動画+ECで売上・集客UPを実現するには?動画コンテンツのメリットや活用方法まとめ
EC市場が年々拡大する一方、ネットショップに参入する競合も続々と増えています。その中から自社を選んでもらう施策として有効な手段が「動画」の活用です。
今回はECサイトに動画が有効な理由や活用法、動画を取り入れているサイト事例など「ECサイトにおける動画の効果やメリット」について説明します。売上を伸ばしたい方や、より商品の魅力をアピールしたい方はぜひ参考にしてください。
ECサイトに動画が有効な3つの理由
ECサイトに動画が有効な理由は大きく3つあります。
- 売上UP:購入意欲の訴求や不安の払拭ができる
- 集客力UP:より多くのユーザーの流入が見込める
- ブランド力UP:他社との差別化やブランド構築に役立つ
動画を取り入れるとなると、少しハードルが高いと思うかもしれません。まずは、動画の価値をしっかり理解することから始めましょう。
1. 売上UP:購入意欲の訴求や不安の払拭ができる
ECサイトの最大の弱みは、ユーザーが購入前に商品を手に取れないことです。そのため「本当に買って大丈夫か」と不安に思い、購入を見送るユーザーもいます。
しかし、動画を活用すれば実際の使用感やサイズ感など、リアルに近い商品情報を伝えられます。「1分の動画は180万語に匹敵する」と言われるほど、情報の伝達力が圧倒的に高いからです。
商品への理解を深めることで、ユーザーの不安を払拭しスムーズに購入へとつなげることができます。
米Brightcove社による2018年の調査では、以下のような結果が出ています。
- 動画を視聴後に、商品を購入したことがある消費者は76%
- ミレニアル世代(18~34歳)は特に多く85%
ほかにも動画が購入に役立つ調査報告は多くあります。
2. 集客力UP:より多くのお客様の流入が見込める
動画は売上を伸ばすだけでなく、ECサイトへの集客にも役立ちます。具体的な理由を3つ紹介します。
- 独自の動画コンテンツを盛り込むことで、SEO効果が期待される
- ユーザーのページ滞在時間が延びることで、SEO効果をさらに高めることが期待される
- YouTubeやSNSで動画を公開することで、検索エンジン以外からの流入も狙える
動画はSEO面で有利に働くと考えられるだけではなく、サイトへの流入元も増やせるということです。
実際に「動画コンテンツによって、検索流入が157%増える可能性がある」という報告もあります。また、動画を編集し直して広告配信するという手もあります。
3. ブランド力UP:他社との差別化やブランド構築に役立つ
圧倒的な情報伝達力を誇る動画は、ブランディングの面でも効果的です。なぜなら商品の魅力や世界観、メッセージなどをストレートに伝えやすく、ユーザーのロイヤリティ(愛着・忠誠)をより高められるからです。
また、テキストや画像だけでなく動画も用意するホスピタリティは、信頼の獲得にもつながります。
その結果、数多くあるECサイトから自社を選んでもらいやすくなり、商品の継続的な購入・利用が期待できます。
ECサイトに動画を取り入れるデメリットや注意点2つ
ECサイトの動画にはメリットがある一方、デメリットや注意点も存在します。
- 動画を作るためにコストがかかる
- 動画制作のスキルが必要
ECサイトに動画を取り入れる際には、これらにどう対応するか事前に検討することが大切です。
1. 動画を作るためにコストがかかる
商品の説明文や画像を用意するよりも、動画制作には多くの時間や手間が必要です。その分スタッフの負担が大きくなるので、本来の業務に支障が出るおそれがあります。
そのため、以下のような工夫や調整が大切です。
- スタッフの作業内容や作業量を見直す
- LPやチラシ、DMなどの素材を動画に流用する
2. 動画制作のスキルが必要
ユーザーの興味を引く魅力的な動画を作るためには、撮影や編集に相応のスキルが求められます。しかし、
- 社内にノウハウがない
- スキルを持った人材がいない
というケースは少なくないと思います。そんなときは、将来的には内製も視野に入れてプロに依頼することがおすすめです。
いきなり商品の特徴やイメージを正確に伝えるのは難しいので、まずはプロのお手本を参考にしましょう。また、セミナーや講座に参加し、撮影・編集のスキルを一から学ぶことも一つの方法です。「素人感」や「手作り感」を演出するなら、高性能なスマホや簡単な編集アプリでも十分なケースがあります。
