しまむらが2020年秋以降にネット通販を本格スタート、新設したEC事業部など関連部門は取締役執行役員が統括
売上高は前期比4.4%減の5219億8200万円、同9.7%減の営業利益は229億8500万円、当期純利益は同17.9%減の減収減益だった、しまむらの2020年2月期(2019年2月21日~2020年2月20日)の連結業績。
2021年2月期はグループの統一テーマを“リ・ボーン”とし、しまむらグループの復活を掲げる。秋以降にも自社EC事業をスタートし、実店舗の強みと融合した新事業として新たな柱に育てていくという。
2月21日付でEC事業部を新設。商品部・販売企画部・広告宣伝部・市場調査部統括を担っていた取締役執行役員の齋藤剛樹氏が、システム部・EC事業部・物流部・貿易部を統括する。
しまむらは2018年7月に初めてのECビジネスとして「ZOZOTOWN」に出店したものの、2019年6月、出店コストの高さを理由に退店した。出店理由は、店舗がない地域や来店が難しい顧客の利便性向上、新規顧客の開拓のほか、「自社ECサイトを運営するためのノウハウの獲得」(しまむら・企画室)だった。
当初、自社ECサイトは2020年2月期までに開設する方針だったが、2020年秋以降にずれ込む。2019年1月にスタートした商品の店頭取置予約を行えるアプリ「しまコレ」と合わせてEC事業を軌道に乗せる方針。
アプリ経由で店頭に商品を取り置いた商品の注文金額は2020年2月期で約10億円。計画を大きく上回ったという。インフルエンサー企画商品(婦人服、靴・服飾雑貨)がけん引した。
EC事業スタート後は「しまコレ」のシステムを一新する。Web上の決済機能と個宅配送機能を追加し、商品面では「お客さまに支持されるEC事業としてのあるべき品ぞろえにする」としている。なお、「しまコレ」は2021年2月期中に200万ダウンロードをめざす。
しまむらがECを本格スタートする理由
小売業を取り巻く環境の変化があるという。
1つが販売チャネルの多様化。リアルとECの垣根がなくなり、CtoCやサブスクリプションECなどの拡大もあり、消費者の購入チャネルの多様化が進んでいる。
2つ目が消費者行動の変化。SNSで発信された情報の影響力の高まり、モノ消費からコト消費への移行、エシカル消費などがあげられる。
「小売業には、このような消費環境や消費行動の変化を機敏に捉えた、迅速かつ的確な事業の構築が求められている」とし、EC事業の本格スタートなどを決めた。
なお、しまむらでは、市場調査などで得た情報から、年代別、テイスト別にブランドの整理を進めていく。店頭調査で得た消費者の声を、商品の素材やデザイン、サイズスペックなどに反映。生産面では短期生産を拡大し、タイムリーなトレンド提案を行うようにするという。
過去の実績商品の繰り返しではなく、お客様に求められる商品展開を行います。(しまむら)