I-ne大西社長が語る「ボタニスト」のヒット要因と次の一手「パーソナライズ施策」とは

I-neの大西洋平社長が話す、売上高が200億円超まで急成長した“きっかけ”、1人ひとりの髪質に合ったパーソナライズシャンプー「My BOTANIST」とは

瀧川 正実

2019年4月2日 10:00

売り上げを大きくすることが、社員にとっても幸せだと思った。売上10億円が見えるくらいまで成長したとき、日々満たされない状況が続いた。そんな時、ヘアアイロンブランド「SALONIA」を使ったユーザーの親御さんからの商品レビューで、「朝の数分で髪がストレートになるので、くせ毛だった娘は楽しく学校に行けるようになりました」といった投稿があった。大切なことに気付いた。会社は売り上げを伸ばすために存在しているのではない。売り上げをのばすことが喜びではなく、お客さまに喜んでもらうことが会社の成長につながる

「BOTANIST」開発のきっかけはユーザーの声とミッションの策定

ボタニカルライフスタイルブランド「BOTANIST」(ボタニスト)で知られるI-neの売上高が200億円超まで急成長した“きっかけ”をこう話したのは大西洋平社長。「BOTANIST」のヒットは会社としてのミッションの策定が1つの要因にあると力説する。

「ボタニスト」で知られるI-neの売上高推移
I-neの売上高推移

ユーザーのレビューで気付きを得た大西社長は、「商品を通じて世界中を幸せにする」というミッションを策定した。そして、着手したのが独自シャンプーの開発。本格的に動き始めたのは2014年のことだった。

化粧品開発・販売の経験者はほぼ皆無という状況からのスタート。既存のシャンプーメーカーのような形ではなく、「ライフスタイルブランド」として展開していこうと企画・開発を進め2015年のローンチにこぎ着けた。

まずはネット通販を軸に商品販売を展開。大手モールでのランキング露出などがきっかけとなり、ドラッグストアやバラエティショップなど実店舗展開も実現。これまでの出荷本数は累計5000万本を超えた。

「ボタニスト」で知られるI-neのミッション
I-neのサイトでも掲示されているミッション(画像は編集部がI-neのサイトからキャプチャ)

消費の多様化、ニーズの変化に対応するパーソナライズシャンプー

そんなI-neは3月、1人ひとりの髪質に合ったパーソナライズシャンプー「My BOTANIST」の提供を発表した。

毛髪診断士によるパーソナライズシステム「My BOTANIST 診断システム」を独自に企画・開発。9個の質問(約2分)に答えると、独自のメソッドによって髪質を分析し、髪の悩みやなりたい質感に合ったシャンプーとトリートメントの組み合わせを提案する仕組み。

診断結果に合わせて頭皮美容液、ヘアミルク、ヘアオイルといったアウトバス製品も提案する。

パーソナライズシャンプー「My BOTANIST」のイメージ動画

価格は、シャンプーとトリートメントがそれぞれ4980円、アウトバス製品もそれぞれ3300円。販売には定期購入制度を導入。定期便購入の初回購入は40%、2回目以降は20%割引を適用する。配送までは注文から5日以内。使用頻度に合わせて30日、45日、60日の配送期間を選べる。

開発のきっかけは「消費の多様化」だ。I-neによると、「ボリュームアップが目的のスカルプと、ボリュームダウンが目的のモイストという真逆のシャンプーとトリートメントの組み合わせをリピートしているお客さまがいた。そこから他の購入データを分析してみると、毎月2000人以上の会員が、目的の違うシャンプーとトリートメントの組み合わせを購入していることに気が付いた」。

I-neは、想定していた使用分類にはとどまらずユーザーの利用方法は複雑に多様化していることを発見。ユーザーニーズに応えるためのプロダクトを用意したという。

「BOTANIST」のヒット、「My BOTANIST」の開発を踏まえ、大西社長は次のように語った。

戦後はモノを作れば売れる時代。1970年代以降は生活に便利な製品が開発され、機能性が似た商品が流通されるようになった。1990年代にネットが普及し、消費者は機能性に加え、社会貢献など精神的な価値を求めるようになった。無数のブランド、情報、価値観が存在する今、1人ひとりに合ったモノが手に入る時代になった。多くのデータを活用することで、ユーザー1人ひとり適したモノがすぐに作れて、すぐに届くようになる。パーソナライズするということは、大量生産しない。過剰生産による廃棄物の減少にもつながる。その大きな第一歩にしたい。

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