ソーシャルメディアを使い、集客からコンバージョンにつなげることは困難だと思っていませんか? そんな先入観を覆すために自らテストを行い、1桁台で推移していた「問い合わせフォームページ」への到達(コンバージョン)を、10か月で約10倍に伸ばすことに成功しました。その取り組みを紹介します。

ソーシャルメディアのコンテンツやサービスの拡充で、検索環境が大きく変わってきています。TwitterやFacebook、LINEでのニュース配信や検索強化、決済機能を備えた「販売投稿=EC」も用意され始めています。クローズドな環境で、コンバージョンさせる流れが台頭。圧倒的優位であったGoogleも、テキスト広告の大幅な変更やAMPプロジェクトという大きな動きが始まりました。

そんな状況だからこそソーシャルメディアのビジネス活用が重要視される時代。ソーシャルメディアを使ってコンバージョンさせる取り組みの裏側を全公開します。

コンバージョンにつなげる流れ作りは「単純ではない!」

顧客応援隊の代表としてコンサルティングなどを生業にしている私は、目標として設定した「問い合わせフォームページ」への到達(コンバージョン)を上げるために、ソーシャルメディアを活用しています。

ソーシャルメディアで、「ブログ更新しました」といったコメントの後にURLを入れて投稿する人は多いですよね。私が行っているのはこうした方法ではありません。見込み顧客が興味を引きそうな内容を簡潔にまとめて投稿。「続きはこのURLをクリックして下さい」という流れをソーシャルメディア上で作っています

こうした取り組みを始めた当初、URLを入れた投稿をGoogleアナリティクスで見てみると、コンバージョンまで到達するケースは少ないのが実情でした。「やはり、ソーシャルメディアはブランディングメディアであり、コンバージョンまで到達しにくいメディアなのか?」と感じたことを覚えています。

かなりジレンマに陥っていたのですが、ある投稿をヒントに、「ソーシャルメディアが情報の重要な担い手である」という試みを始めました。それは、一般的には“タブー”とされていた取り組みです。

具体的には、ソーシャルメディアに投稿するコンテンツは、どこからもリンクせず、さらに検索エンジンでも見つからないように(no-index化)しましたno-index化の方法はこちらを参照。こうすることにより、そのコンテンツ経由のコンバージョンは、ソーシャルメディアからのアクションだけになります。実際にアクセス解析のデータを見てみると、そのコンテンツは、検索エンジンに引っかかりませんから、検索からの流入はありません。

これでソーシャルからのトラフィックをアクセス解析しやすくなりました。

no-index化によってソーシャルからのトラフィックを解析しやすくした2015年5月度のコンバージョン率は0.9%程度、コンバージョン数は2件でした。no-index化する前の月(4月度)と比べると、コンバージョン率もコンバージョン数も変化はみられませんでした。

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no-index化によってソーシャルからのトラフィック解析を始めた頃の数値

その後、no-index化の継続に加え、「ソーシャルからコンバージョンしてもらう」ための施策を段階的に行っていったところ、ほぼ右肩上がりでコンバージョン率とコンバージョン数は増加。10か月後の2016年2月度のコンバージョン率は2.77%に、コンバージョン数は19件になりました。

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さまざまな施策をした後(2016年2月度)のコンバージョン数の変化

no-index化によりアクセス数はno-index化前と比べて落ち込んだものの、見込み客へリーチするために行った「ソーシャルからコンバージョンしてもらう」施策が功を奏し、コンバージョン数は増加。コンバージョン率も大きく改善しました。

ソーシャルメディアは情報を拡散し、しっかりとコンバージョンに直結するメディアであることを確信しました。

では、どうやってソーシャルメディアを活用してコンバージョン率を上げたのか。「ソーシャルからコンバージョンしてもらう」ための施策を解説していきます。

「更新しました」は×、ブランディングに沿った内容の投稿を

ソーシャルメディアをビジネスに生かすならば、投稿を読んで興味/関心を持った人たちが、次のアクションを具体的に起せるように行動を促進する必要があります。

そのためには、関連するURLを入れるのはもちろんのこと。「ブログを更新しました」ではなく、共感が得やすく、自社のブランディングに沿った内容の投稿(投稿画像参照)をテストしてみました。その結果は次の通り。

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従前

  • コンテンツは投稿indexあり
  • 投稿内容は「ブログを更新しました」などが中心

集客からコンバージョンに至るまでの導線を確認すると、コンバージョンの割合が多い参照元は検索経由だったが、コンバージョン数がそもそも低かった。

テスト

  • コンテンツは投稿indexなし
  • 投稿は自社のブランディングに沿った内容が中心

ソーシャルメディアからの流入がかなり増えると同時に、コンバージョン数も大きくアップ。結局、コンバージョン率も大幅に向上した

検索というオープンな環境からの流入よりも、ソーシャルメディアというある程度制限されたネットワークのほうが、“筆者に共感や同意する見込み顧客が大勢いるであろう”という仮説から行ったテストです。そして実際に、ソーシャルメディアからのコンバージョンは、狙いどおりに高まりました。

