瀧川 正実 2020/9/30 9:00
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1990年代のEC黎明(れいめい)期に会社を設立、2000年にネット通販をスタートし、東京証券取引所市場第二部に株式を上場する株式会社ストリーム(以下「ストリーム」)。2020年1月期の連結売上高は234億900万円の家電ECの大手専業企業だ。そんなECビジネスの成功企業であるストリームを取り巻く環境は、大手量販店によるネット通販強化などで競争が年々激化。また、購買行動が大きく変化し、消費者がECサイトに求めるニーズが多様化している状況にある。

そんなさなか、ストリームは大手量販店を含む競合企業があまり取り入れてない施策を導入し、「変わる消費行動への対応」「利便性向上」「買いやすいECサイト作り」の実現に動き出している写真:吉田浩章

大手検索サイトも認めた老舗EC企業、家電から美容・健康事業、そしてレンタル事業へ

ストリームは家電などの自社ECサイト「ECカレント」「イーベスト」「特価COM」を中心に、「Amazon.co.jp」をはじめとするオンラインストアでもECビジネスを展開。2013年には「ECカレント」が世界的な大手検索サイトから世界の優良ネットショップとして日本初選出5社のうちの1社となるなど、日本におけるネット通販のパイオニアとしてその地位を築いてきた。

ストリームが運営する主力のECサイト「ECカレント」
ストリームが運営する主力のECサイト「ECカレント

2014年には、化粧品、健康食品を中心とした生活必需品の開発・販売を手がけるエックスワンを買収し、ビューティー&ヘルスケア事業に進出。20年以上にわたるEC運営ノウハウを生かし、他社の物流に関する受託事業を行うなど、ビジネス領域を広げている。

ストリームの事業について
ストリームの事業について

新規参入、低価格嗜好、ニーズの多様化、大手企業のEC強化など、日本全体のEC市場同様、家電のEC市場を取り巻く競争環境は年々、激化している。

家電のネット通販からスタートしたストリームは、ビューティー&ヘルスケア事業、物流支援事業など事業の多角化を推進。そして、2020年には、大きく変わる消費行動に対応する一手として、シェアリングサービスを提供するレンタルサイト「レントコ(Rentoco)」を立ち上げた

ストリームが事業の柱に育てようとしているレンタルサービス「レントコ」
ストリームが事業の柱に育てようとしているレンタルサービス「レントコ

「レントコ」は、ストリームが長年の実績で築いたMD(マーチャンダイジング)力などを生かし、カメラ、掃除、調理、理美容といった新品家電を低価格のレンタル形式で提供するシェアリングサービス。「ECカレント」などで培った物流業務、在庫管理システムを活用し送付、返却、クリーニング、メンテナンスなどのバックヤードオフィスも自社でワンストップ管理する。

ストリームが「レントコ」を立ち上げたのは、モノを所有するのではなく必要な時だけ借りるという価値観の台頭に対応するため。「高額な商品でも低価格で使用感を試せる」「廃棄処分の手間や費用がかからない」といった新しい消費者の価値観に応えるサービスとして、ストリームの事業の柱に育てあげる方針を掲げる。

EC20年以上の老舗企業が取り組む変化対応、注力するのは「買いやすいサイト作り」

ECビジネスがスタートしてから20年超。歴史の浅い業界だが、浮き沈みは激しい。1990年代のEC黎明(れいめい)期からECをスタートした企業の多くが市場から撤退。入れ替わるように他の中小企業、ベンチャー、大手企業などが年を重ねるごとにEC市場へ参入している。

ストリームが20年超もECビジネスを継続し、成長を続けているのは、目まぐるしく変わる消費者ニーズや技術革新などに対応し、そして、新しいチャレンジをしてきたためだ。「レントコ」の立ち上げもその一環である。

2020年は「レントコ」の立ち上げのほか、「簡単に」「手軽に」「安心・安全に」といった消費者の買い物ニーズに応えるために新たな一手を打った。それが、Amazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay」の導入だ。2020年3月に「Amazon Pay」を「ECカレント」「イーベスト」「レントコ」の自社ECサイトに実装した。

すでに1万社以上の日本のECサイトが導入している「Amazon Pay」。ストリームにとって「Amazon Pay」導入がなぜ新たな一手になるのか? それには家電業界特有の“利益率”の問題がある。

小売業の一般的な営業利益率は5%程度と言われている。家電業界は薄利多売のビジネスモデル。そのため、営業利益率は高くて4%台、0.数パーセント台もめずらしくない。ストリームの2020年1月期におけるネット通販事業の営業利益率は約1%。家電系ECサイトではできるだけ販売管理費を抑えるため、数年前までは「カード決済は導入しない」という企業もあったほどだ。

そのため、「Amazon Pay」を導入している家電系ECサイトはコジマなどごく一部。家電系のECビジネスの多くでは、ID決済サービスによる「利便性」「安全性」よりも、目先の損益が優先されている状況にある

