Digital Commerce 360 7/21 8:00

SEO対策で成功を収めたeコマース企業やコンサルタントは、検索エンジンの最適化には時間がかかることを理解しています。彼らは小売事業者に対し、オンライン検索をする消費者の検索方法を把握することから始め、そこから徐々に対応することを提案しています。

【EC企業のSEO対策】検索エンジン最適化の基礎と押さえておくべきポイントをFacebook、eBayなどのEC上級職歴任者が解説

Facebook、eBay、McDonald's、Targetといった企業のeコマースの上級職を歴任し、デジタルマーケティングを熟知しているアニヤ・チェン氏は、EC専業企業Taelor社の共同設立者兼CEO。会社設立を決意したとき他の多くの起業家とは明らかなアドバンテージがありました。

彼女は、検索エンジンの最適化を急いではいけないことを知っていました。チェン氏は、オンラインショップを立ち上げるすべての人に、SEO対策にじっくり取り組むことを勧めています。

検索エンジンのことはひとまず忘れてください」。チェン氏は『Digital Commerce 360』のインタビューでこう語っています。Taelor社は男性向けのアパレルサブスクリプションサービスで、スタイリストとAIを使って消費者1人ひとりに適した服を提案します。

Taelor社が運営するECサイト
Taelor社が運営するECサイト(画像は編集部がキャプチャして追加)

ノースウェスタン大学でプロダクトマネジメント、マーケティング、アントレプレナーシップの非常勤講師も務めるチェン氏は、世界最大のソーシャルネットワーク企業に在籍していた頃の話をするのが好きだと言います。

Facebookで働いていた時、「Facebook Wi-Fi」(編注:来客または来店者がFacebookページにチェックインするだけでインターネットに接続を行えるサービス)を各国で販売したんです。人々は "Wi-Fi "をすぐには検索しないことがわかりました。

「NBAの無料試合」や「クリケット無料」、「Netflixの番組」などを、まずは検索するのです。探しているものが見つかると、質の良い高速インターネットが必要だと気づき、「高速インターネット」と検索し始めます。そして、自分がいる場所のインターネットよりもWi-Fiの方が速いことに気づきます。

そこで初めて「無料Wi-Fi」と検索し、無料Wi-Fiは高速で利用できないことに気づき、有料Wi-Fiを探し始め、「Facebook Wi-Fi」にたどり着いていたのです。

SEO対策は、検索者を探すことから

Taelor社の顧客は、月額88ドルの定額料金で、毎月最大2箱の洋服を受け取ることができます。各ボックスには、ドレスシャツ、ジャケット、ポロシャツ、ヘンリーシャツなどの4つのアイテムが入っています。ドライクリーニングに加え、送料は往復ともに無料なので、衣類のレンタルと返却がとても簡単です。

2021年にTaelor社を立ち上げたチェン氏は、潜在顧客が検索でTaelor社を見つける方法を理解する前に、カスタマージャーニーを理解する必要があると考えました。そのためには、潜在的な購買者を理解する必要があったのです。

最初にすべきことは、ペルソナを特定することです。小さな会社であれば、自分でできることですよね。業界のリーダーを調査し、話を聞くことで、今業界がどこに向かっているのか、どこにチャンスがあるのかがわかります

次にチェン氏は、起業家20人ほどにインタビューを行い、彼らのペインポイントを理解することを勧めています。そして、数百人を対象としたアンケートを実施し、そのペインポイントを経験する人々がどの程度いるのかを把握します。

通常、このプロセスで、約20のペインポイントと数人のペルソナが得られます。チェン氏は、まず2つのペルソナを対象にマーケティングを行い、残りは無視するようアドバイスしています

そして、決定したペルソナにリーチするためのメッセージやポジショニングを作り始めるのです。

価値提案とターゲットペルソナを混同しない

この時点で、eコマース企業は検索エンジン向けに最適化する準備ができています。しかし、価値提案とターゲットペルソナを混同してしまうことはよくあることなので、「注意が必要だ」とチェン氏は言います。それは、検索で大失敗することになりかねないからです。

Taelor社の顧客層は25歳から35歳の男性。そのうちの60%ほどが独身です。エンジニアやセールスマンが多く、「彼らがファッションに興味がないことはわかっています」(チェン氏)。ただ、そこが厄介なところだったのです。

Taelor社を始めた当初、私たちの顧客の多くは非常に野心的で向上心のある人たちだと気づきました。取引を成立させたい、もっといい仕事に就きたい、など、彼らはより良いものを求め、目標を達成したい人達だったのです。

そこで、Taelor社の最初のマーケティングキャンペーンでは、潜在顧客に、サービスを利用することで「見栄えが良くなり、自信が持てる」ことを伝えました。

私たちは、それが素晴らしいアイディアだと思っていました。完璧だと思いましたが、うまくいかなかったんです。

見栄えを良くし、自信を持たせることは、ターゲットとなるペルソナのニーズとして認識されていたことがわかりました。しかし、それはTaelor社のサービスに加入してもらうための価値提案ではありませんでした

