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原理原則を念頭に、物事を分解し、仮定を検証したりすることでイノベーションの扉が開きます。

イーロン・マスクも倣う原理原則思考

変化の速いeコマース業界で、スピーディーにかつ効率的に行動を起こそうとする小売事業者には、陥りやすい思考パターンが2つあります

1つ目は、「思い込み」です。「売れば売るほど儲かる」「消費者の需要は増え続ける」「デジタルマーケティングはコストセンターではない」といった思い込みが見られます。

もう1つは、「類推」です。他の人がやっていていることを真似して、同じ結果を得たい、同じレベルの成功を収めたいと考え、類推で物事を進めてしまいます。

原理原則の思考法では、物事を最も基本的な要素までそぎ落とし、そこから推論していきます。電気自動車企業テスラの共同創設者であるイーロン・マスク氏は、アリストテレスのように第一原理を発明したわけではありませんが、イノベーションの手法として原理原則の考え方を広めました。彼は、状況や問題をコアとなる部分(たとえば、ロケットの原材料)に分解し、より効果的な方法で再構築します。まずは物事を分解してから、再構築しているのです

eコマースの世界では、何かを分解することはおろか、仮定を疑ったり検証したりする時間を取ることはほとんどありません。しかし、それはとても恐ろしいことです。そして、本当に危険なのはこれまでのやり方にとらわれてしまうことです。

時代の変化に適応するためにイノベーションを起こさない企業がどうなるか、私たちは知っています。米国の百貨店SearsはWalmartの台頭を予想していませんでしたし、WalmartもAmazonの躍進を想像していませんでした(現在Walmartは、Amazonに追いつこうと必死で頑張っています)。

イノベーションを生む原理原則思考

原理原則思考がeコマースビジネスに与える影響を3つ紹介します。

1. 先行者利益の神話を覆す

最初に検索エンジンを発明したのはGoogleではありません。Webのクロールとインデックスの技術を最初に使用したのもGoogleではありません。また、iPhoneは最初のスマートフォンではありませんでした。単に他のスマートフォンより優れていただけです。デジタルチャネルを最大限に活用したいと考えているブランドのためのツールを構築した最初の企業は、Tradeswellではありません。

パイオニアとして先行者利益がない場合、市場への参入が早かった他社の構造的な問題を客観的に理解し、自社のソリューションで解決できるメリットがあります。一旦、急成長が始まると、その成長が新たな価値創造によるものではなく、オーガニックな成長であったとしても、方向性を変えることは難しくなります。

2. 小売業におけるバリューチェーンの大きな変化に対応する

今日の消費財(CPG)企業が時代の変化によって直面している重大な問題は、小売のバリューチェーンが完全に変わってしまったことです。研究開発と製造はまだ変化の初期段階にありますが、今や小売、マーケティング、最終的なフルフィルメントは直線的なものではありません。

しかし、多くのCPG企業は、いまだにパレットで小売店に出荷することを前提に商品を製造しています。CPG企業は、リバースエンジニアリングの手法を使って、商品製造工程とパッケージングを根本的に変更し、消費者が直接購入できるような正しい商品サイズを実現しなければなりません

3. eコマースにおけるスーパーチームの新しい定義

従来のやり方は、機能ごとに明確な線引きがありました。マーケティング、財務、サプライチェーン、在庫管理など、それぞれに役割があったのです。しかしそれは、マーケティング部門が大手メディアを相手に活動することを前提としており、アフィリエイトやスポンサードサーチなど、需要を直接左右するクローズドなマーケティング活動は想定していませんでした。

原理原則思考では、ビジネス全体の目標は何か、コアコンピタンスを維持し、専門的なスキルを活用しながら、目標に集中するチームをどうやって作るかを考えます。そうすることで、統制の取れたeコマースを実現し、主要な成果に単独で責任を持つリーダーと、そのリーダーをサポートする他の役割の人達、という構図が生まれるかもしれません。

◇◇◇

原理原則思考は、ビジネスのさまざまな部分に影響を与えます。消費者の行動が、商品の見つけやすさなどの要素をもとに常に変化している現代においては、なおさら影響が大きいでしょう。

たとえば、古い考え方に固執し、仮定に縛られているeコマースチームは、スポンサードサーチからインフルエンサーへの移行、グローバルな規模でニッチ市場を見つけることの大切さを予測できないかもしれません。

「バッグメーカーの落とし穴」にはまらないでください。何百年もの間、「イノベーター」たちは同じ商品を繰り返し作ってきました。バッグの形は同じでも、ジッパーを付けたり(1938年)、ナイロンなどの新素材を加えたり(1967年)、学校やハイキング、旅行用にアレンジしたりしてきました。

1970年に初めてスーツケースが登場したのは、既存の形を改良するのではなく、バッグの機能を向上させようと考えた人がいたからでした。

今までの「形」にマイナーチェンジを加えるのではなく、あなたのeコマースビジネスの「機能」をまず考え、より良い結果を生み出すための新しい方法を見つけてください

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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Digital Commerce 360

世界最大級のネット通販業界の専門誌『Digital Commerce 360』(旧『Internet Retailer』)は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

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