中川 昌俊 2015/8/4 15:00

ECサイトの注文処理を自動で行う「受注処理」、簡単に商品ページを作成できる「商品管理」、在庫を一元管理することで品切れを防ぐ機能「在庫管理」など、EC事業の業務効率化をサポートする「EC業務一元管理システム」が、飛躍的な機能発展を遂げている。EC事業者の業務効率化などを支援するこのシステムは、いまやEC事業者にとってはなくてはならない機能。今回、EC業務一元管理システムのなかから、ネットショップに選ばれている13社のシステムを紹介する。

 

今回の特集で紹介する13社のサービスのポジションマップ

導入しているEC事業者からの声を受け、機能追加進めるシステム多く

EC業務一元管理システムは、月商100万円を超えるようになると、業務を自動化するツールとして導入する企業が多かったが、近年ではさらにその必要度が高まっている。

その理由は、「楽天市場」などのモールで、受注や在庫などのAPIが公開されるようになったため。EC業務一元管理システムではこうしたAPIと連携することで、リアルタイムで受注情報などを受け取り、処理を行うことができるようになっている。APIを活用して業務を自動化できなければ、ショップは手作業ばかりが増え、思ったように売り上げを高められない状況に陥ってしまう。以前はファイルメーカーをベースに受注管理システムを組むケースもあり、ファイルメーカーベースの場合、専門の知識がなくてもカスタマイズすることができた。ただ、APIとの連携したシステムとなるとショップ店長が作りこめるものではなく、こうしたEC業務一元管理システムの必要度が高まっている。

こうした状況に加え、各社サービスでは、機能を拡充しており、単に注文を処理するなどの基本機能にとどまらないシステムとなっている。特に、最近では導入事業者からの細かい要望にも対応し、それを機能として実装させるシステムが増えている。そのため、週に2~3回のペースでバージョンアップしているシステムも少なくない。

また、顧客管理機能、商品発注機能、販売分析機能、広告効果分析機能、倉庫管理機能など従来のEC業務一元管理システムでは対応していなかったような機能まで兼ね備えてきているシステムも増加。もはや、基幹システムの代替にまで機能拡充し、大きな発展を遂げ始めている。

「YES!」の出現でさらに各社の機能開発が進む

EC業務一元管理システムの機能充実は今後さらに進むとみられる。その理由としてあげられるのが、ヤマトホールディングスが6月から提供を始めた「YES!(Yamato EC Solutions!)の存在だ。

「YES!」は受注管理から決済、配送、顧客分析などの基本機能を備えた統合パッケージで、システム導入のための初期費用や固定費となるランニングコストは無料のシステムだ。

「YES!」が提供する業務管理システムは、豊富な機能を搭載しているわけではない。だが、在庫管理などEC業務を行うために必要な機能を実装、中小EC企業が利用するには十分なシステムといえるだろう(詳しくはこちら)。

「YES!」の提供が始まったことで、EC業務一元管理システムを提供する各社は、価格の安さを特徴として導入企業を増やしていくことは難しくなるのは確実な状況だ。そのため、これまで以上に機能開発を行い、有料でも使ってもらえる理由を打ち出す必要がある。こうしたことから各社間で、機能の充実化がさらに進んでくるものとみられる。

「YES!」の提供が始まったことはシステム提供各社にとってマイナスの影響だけではない。これまでは月商100万円を超えるタイミングなど、一定の売り上げになった段階でEC業務一元管理システムを導入するEC事業者が多かった。

しかし、「YES!」の提供により、立ち上げ時のECサイトでも管理システムを導入することが予想される。全体のパイが広がることで、さらに便利な有料のシステムに切り替えるEC事業者も増えることが考えられる。

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今回の特集では安価で豊富な機能を持つシステムから、カスタマイズを行うことでEC事業者の要望に対応するシステムまでまとめて紹介。EC事業者は自社に合ったサービスを探し、各社の動向から、今後自社が採るEC戦略を考える資料として活用して欲しい。

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