ちなみに、「Amazon Pay」の物販に関する決済手数料は4%(デジタルコンテンツは4.5%)。長年、ECサイトを運営しているストリームのクレジットカード決済手数料は他の企業よりも優遇されていると推察され、クレジットカードと「Amazon Pay」の決済手数料率の差は少なからずあると考えられる。だが、「Amazon Pay」の導入に踏み切った。甲斐篤史氏(営業本部 商品販売部 店舗運営グループ 副部長)は次のように言う。

家電販売は、ビジネスモデルとして新しいクレジットカード決済1つを導入するにも入れにくい状況にある。そのため、現金決済が中心だった。だが、世の中の流れがキャッシュレスに移りつつあり、新しい決済サービスも普及してきた。お客さまの利便性を考えたときに、どのような決済がいいのか検討を重ねてきた。

Amazonは、ネット通販では日本国内でスタンダードのように利用されている。つまり多くの消費者がログインIDを持っている。そのAmazonアカウントで決済できる「Amazon Pay」を導入することは、自社ECサイトの利便性の向上につながると考えた

ストリーム 甲斐篤史氏(営業本部 商品販売部 店舗運営グループ 副部長)
甲斐篤史氏(営業本部 商品販売部 店舗運営グループ 副部長)

「Amazon Pay」導入でCV改善、新規顧客の増加

ここで、「Amazon Pay」を詳しく説明していこう。

「Amazon Pay」は、Amazonアカウントを利用して、配送先・クレジットカード情報の入力をすることなくAmazon以外のECサイトでログインや決済を行えるID決済サービス。

「Amazon Pay」の動画イメージ

「Amazon Pay」を導入すると、

  • 個人情報(名前、配送先、クレジットカード情報)は入力不要、最短2クリックで買い物が完了できる
  • 会員登録しなくても、Amazonアカウントを利用して決済が可能。ECサイトごとに必要だったIDやパスワードの管理が不要
  • Amazonのセキュリティシステムでクレジットカード情報が管理されるため、安心・安全な決済環境が提供できる(クレジットカード情報は販売事業者には共有されない)

といったユーザーメリットを消費者に提供することが可能。そのため、自社ECサイトの「カゴ落ち改善」「新規会員の獲得」「売上アップ」といった効果が期待できるとされている。多くのEC企業がこうした効果を期待し、サービス開始約5年で1万社以上の自社ECサイトが導入している。

「Amazon Pay」導入のメリット
「Amazon Pay」導入のメリット

ストリームでは「Amazon Pay」導入後、どのような効果をあげたのか。導入後約4か月で、コンバージョン率は従前比で0.2~0.3%程度向上したという(データはストリームによる調査結果)。「(導入した後の)新型コロナウイルスの影響で通販需要が伸びたため、すべてが『Amazon Pay』の効果とは断言できないものの、導入によって売り上げは確実に伸びている」(甲斐氏)

カート内の下部に「Amazon Pay」で支払いができる案内を掲載している(出典:ECカレントの購入ページ)
カート内の下部に「Amazon Pay」で支払いができる案内を掲載している(出典:「ECカレント」の購入ページ)

甲斐氏が最も効果を感じているのは新規顧客の獲得だ。ストリームが運営する「ECカレント」のメイン集客媒体は「価格.com」。そこから「ECカレント」に訪問してきた消費者は新規顧客のケースが多い。昨今は「このサイトで購入しても大丈夫なのかセキュリティが心配」「登録アカウントをあまり増やしたくない」と考えるネット通販利用者が増えているため、「Amazon Pay」がこうした顧客のコンバージョンに役立っているという。

普段使っているAmazonのロゴが表示されており、ログインID、パスワードを入力すれば簡単に商品を購入できるので、新規のお客さまが抱えている不安の解消につながっているお客さまからの同意があれば自社の会員登録につなげることができる仕組みなので、「Amazon Pay」経由の新規会員も増えている。(甲斐氏)

導入からたった4か月。「Amazon Pay」の導入効果を実感した甲斐氏は、「Amazon Pay」の導入を検討する企業に向けてこう力説する。

「Amazon Pay」導入後、数千人規模で新規会員が増えた。「Amazon Pay」の決済だけを見ると手数料率は高いと感じるかもしれないが、新規顧客の獲得という効果もある。新規顧客の獲得コストも踏まえると、決して高いという決済手数料率ではない。ビジネス全体でコストと効果を見る必要がある

目先の利益よりも顧客の購入体験を重視

「Amazon Pay」導入店舗のなかには、初回購入者のみ「Amazon Pay」で購入できるようにし、2回目の購入はクレジットカードなど他の決済手段しか利用できないようにする企業もある。

新規顧客には「簡単に」「便利に」「安心・安全に」決済できる「Amazon Pay」を提供。既存顧客となった2回目以降は決済手数料の低い他の決済手段を提供することで、効率的に利益率をアップさせていく狙いがあるのだが、ストリームはこうした取り組みには否定的だ。

