三越伊勢丹HDのEC売上は372億円で18.1%増(2022年3月期)、3年後は600億円の計画
三越伊勢丹ホールディングスによると、2022年3月期のEC売上は前期比18.1%増の372億円だった。デジタル事業は化粧品、食品を中心に売り上げが拡大。化粧品ECサイト「meeco(ミーコ)」では、高単価のスキンケアアイテムや限定品の売り上げが堅調だった。
デジタルの推進として、顧客データの蓄積と利活用によるリアル店舗とヒトを融合したマーチャンダイジングを実行。ECではベストセラー商品の拡大、店頭受取サービスの拡充、地域店サイトと三越伊勢丹オンラインストアとの融合に取り組んだ。三越伊勢丹オンラインストアのEC売上は前期比17.6%増の120億円。
RFM分析とAIデータ抽出によるデータマーケティングを推進。分析結果をスコア化し、AI自動抽出でマッチング化を図った。抽出した結果を基に販売員や外商セールスが顧客に対して営業活動の最適化を行う。
次なる取り組みとして、「仮想都市のコミュニケーションプラットフォーム」がコンセプトの、VRを活用したスマートフォン向けアプリ「REV WORLDS(レヴワールズ)」で、出店ブランド数や出店アイテム数の拡大を見込む。
ギフトECサイトの「MOO:D MARK by ISETAN(ムードマークバイイセタン)」は、気軽に贈り物ができるソーシャルギフトとして、上質かつ幅広いテイストの品ぞろえが20~30代の女性を中心に支持。会員数、売上高ともに大きく伸長した。
「レヴワールズ」では、出店ブランド数が約450、出品アイテム数は約1250に拡大。2022年3月期は、百貨店店舗と連動した化粧品、クリスマスキャンペーン企画などの展開、外部企業との連携によるコンテンツの拡充にも取り組んだ。
三越伊勢丹HDが策定した「2022~2024年度 中期経営計画」では、社会の変化を機会とリスクとして捉え、基本戦略を「高感度上質消費の拡大席巻 最高の顧客体験」とした。その実現に向けた重点戦略は「高感度上質戦略」「個客とつながるCRM戦略」「連邦戦略」だ。
「個客とつながるCRM戦略」では、つながる個客の“母数”の拡大、つながる個客の“利用額・頻度”向上に向けて、「百貨店レベルCRM」「グループレベルCRM」「決済インフラ整備」「インバウンド戦略」を拡充していく予定。
2022年3月期はコロナ期間中にアプリを開発し普及。デジタル会員数は前期比68%増、年間100万円以上エムアイカード会員売上高は同33%増に拡大した。
従来、顧客とのコミュニケーション手段は、カード顧客はDM、それ以外の顧客は新聞やチラシといったマスメディアが主流だった。現在はアプリを含めたデジタル顧客が370万人、エムアイカード顧客を抜きで277万人とつながっており、アプリによるプッシュ通知、メール販促をすることが可能となっている。