ソーシャルメディアは侮れない、いや使える!」と確信を持った時でした。

今でもFacebookメッセージからの問い合わせ、直接の電話(ソーシャルメディアにおいては、アカウントに電話番号を明記しています)が入ってきます。実際にFacebookやTwitterの投稿を見て、動画の使い方に関する問い合わせをいただき、仕事につながったケースもあります。

ソーシャルのビジネス活用3つの極意

ソーシャル中心に舵を切りコンバージョン率を上げた筆者ですが、単にソーシャルだけに告知を限定したわけではありません。ソーシャル向けの投稿も、試行錯誤を重ねて成果につなげるためのポイントを見つけました。そのポイントは3つ。

  • 投稿者がどんな人なのかの明示
  • 投稿は量より質
  • 更新頻度

それぞれについて解説します。

① 投稿者が何者かをわかりやすく反映していますか?

約1年前のデータを見ると、サイトのコンバージョン率は0.9%前後でした。インバウンドマーケティング(見込み顧客から見つけてもらうマーケティング)を実践していてもその程度です。

ソーシャルメディアを使って、コンバージョン率をもっと上げられるのではないか? コンバージョンに結びつける施策があるはずということでいろいろ考えていました。出た答えが、コンサルの仕事を頼んでもらうんだから「アカウントの所有者=自分は、何者なのかをはっきりさせないといけない」ということ。これが、共感してくれる人の大小につながると考えたのです

マーケティングの原点に立ち返り、見込み顧客はどんな人で、どんな課題や問題点を持っていて、それをどのように解決したいのか? その具体的なイメージを想像し、書き出すことから始めました。

  • ターゲットに対する自社のUSP(Unique Selling Proposition)は何か?
  • メッセージとして発信する際の、具体的な言葉は何か?

そして、この2項目を検討しました。その答えを出すためには、「アカウントの所有者=自分は、何者なのか」をはっきり認識してもらわなければ、共感してもらえないと考えました。ここが曖昧だと、見込み顧客にメッセージが届かないのではないかと結論付けたのです。

いくら「いいね!」がたくさん付いても、本当の意味で(ビジネスに有効活用する上で)共感してもらわないとダメです。しかし、多くの人は「いいね!」の数が評価軸だと勘違いしています。

単に「いいね!」をたくさんもらっているだけでは意味がありません。本当の意味で「いいね!」をしてもらっている人がどれくらいいるのかが一番重要です。ソーシャルメディアのフォロワーは、数の多さよりも、いかに共感してくれる人を抱えているかが重要なのです。

② 量より質が重要です

ソーシャルメディアからコンバージョンを上げるには、真の共感者としっかりつながること、これが大前提です。ソーシャルメディアの友達、フォロワーをしっかり見極めて選抜することが必要です。

具体的な作業は、定期的なリスト・スクリーニングが重要です。

  • Facebookの場合
    友達同士の関係性の強さで、ニュースフィードへの出現率が大きく変化します。本当の共感者との関わり(Facebookでは、「いいね」やコメント投稿というアクション)をしっかり持つ事、また新たに持ちたい相手の投稿への積極的な関わりが大切です。
  • Twitterの場合
    時間軸で新しいものからどんどん投稿が流れていきます。フォロワーが、どんな方でどのような事に興味・関心があるのかの特定は難しいですが、フォロワーは誰でもいいという事ではありません。やはり、興味/関心/共感を得られるであろう、というターゲットがフォロワーである方が、リツイートというアクションにもつながります。

ソーシャルメディアの運用は、見込み顧客になってほしい人が友達やフォロワーになっているかがポイントになります。それを踏まえて、日々の投稿は自分自身を表現していくのが非常に重要なことなんです。

日々の投稿が、身辺の日記では、どのようなビジネスをしていて、どんな情報を持っていて、どんな事に関心があるかは伝わりません。見込み顧客になってほしい人が、関係を持ちたいと思うような投稿を日頃から意識する方がいいでしょう。

③ 更新頻度が実は重要なんです

ソーシャルからのコンバージョンを最も改善したのが、この部分でした。ソーシャルメディアの大先輩から聞いた仮説に「ソーシャルメディアは、投稿頻度が重要である」があります。そこで、Facebookのタブーと言われていた「頻繁に投稿すると嫌がられる」事(一般的には、1日に朝昼夜の3回以上投稿すると嫌がられると言われています)にチャレンジしてみたのです。

Facebookでは1日最低4回を基準に、平均して1日5~6回の頻度で投稿。Twitterは1日24回を最低基準に設定し、投稿を続けました。このテストを繰り返したところ、見事タブーを打ち破ることができたのです。つまり、「今まさにこのタイミングで見てもらう/読んでもらうために投稿頻度を上げる」事が、コンバージョンをアップさせ、コンバージョン率UPにつながることがわかったのです。

ソーシャルメディアの投稿は、タイムラインという時間の流れで動きます。これが、従来のメディアとは大きな違いです。Facebookでも基本的に古い情報は出てきません。情報は、常に出さないと消えてしまう。これがソーシャルメディアの宿命です。

そうであれば、消えないように出し続けること、これが重要なわけです。

ソーシャルメディアでコンバージョンにつながるポイントとは?