しかしそうでない場合は、長期的な目線から初期投資をかけるのがおすすめです。
ECサイトにおける動画の主な活用法
ECサイトに動画を取り入れる際のメリット・デメリットを紹介したところで、次はどのような活用法があるのか説明します。
- 商品の魅力をアピールする
- 商品の使い方を紹介する
- 商品のブランドを伝える
1.商品の魅力をアピールする
商品の外観やスペック、細かい作りなどを紹介する方法です。具体的には、
- 服やアクセサリーをモデルが着用して動くシーン
- 日用品を実際に使うときの使用シーン
などがあります。特にアパレル系では試着ができないため、角度による見た目の違いやサイズ感など、ディティールを気にする方が多いです。
実際に商品が届いて、「カラーや質感のイメージが違う」などのクレームや返品を防ぐためにも、動画の活用はおすすめです。
ただし、必要以上に商品を良く見せることは必要ありません。テキストや画像だけでは伝えにくい魅力を、動画で表現するイメージで大丈夫です。
2.商品の使い方を紹介する
ハウツー動画として、商品の使い方や正しい知識を実演して伝える方法です。例えば
- 家電の取り付け方や操作方法
- コスメの正しい用法
- 食品をつかったレシピ動画
などです。これにより、購入前の不安を払拭させたり、購入後のイメージをより湧きやすくさせることができます。また、実際に商品を購入したユーザーのサポート効果も期待できます。
3. 商品のブランドを伝える
商品へのこだわりやメッセージなど、ブランドを伝える方法です。内容としては、以下のようなものがあります。
- 商品誕生の背景や開発ストーリー
- 原材料や製造工程の紹介
- 開発者インタビューや生産者の声
これらは安心・安全を求められる食品系でよく使われており、ユーザーからの信頼を高めることに効果的です。また、商品のこだわりや作り手の想いなどを伝えることで、感動や共感を得やすくなります。
ECサイトに動画を取り入れているサイト事例
ECサイトの商品説明や集客に、動画を活用するケースは増えています。そこで、futureshopのサービスを利用しているショップの中から、動画を活用しているショップ例を紹介します。
- シャツの専門店「ozie」
- 竹材専業メーカー「竹虎」
- 祭り用品「祭すみたや」
ショップから直接コメントもいただいているので、ぜひ参考にしてください。
1. シャツの専門店「ozie」
シャツの通販ショップ「ozie」は、ネクタイの結び方やシャツの選び方などユーザーに役立つノウハウを動画でわかりやすく発信しています。
①ECサイト内で、どのように動画を活用していますか?
弊社で動画をアップする最終目的は「ozieの認知度を上げるため」です。
リピートされないショップの一番の特徴は忘れられているから。覚えてもらうことが、オリジナルの商材を扱う店にとって業績アップにつながります。そして、覚えてもらうために大切なのが「コンテンツ」だと思っています。
なぜなら、ユーザーが知りたいノウハウや知識をわかりやすく正しく伝えることで、検索で上位に表示されやすくなりアクセスも増えるからです。
それがネクタイの結び方など動きのあるノウハウであるほど、何度もアクセスしてもらうことで接触頻度が上がり、ozieを覚えてもらいやすくなる、と思っています。
動きのあるノウハウに動画は最適ですし、素材の説明や商品説明など文字でも伝わるような動きがないコンテンツでも、動画なら撮影してすぐに公開することができる。簡単だし、スピード感があって良いかなと思っています。
また、現ページにあるコンテンツの中で動画の説明があったらよりわかりやすいもの、もしくは現ページにテキストの記載がないコンテンツの中で、動画の説明があったら良いと思える内容を撮影するように意識しています。
前者であれば現ページの一番下に動画を掲載していますし、後者であれば動画を元にテキストのページを作ったりします。
スタッフも各自でコンテンツを作成・公開していますが、私が作る内容の方が濃くなるのは事実。その濃い内容の動画を見ながら文字起こしをするのは簡単なので、動画からテキストのコンテンツページを作成、ページ下部に動画も掲載という流れで行っています。
あとは、ozieのFacebookページにも必ずアップするようにしています。
②動画を取り入れたことで、どのような効果や変化がありましたか?
