだわりはなく、購入する際に安さを重視する「安さ納得消費」、自分が気に入った付加価値には対価を払う「プレミアム消費」、多くの情報を収集し、お気に入りを安く買う「徹底探索消費」、購入する際に安さよりも利便性を重視する「利便性消費」に分類し、消費スタイルを調査した。

消費スタイルの構成比の変化を見ると、「安さ納得消費」は22%に減少し(前回調査は24%)、「プレミアム消費」の割合は25%に増加(同24%)、「徹底探索消費」の割合は12%(同11%)となった。いずれも2024年には増加した。こだわり志向の人が増えていると見られる。

消費スタイルごとの構成割合の推移
消費スタイルごとの構成割合の推移

生成AIについて、全体の認知率が61%だが、実際の利用率は9%にとどまっている。10歳代・20歳代の利用率は20%だが、年代が上がるほど利用率は低くなっている。

生成AIの認知・利用率(年代別)
生成AIの認知・利用率(年代別)

生成AIに対するイメージを聞いたところ、メリットについて、30代歳では「業務効率・生産性を高める」という具体的なメリットを想定する一方、10歳代・20歳代では「暮らしを豊かにする」「よりよい社会をつくる」といった抽象的なメリットをイメージしやすい傾向があった。ネガティブ面では年代が若いほど「人間の仕事を奪う」ことを危惧しており、60歳代・70歳代では「不安」という印象を抱いている人が多い。

AIに対するイメージ(年代別、複数回答)
AIに対するイメージ(年代別、複数回答)

ECを中心に、買い物でもAIによるサポートが見られるようになってきている。「AIと会話しながら買い物をすることに抵抗はない」と考える人は全体では23%、10歳代から30歳代では4割弱。特に70歳代においては、「なるべく人間と会話して買い物したい」が55%となっている。

AIと会話しながら買い物することに抵抗があるか
AIと会話しながら買い物することに抵抗があるか

【調査概要】

  • 調査名:「生活者1万人アンケート調査」(2024年)
  • 実施時期:2024年8月
  • 調査方法:訪問留置法
  • サンプル抽出方法:層化二段無作為抽出法
  • 調査対象:全国の満15~79歳の男女個人
  • 有効回答数:1万189人
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