そこでチェン氏は、リスティング広告を利用し、オーガニック検索よりも早くコンバージョンにつながるキーワードを把握するなど、トライ&エラーを重ねました。そして、ペルソナが購入するのに十分な価値を見い出した提案を見つけました。それが、「買い物不要、洗濯不要」でした。

男性の多くは女性の影響を受ける

チェン氏は、Facebook、LinkedIn、Clubhouseなどで7万人以上のフォロワーを持つ「ミニ・インフルエンサー」を自称しています。同時に、アジア系アメリカ人の起業家、女性主導の企業、コンピューター・エンジニアとしてのプレゼンスも高いです。

オンラインやイベントで人々と話すことで彼女は、より良いワードローブを必要とする男性にアプローチするためのSEO戦略を完成させるための、重要な情報を得ました。「女性」です。チェン氏はこう言います。

多くの女性がサブスクリプションサービスを試したことがあります。つまり、男性の多くは女性の影響を受けているのです。

女性から影響を受けた男性潜在顧客は、Googleで検索し、Taelor社のコンテンツマーケティング、ニュース報道、Webサイトを探します。

サーチマーケターが教えるSEOのコツ

すでにSEO対策の計画を立てていても、休むのはまだ早いです。SEO対策には常にやるべきことがあるのです。

SEO検索対策で上位をめざす中小規模のeコマース企業にとって最初のヒントは、デジタル戦略の基盤をうまく構築し、消費者がどのように商品を検索するかをよりよく理解するために、キーワード調査から始めることです。

検索代理店Digital Neighbor社のエリック・リッターCEOは、『Digital Commerce 360』にこう話します。

まずは、AmazonやGoogleのサジェストを使うことです。キーワードの目標を明確に定義したら、WordPressやShopifyなど、CMSに組み込まれたSEO対策ツールで、2022年のWebサイトのベストプラクティスを実践するように設定します。

さらに、リッター氏は起業家に対して、「商品説明を具体的にすることは、あなたのビジネスを競合から差別化することにつながる」と説明。そして、こう言います。

他の多くのサイトでも似たような商品を販売しているかもしれませんが、説明文が潜在顧客に伝われば、消費者はあなたから購入する可能性が高くなるのです。さらに踏み込んで、詳細な商品説明の作成に細心の注意を払えば、WebサイトのSEOが改善されるでしょう。

SEOに価値を見出すeコマース企業

小売事業者は、検索にうまく最適化することで利益が得られることを知っています。

そのため、次の2つのグラフが示すように、マーケティング担当者の予算の大部分を検索が占めているのです。

デジタルマーケティングにおいて各媒体にマーケティング予算の何パーセントを充当しているか
デジタルマーケティングにおいて各媒体にマーケティング予算の何パーセントを充当しているか(出典:『Digital Commerce360』が小売業73社に実施した調査)
2021年に行ったデジタルマーケティングにおける各媒体での効果
2021年に行ったデジタルマーケティングにおける各媒体での効果(出典:『Digital Commerce360』が小売業73社に実施した調査)

Googleの「Core Web Vitals」で小売業のスコア改善

Googleは2021年6月、WebサイトUXの重要指標「Core Web Vitals」を発表しました。これは、ページ上で完了するまでにかかる時間によって測定される3つの活動で、ページのランキングに大きな影響を与えるだろうとされています。

  • 最大視覚コンテンツの表示時間(LCP)― ローディング、目標2.5秒
  • 初回入力までの遅延時間(FID)― インタラクティブ性、目標100ミリ秒
  • 累積レイアウトシフト(CLS)― 視覚的な安定性、目標0.1

Googleの発表から1年後。Search Engine Land社は、SEOプラットフォームのプロバイダーであるBrightEdge社の事例を引用し、小売業界のスコアが58%改善されたと説明しています

Search Engine Land社によると、Googleがこの取り組みを発表した当時、小売サイトのスコアが低かったことを考えると、これは特に印象的なことです。

2021年に行ったデジタルマーケティングにおける各媒体での効果
「Core Web Vitals」発表から1年後の業界別改善スコア(出典:BrightEdge)

検索がもたらす成功

Taelor社は現在、Facebookでチェン氏の部下だった検索マーケティングコンサルタント、ページの最適化を行うインドの小規模なチームと仕事をしています。

また、企業が従業員の福利厚生としてTaelor社のサービスを提供するという新しいビジネスも展開しています(Googleはその顧客の1つです)。Taelor社は現在、データ分析会社でもあります。アパレルブランドや小売事業者が商Taelor社の顧客に向けて商品をテストし、パフォーマンスに基づいてトレンドを予測することを可能にしています。

そして、金融界もTaelor社に注目しています。2022年4月、ベンチャーキャピタルのBling Capital社が主導する230万ドルのプレシードラウンドの資金調達を完了しました。Bling社は、GoogleとMeta(旧Facebook)の初期の幹部であったベン・リン氏が設立したベンチャーキャピタルで、これまでにLyft、Instacart、Squareなど10社以上のユニコーン企業に投資しています。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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