EC商品の「置き配」普及をめざして日本郵便と「OKIPPA」が実証実験

置き配バッグ「OKIPPA」を都内の1000世帯に配布し、再配達削減効果を検証する

渡部 和章

2018年11月9日 9:00

日本郵便と物流系ITベンチャーのYper(イーパー)は共同で、荷物の受取人が不在のときなどに、荷物を自宅の玄関先などに届けるサービス(置き配)の実証実験を行う。

イーパーが開発した置き配バッグ「OKIPPA」を東京・杉並区内の約1000世帯に配布し、再配達削減効果を検証する。実装実験の期間は12月3日から31日まで。

現在、実証実験の参加者を募っている。「OKIPPA」のバッグ一式は、日本郵便が参加者に無料で届ける。参加者は実証実験終了後も「OKIPPA」を継続して利用できるという。

置き配バッグ「OKIPPA」とは?

「OKIPPA」は、玄関先に設置し、宅配荷物を保管するバッグ。専用アプリ「OKIPPA」で配送状況などを管理できる。バッグの容量は57リットル。玄関口に固定する専用ロックと内鍵(ダイヤル式南京錠)などがセットになっている。

ヤマト運輸、日本郵便、佐川急便、西濃運輸、Amazonデリバリープロバイダー各社、楽天EXPRESSと連携しており、荷物が到着するとアプリにプッシュ通知が届く。再配達依頼もアプリで行える。

バッグを収納する際は、手のひらサイズ(縦13cm×横13cm、厚さ5cm)に折りたためる。バッグ一式の販売価格は税別3685円。

前回の実証実験では再配達率が約4分の1に

イーパーは2018年7月から8月にかけて、東京23区内の100世帯を対象に、約5週間の「OKIPPA」の利用試験を実施した。試験の参加者は「OKIPPA」を利用する以前、宅配ボックスがない環境で再配達率が59.2%だったが、「OKIPPA」を利用することで再配達率は15.9%まで下がったという。

「OKIPPA」を利用することで再配達率は15.9%まで下がった

再配達率は15.9%まで下がった

試験期間中に参加者が「OKIPPA」で受け取った荷物は合計337個。利用試験の結果を受け、「OKIPPA」の製品版の展開を開始した。

通販業界で広がる「置き配」

「置き配」は再配達削減が期待できることから、通販業界や宅配業界で広がり始めている。

化粧品通販のファンケルは「玄関前」や「自転車のカゴ」など顧客が指定した場所に商品を届ける「置き場所指定お届け」を展開。アスクルが運営する日用品ECサイト「ロハコ」なども実施している。

ファンケルが取り組み置き場所指定配送(置き配)
ファンケルが展開する「置き場所指定お届け」を利用できる一軒家の例

日本郵便は2019年3月、「ゆうパック」のサービスを拡充し、「ゆうびんID」を持つ受取人に限り、荷物の受取場所として宅配ボックスや自宅の物置などを指定できるようにする。

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