内山 美枝子 2020/2/6 7:00

アメーバエナジーと日本郵便は1月30日、神奈川県相模原市の「さがみロボット産業特区プレ実証フィールド」において、自律走行型ソフトロボット「Amoeba GO-1」による集合住宅へのラストワンマイル配送を想定した実証実験を行った。

今回の実証実験の内容は下記のとおり。

  1. オートロックを想定したエントランス部分で、配達員がロボットに荷物を預ける
  2. 段差や階段を乗り越え、各戸の前まで荷物を運ぶ
  3. 住戸の前で指定された荷物を下ろし、荷物を置いた状態を撮影する
  4. ロボットが撮影した写真をユーザーに送信する
配達員が「Amoeba GO-1」に荷物を入れる
①配達員が背面のフラップを開けて荷物を入れる。ロボットは狭い場所でも旋回できる
階段を登る「Amoeba GO-1」
②段差が18センチまで、傾斜角度が35度までの階段なら昇降できる
③ゆっくりと傾斜を付け、背面から滑らせるようにして荷物を下ろす
「Amoeba GO-1」の配達完了画面
④配達完了の通知画面

なぜソフトロボットなのか

「Amoeba GO-1」は従来のロボットのイメージを覆す「ソフトロボット」。「ソフトロボット」とは生物が持つ柔らかい素材が持つしなやかな動き、適応性の高さ、接触したときの安全性、心理的な親近感などを持つロボット。柔らかなスポンジ状のキャタピラで、階段もしなやかに移動できる。

今回の実証実験は、配達員が宅配ボックスではなくロボットに荷物を預けるという、ロボットを動く宅配ボックスとして活用する試み。開発を手がけるアメーバエナジー代表の青野氏は、「宅配のラストワンマイルの課題を解決するには、置き配の自動化が必要だが、住宅には段差や階段がある。ソフトロボットなら柔軟に対応できる」と語った。

Amoeba Energy 代表取締役社長 青野真士氏
Amoeba Energy 代表取締役社長 青野真士氏 

日本郵便ではマンガで置き配の利用を促進するコンテンツを作成するなど、置き配の普及に取り組んでいる。日本郵便 オペレーション改革部 部長の五味儀裕氏は、「宅配業界では再配達をどう減らすかが大きな課題。日本郵便でも置き配を進めているが、オートロックが障壁になって置き配ができないことが多い。今回の実証実験はオートロックの内側からアプローチするのがポイント。ドローンや車輪型のロボットなど、さまざまな新技術の実験をしているが、Amoeba GO-1は階段を登れるところが魅力」と語った。

日本郵便 オペレーション改革部 部長 五味儀裕氏
日本郵便 オペレーション改革部 部長 五味儀裕氏

日本郵便×テクノロジー企業の取り組み

①宅配ロボット

日本郵便は2019年1月31にも福島県双葉郡浪江町においてZMPの宅配ロボット「CarriRo Deli(キャロルデリ)」による実証実験を行っており、ゆうパック配送の過程における人の飛び出しや、自転車や人とのすれ違いなどについて実験した。

ZMPのプレスリリースよりキャプチャ

②自動運転

2019年3月にはアイサンテクノロジーと自動運転の実証実験を行った。東京国際郵便局から新東京郵便局の間における郵便物の輸送を想定し、新東京郵便局構内においては運転者が乗車しない自動運転を実施した。

③ドローン

小型無人航空機(ドローン)については2018年11月に福島県南相馬市の小高郵便局と、福島県双葉郡浪江町の浪江郵便局の間でドローンでの郵便局間輸送を開始している。また、2020年1月14日からは、奥多摩郵便局と周辺地域で、自律制御システム研究所製の「PF2」による輸送を開始している。

④IoT宅配システム

2020年2月1日からは京セラと横浜市による「IoT宅配システム」の実証実験にも参加している。

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