一番嬉しいのが、ショールームに来てくださるお客様から「動画よく観てます!参考になります」と言っていただけること。直接そんなことを言われたら、嬉しくて涙が出てしまいますね。
問い合わせでも「動画を見て質問します」という内容が結構あります。このあたりはまさに「認知度を上げる」につながっていると思います。
YouTubeに公開した動画がGoogle検索でどの位置に表示されるかは逐一チェックしています。動画タブでチェックすると、ほとんどが1ページ目に掲載されています。これが続くと、検索の全体タブでも1ページ目に掲載されることが多くなってきます。
コンテンツを動画で上げることによって、お客様の役に立って接触頻度が上がり、店を覚えてもらいやすくなることにつながりますし、アクセス数が増えるほど検索順位が上がる好循環にもなります。
今後の課題は、テキストページがなく動画のみのコンテンツをテキストページでも作っていくこと。動画だけでも検索順位が高いコンテンツは、テキストページもあるとより相乗効果を発揮しますので。
2. 竹材専業メーカー「竹虎」
創業明治27年の老舗「竹虎」は、竹を題材にした動画を作るユーチューバーならぬ「竹チューバー」して活躍しています。
①ECサイト内で、どのように動画を活用していますか?
ECサイト内のブログや商品ページなどに、動画を貼りつけています。
ブログ記事への理解を深めてもらったり、商品の使い方や保管方法、どのように作られているかなど、画像だけでは伝えきれない部分を動画を使って説明しています。
②動画を取り入れたことで、どのような効果や変化がありましたか?
公開している動画の中には、27万回再生されている「うなぎうけの制作風景」動画があります。関心のある動画は多くの方が見に来ていることを実感しています。
動画は皆様がご存知ないものをよりリアルに伝えられるので、今後も力を入れていきたいと考えています。
3. 祭り用品「祭すみたや」
お祭りグッズを専門に扱う「祭すみたや」は、商品の使い方やよく寄せられる問い合わせを動画で紹介しています。
①ECサイト内で、どのように動画を活用していますか?
主に商品の使い方を動画で紹介しています。弊社は「お祭り用品」を扱っており、使用方法や着用方法がわからないなどの問い合わせが多い商品もあります。
例えば「チャンパ」と呼ばれる和楽器はサイズ別に音色が異なり、電話で「4号はどんな音ですか?」とお問い合わせをいただくことがあります。以前は電話をしながらチャンパを実際に鳴らして、「こんな音色ですよ」とお答えしていました。
しかし、動画で伝えたほうが伝わりやすいと気付き、そこからYouTubeに動画をアップするようになりました。
②動画を取り入れたことで、どのような効果や変化がありましたか?
商品ページに動画を掲載したことで、「動画があって分かりやすかった」というお声をいただくようになり、購入時の参考になっているように思います。
また、ECでの購入だけではなくYouTube動画をきっかけに店舗を知っていただき、静岡の実店舗に全国各地から来ていただけることが増えました。
各地のお祭を主催されている団体様が、バスで大勢で来店されることもあり、間接的な動画のPR効果も感じています。
まとめ:動画を活用してEC商品の魅力を伝えよう
最後に、本記事のポイントをまとめます。
ECサイトに動画が有効な理由
- 売上UP:購入意欲の訴求や不安の払拭ができる
- 集客力UP:より多くのお客様の流入が見込める
- ブランド力UP:他社との差別化やブランド構築に役立つ
EC動画を取り入れるときの注意点
- 動画を作るためにコストがかかる
- 動画制作のスキルが必要
ECサイトにおける動画の主な活用法
- 商品の魅力をアピールする
- 商品の使い方を紹介する
- 商品のブランドを伝える
動画を活用するとなると、少しハードルが高いように思うかもしれません。
しかし、スマホで誰もがECサイトを利用できる中、動画の重要性はどんどん増しています。次世代通信技術の5Gが商用化されれば、動画コンテンツのニーズはさらに高まることでしょう。
「ECサイトの売上や集客を伸ばしたい」という考えがありましたら、長期的な視点に立ちぜひ動画の制作を検討してみてください。
この記事はフューチャーショップのオウンドメディア『E-Commerce Magazine』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。