それはなぜか? 甲斐氏は「手数料については正直、悩ましい部分もある。だが、初回購入と2回目の購入でサービスレベルを下げるわけにはいかない。利用できる決済手段が変わることはお客さまの購入体験の劣化につながると考え、2回目の購入以降も同様に『Amazon Pay』が利用できることにこだわった。これが他社との差別化になっている」と説明する。

上述したように家電の小売りは薄利多売。目先の数字を追うことを考えれば、初回購入のみ「Amazon Pay」を利用できる手法は理解できる。だが、ストリームはその手法を採用しなかった。それは、ECサイトにおける顧客の購入体験を向上することで、長期的に利用してもらえる顧客を増やす。つまり、LTV(顧客生涯価値)を高めていくECサイト運営を重視しているためだ。

「Amazon Pay」は、新規顧客の獲得コスト、顧客の利便性向上、コンバージョン率向上、Amazonマーケットプレイス保証、さまざまな点を総合的に考えると、決して手数料は高くない。利便性があがれば、売り上げは伸びていくだろう。新規顧客も増えリピート購入にもつながっているので、ストリームでは総合的に見てプラスの作用が大きく働いている。(甲斐氏)

家電系には特にありがたかった「Amazonマーケットプレイス保証」

不正注文は多くのECサイトが頭を悩ます問題だが、高単価で転売されやすい家電系商材を扱う企業にとってはもっとも改善したい問題点だ。

ストリームも「チャージバックが課題としてあがっていた。件数が増えていくと商売としても立ちゆかなくなる」と右田哲也取締役(営業本部長)は危機感を募らせていた。

取締役の右田哲也氏(営業本部長)
取締役の右田哲也氏(営業本部長)

※ チャージバックとは、(Amazonを介さずに)銀行またはクレジットカード会社を通じて決済をした購入者が、不正使用などの理由により請求の異議申し立てをした場合に、銀行またはクレジットカード会社による支払いが無効になること

チャージバックの件数が積み上がり、年間ベースで換算するとその損失は無視できない金額となる。

「Amazon Pay」は、Amazonがアカウントやカードの不正利用を24時間365日監視する世界水準の不正検知システムを採用。顧客とEC事業者の双方に「安心・安全」を提供しているため、「Amazon Pay」を少なからずチャージバックによる損失の軽減に役立てることができる

また、「Amazon Pay」には顧客が「Amazon Pay」で商品を購入すると、一部の商材を除き、Amazonマーケットプレイス保証※1の対象となる制度がある

※1 Amazonマーケットプレイス保証とは、Amazonにおいて販売事業者の出品商品を安心して購入してもらうために、購入商品のコンディションや配送を保証するもので、一定の条件を満たす場合、配送料を含めた購入総額のうち、最高30万円までAmazonが保証する制度のこと。「Amazon Pay」を利用した購入においても、同等の保証対象となる(ただし、一定の場合には対象外となる)

決済の信用はビジネスの根幹となる部分。「Amazon Pay」のセキュリティが高いのは多くのお客さまが知っているところ。また、Amazonマーケットプレイス保証の対象にもなる。お客さまにとって安心・安全に買い物ができると思わせてくれる決済手段。(右田氏)

「レントコ」でサブスクECのスタートを構想

「Amazon Pay」の導入効果を実感したストリームは、次のステップを見据えている。

事業の柱に育てようとしている「レントコ」にも「Amazon Pay」を導入しており、シェアリングニーズに応えるためのサブスクリプションサービスに乗り出そうと考えている。

「レントコ」にも「Amazon Pay」は導入されている
「レントコ」にも「Amazon Pay」は導入されている(出典:「レントコ」の購入ページ)

現在は一定期間、新製品をレンタルで提供するサービスだが、今後は毎月の利用料を徴収し、一定期間継続利用できるようにするサブスクリプションを「レントコ」に導入する方針。

「Amazon Pay」にはサブスクリプションビジネスを支援する「Auto Pay」機能があり、その機能を活用し、サブスクリプション対応していくという。

「Auto Pay」を導入すると、顧客は初回の支払い手続き時に「以降の支払いをAmazon Payで行う」と設定することが可能になる。つまり、「Auto Pay」とは、2回目以降は都度ECサイト上で支払いの手続きをすることなく継続して商品やサービスを注文できるようにする機能である。

「Auto Pay」を使えば、事業者は「サービス提供内容に応じて、決済の頻度や金額などのカスタマイズが可能」など、ビジネスモデルに柔軟に対応した決済方法を顧客に提供することができる。

現在、レンタルサービスの決済方法はクレジットカードか「Amazon Pay」のみ。継続課金のサブスクリプションを見据えてこのような決済手段で提供している。ECで培ったMD(マーチャンダイジング)で在庫はそろえやすい。夏だけ、または冬だけ使う商材など、サブスクリプションサービスには大きなビジネスチャンスがあると考えている。こうしたシェアリングニーズに対応できるようにしていきたい。(右田氏)

ストリーム本社で取材。右田氏(写真右)と甲斐氏は時折、笑みを見せる
ストリーム本社で取材。右田氏(写真右)と甲斐氏は時折、笑みを見せる
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