森野 誠之 2019/11/26 8:00
ネッ担まとめ

欲しいものを買った時って、ちょっとした高揚感がありますよね。しかし、AIによって機械的に買わされるとしたら……。ちょっと怖い未来が待っているのかもしれません。

便利過ぎて買い過ぎる時代が来る?

過度なオンラインショッピングは「依存症」、感情に基づく広告etc. Gartnerの戦略的展望 | ITmedia
https://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/1911/15/news063.html

まとめると、

  • 11月14日に開催された「Gartner IT Symposium/Xpo 2019」で、ガートナーのアナリストであるアルバロ・メロ氏が「重要な戦略的展望トップ10」を発表した
  • 2024年までに、数百万人がデジタルコマースを濫用し、金銭的なストレスに直面することから、世界保健機関(WHO)は過剰なオンラインショッピングを依存症と認定する
  • 2024年までに、AIによる感情の識別が、表示されるオンライン広告の半分以上に影響を及ぼす

AIとパーソナライゼーションを活用することで効率よく効果的なターゲティングができるようになり、欲しい人に欲しいものが簡単に届けられるようになった。EC経由での消費者支出は今後も順調に増加し続けるとみられるが、一方で便利過ぎるオンラインショッピングの仕組みが消費者の「買い過ぎ」を助長しており、これが社会問題化しつつある。買い過ぎの結果として生じる過大な債務は自己破産などにつながり、さらに、買い物の高揚感とその反動の繰り返しでうつ病などストレス性の健康不安が生じるとみられているのだ。

 ECサービスを提供する企業にはこうした問題を解決する責任が問われるだろう。今後は消費者に対してカジノやタバコと同様の警告文を提示するよう外部からの介入があるかもしれない。追加的な購入を促すUI/UXの追求はビジネスの観点から重要であることは間違いないが、買い過ぎで顧客が破綻してしまっては元も子もない。

重要なところなので引用文がちょっと長くなっています。「買い過ぎ」に関してはすでにそう感じている人もいるのではないのでしょうか? 毎日のようにAmazonから荷物が届く、ちょっとした買い物も即日配送で買っている……などなど。

店舗での買い物よりECが便利になってきて、的確なターゲティングで欲しいものが買えそうな金額で提示され、さらにキャッシュレス決済の履歴から使えるお金も把握されていたとしたら、もう逃げられないかもしれませんよね。引用文の最後に書いてある文章を気にしておきましょう。

ブランド力のある企業はSDGsを意識しないとダメ

SDGsの時代、「長く使えるものを買う」消費者が9割以上。修理・必要最小限・中古も重視【博報堂調べ】 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/n/2019/11/20/34604

アディダス のサステナブル製品、4年で1500倍の売り上げ:「今後数年間の成長機会」 | DIGIDAY[日本版]
https://digiday.jp/brands/why-adidas-sees-sustainable-products-as-a-growth-opportunity-for-years-to-come/

まとめると、

  • 「生活者のサステナブル購買行動調査」(博報堂)で普段の買物時に意識していることを選択式で聞いたところ、トップは「長く使えるものを買う」(91.9%)だった
  • 「生産・製造時に環境に負荷をかけない商品を買う」は42.1ポイント上昇しており、今後さらに環境・社会に配慮している商品・企業かどうかが、購入時の判断基準になる
  • アディダスが製造したリサイクルした、海洋プラスティックでできたスニーカーは2015年にわずか7,000足だったが、2019年の販売数は1,100万足に到達する見込み

アディダスは顧客に、使い古されたあとも製品には本質的な価値があることを伝えている。そして、それを買い戻すことを申し出ている。アディダスが試みているのは、衣類が第二の人生を得る機会をショーケース化することだ。何でもかまわない。顧客が望むのであれば、汚れた靴下でも。再販できないものは、リサイクルに回される。こうした製品に引き続き活躍の場を与えるサステナブルな理由は十分にある
https://digiday.jp/brands/why-adidas-sees-sustainable-products-as-a-growth-opportunity-for-years-to-come/