基本的な話ですが、インターネットにおけるウェブマーケティング戦略の重要ポイントは、アウトプットで自社の事業に戻す道筋をつけることです。では、どうすればいいのか?

自社の事業に戻す道筋=ランディングページ、を投稿に入れないとダメですよね。しかし、日記的な投稿ばかりであれば、興味があってもその投稿以上に深く掘り下げる動機は生まれません。重要なのは、“その先”を見せるためのリンクの投稿なのです。

ソーシャルメディアをビジネスに生かすならば、投稿を読んで興味・関心を持った人が、次のアクションを具体的に起せるように、行動を促す必要があります。そのために重要なのが、共感を得やすいコンテンツであり、独自性です。

共感を得やすいコンテンツにするために、フォロワーなどが投稿を読んで興味・関心を持ってくれそうな情報を投稿に盛り込むようにしました。

独自性のあるコンテンツにするために、自分自身を表現したコンテンツ作りを心がけて考案しました。そして、その情報をFacebookに投稿するようにしました。

「自分自身」とは、事業における考え方、価値観、見込み顧客の役に立つであろう情報やネタ、事業のマーケティング戦略プランの考え方や立て方などなど、自分自身を表現するものです。そうした情報を精査して、自分の言葉とビジュアルで投稿しました。

よくある「ブログ更新しました」という投稿の何が悪いのか? URLをクリックしてくれるのは余程のファンに限られてしまうということです。新規顧客の誘導は、ほとんど不可能でしょう。「ブログ更新しました」では、その情報の価値が伝わりませんから。

なんでソーシャルに力を入れた方がいいのか? それはネットの世界が変わっているから

オープンな環境がメリットであるインターネットの世界。しかし、最近はクローズドな流れが加速しています。たとえば、LINEのサービスから出なくてもいいようなさまざまなサービスがLINE内で増えています。メッセージから電話、ニュース、音楽、動画、グルメ予約、EC、ブログ、アルバイト、果てはタクシー……LINE内である程度、完結できるようになってきています。

少し前に展開されていた「Twitterで検索」のキャンペーンをご記憶ですか? これもTwitter内である程度完結させるものです。

Eコマースに関して、Twitterは2014年から、アプリ内でショッピングができる機能を米国でスタートしています(アカウント内でクレジットカードを登録するようになっています)。

実はFacebookも同様です。メッセンジャーの機能を充実し、アメリカではメッセンジャーを使って友人に送金することも可能になっています。

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ECはFacebookグループ内でのみ物品売買が可能ですが、Facebookページでの販売に「ショップ」セクションという機能を用意し、β版の運用を行っています。しかも決済から販売管理まで可能ですから、FacebookがEC機能を実装していっていると言えるでしょう。

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Facebookグループにおける販売投稿機能
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Facebookページにおける販売機能(決済、販売管理等)

物品の売買もソーシャルメディア上で行われるような流れになってくると、ソーシャルメディアに触れている人たちがさらに多くなっていくでしょう。だからこそ、接触機会が増えるであろうソーシャルメディアをコンバージョンに生かす必要が出てくるのです。

流入元の1つであるソーシャルメディアからのCVRを意識して運用していないケースが多いのは事実ですが、そもそもソーシャルメディアはコンバージョンしにくいメディアだと決めつけていませんか?

私は、今までにはなかった新しいコミュニケーションメディアの中で、どうすれば集客につながり、どうすればコンバージョンに結びつくのかを考えてきました。圧倒的に検索からの流入が大半を占めていたころからです。

Facebook関連のセミナーにも参加はしましたが、Facebookページをどう活用すべきか? という抽象論ばかりのものが昔は多く、肝心な「自社の目標=コンバージョンに到達するか」どうかは、あまり議論されませんでした。

ましてや、コンバージョン率における参照元に関して、ソーシャルメディアが上位に来るという認識は当時なかったです。

しかし、ソーシャルメディアのアクティブユーザーが増えるなか、私はソーシャルメディアの運用は「集客の導線」を中心に考え、よりビジネスを意識した投稿を考慮し、FacebookやTwitterを日々運用してきました。当初から流入は少なからず見込まれましたが、なかなかコンバージョンにまで至らないのが実情でした。

しかし、時代は変りました。ソーシャルメディアの活用がコンバージョンアップにつながるようになっています。今回のポイントをもとに、自社のソーシャルメディア活用を見直ししてみてはいかがでしょうか?

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山本 誠一

山本 誠一(やまもと・のぶただ)

顧客応援隊 代表。日本企業の中長期見通しが厳しい中、どのようにすれば生き残れるか? という悩みをサポートします。​

昨今は変化し続けるソーシャルメディアの企画/運用もサポート。また実務ワークを取り入れたセミナー開催、社員研修も実施しています。

  • WACA認定、上級ウェブ解析士
  • 中小企業庁「ミラサポ」専門家アドバイザー
  • 京都府商工会連合会エキスパート・バンク登録エキスパート

著書には、『自社サイトを“コスト”で終わらせないために ウェブ解析士の事例発表集』の(3)(5)(7)(14)計4冊、事例集セレクト2冊。計6冊を執筆。

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