サステナブルに関する意識が高まり、どんどん製造してどんどん消費する時代が終わりに近付いているようです。同じような商品ならリサイクルして製造されたものや環境に配慮した商品が買われるようになっていくでしょう。メーカーもそれに合わせていくので、製造→直販→店舗などで回収→リサイクルという流れも加速しそうです。

とはいうものの、PayPay関連の記事を読んでいると結局のところポイントと値引きじゃないか? と思ってしまうのですが(笑)。

中小企業のECこそ無駄なことを徹底的に排除

リピーターが生まれるECサイトの条件とは? 「ozie」の柳田社長に聞く中小企業が勝つための顧客対応 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/6991

まとめると、

  • 中小企業のECビジネスは“やらないこと”は“やらない”を徹底し、売るための業務や顧客対応にリソースを集中させるべき
  • 価格で勝つことが難しくなっている今、中小企業が今すぐに手をつけられるのが接客などの顧客対応
  • 物流費が高騰しているので、セール自体の採算が合わなくなってきている。売れば売るほど体力的にきつくなる企業が増えてくる

ECビジネスを手がけている企業が見るべきことは、「世の中をどうしたいか」といった視点じゃないかな。先を見て何をするか? 何をすべきなのか? 経営者や責任者はこうした視点が重要になると思う。

日本は今、人口減少時代に突入した。ただでさえモノ余りの時代に、低価格でたくさん売って利益を出すのは中小企業には難しい。このビジネスモデルで勝てるのは大手だけ。
─柳田織物 社長 柳田敏正氏

前述のSDGsの記事とちょっと関連していますよね。ただ売るだけの時代は終わっていて、世の中を良くする活動をしていかないと支持されなくなっていく流れです。特に中小ECはモールが強くなってきている昨今、このあたりを意識しないと先が短いと言うか、早めに見切りをつけないといけない感じです。どんなに忙しくてもやらないことを決め、やるべきことに集中していきましょう。

EC全般

「初回購入特典」を繰り返し狙うEC不正利用者、AIが突き止める | 日刊工業新聞社
https://newswitch.jp/p/19947

まずはモールにこの仕組みを入れてほしいですよね。そして、カートのASPなどに広がっていけばいいのですが。

資生堂、花王、パナソニックなど日本の21ブランドが1日で15.5億円以上を販売!【2019年「独身の日」まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7001

昨年は6ブランドだったので、来年はもっと増えそうな流れです。

LINEとヤフーの経営統合が小売業に与える「6つの影響」 | Agenda note
https://agenda-note.com/retail/detail/id=2163

ヤフーとLINEの統合でEC領域やPay系決済のシナジー効果はどうなる?【会見まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7000

ヤフー×LINE、経営統合でこれから決済業界に起こること | ITmedia Mobile
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1911/21/news068.html

具体的な動きは出ていないものの予想はできそうな感じです。中小企業は接客力だけでは勝てない気も……。

PayPay、登録ユーザー数2,000万人を突破 累計決済回数は3億回に | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/7213

PayPayフリマ、1カ月で100万ダウンロード突破 20%還元キャンペーンが奏功 | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1911/15/news102.html

PayPayフリマの送料0円キャンペーン終了、予定より2週間前倒し | BCN+R
https://www.bcnretail.com/market/detail/20191118_145773.html

あっという間にユーザーを獲得。日本人はバラマキに弱いですね。

プレシニア・シニアのネットショッピングに関する実態調査 | アスマーク
https://www.asmarq.co.jp/examine/ex201911senior-shopping.html

最初の記事と関連させると、オレオレAI的なものが出てきて買わされるシニアが増えてくるかも……。

ECサイトのリニューアルで失敗しないための「6カ条」。アダストリアやUAの不具合&メガネスーパー川添氏に学ぶ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/6996

経営、現場、マーケ、システムなど幅広くわかっている人がいないと上手くいきません。

今週の名言

目標達成のための努力はもちろん大切だ。しかし、その努力は顧客のために向けられるべきだ。ムリなノルマ達成のために向けられるべきではない。

予約サイト「一休」が予算達成に執着しないワケ それは「ユーザーのため」にならない | PRESIDENT Online
https://president.jp/articles/-/30721

会社のノルマなんて買う側には何にも関係ないですよね。誰を見て何をするのかを考えましょう。

筆者出版情報

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