森野 誠之[執筆] 2023/11/21 8:00

梅酒を扱う蝶矢さんのネットショップ改善事例。とにかくデータを取得して、そこから判断&改善につなげているのが特徴的です。数字は誰が見てもわかりやすいので改善効果も把握しやすいですね。

ちょっとしたこともデータをとる習慣を

年30回以上のオンラインショップ改修で体験満足度が改善!梅酒の老舗が実践するストレスのないオンライン体験の探求と軌跡 | コマースプラス
https://commerceplus.jp/choya/

店舗で体験されたお客様が同じ梅を買うためだけに店舗に足を運んでもらうのはユーザー体験として好ましくないと考え、中身だけいつでもオンラインショップで購入できるようにする予定でした。

しかし、緊急事態宣言を受けてオンラインショップをやらざるを得ない状況になったので超特急で準備を進めました。

記事の前半は蝶矢の菅さんが実店舗を立ち上げるまでの話が書かれていますが、今回はECの部分だけにフォーカスして紹介していきます。それでも、ヒントが盛りだくさんです。

ネットショップ自体の構想はあったものの、コロナで前倒しになったとのこと。この時期は皆さんこんな状況でしたよね。

蝶矢店舗では、来店頂いたお客様に体験の満足度を5点評価したアンケートを実施していました。店舗の5点評価が平均80%に対し、オンラインショップは60%の結果でした。その結果を受け、すぐに店舗とオンラインショップの20%の満足度の差はどこから来るのかを調べ始めました。

店舗では、梅酒のテイスティングをしながら様々な種類の梅から組み合わせを選んで頂きます。その梅の種類を迷っている時のお客様の表情が笑顔なことに気づいたんです。

そもそも満足度アンケートを実施していたので店舗とネットショップの違いに気付くことができています。満足度調査は形式的になってアクションにつながらないこともありますが、明確な目的があるのでいざという時に役立つんですよね。データは欲しいと思ったときに集めだしても遅いですから。

そして、問題点に関してもデータだけから考えるのではなくて、目の前で起きていることから改善点を見付けています。このあたりの視野の広さが菅さんのすごいところです。

蝶矢梅キットのガラス瓶が割れたというクレームが発送分の3%で発生していました。

梱包方法を改善したり、パッケージの落下試験を何度も実施しました。その結果、今では配送時の破損によるトラブルを0件にすることができました。

梅のピッキングミスですね。100通り以上もある梅の組み合わせを間違わずに梱包するのは至難の業でした。

バーコードシステムを導入している物流会社に委託することで今ではピッキングミスをなくすことができるようになりました。

出荷時のオペレーション作業を1つ1つ時間を測っていた

出荷業務を別会社に依頼する際の見積査定もスムーズに行うことができました。

菅さんが行っている改善の一部をピックアップしました。ここでも数字で問題を把握しています。「ガラス瓶が割れることがあるから割れないようにしたい」という程度の状況把握では改善対象にするかの判断もできませんし、改善効果もわかりません。日々のデータの積み重ねがこうして生きてきます。

月に1-2件でも、積み重なれば年間20-30件になります。1つ1つの細かい改善がオンラインショップ全体のユーザー体験の向上と売上に繋がると考えています。

ネットショップに限らず仕事は日々の改善です。皆さんも気付いたことは改善していると思いますが、データを取って効果を測ることでその価値もわかってきます。手間に感じることも振り返ってみると必要なことが多いです。確実に積み上げるには記録=データを残すこと。覚えておきましょう。

今週の要チェック記事

EC担当者の熱量が原動力!ペッレモルビダのEC化率が30%に拡大した理由 | E-Commerce Magazine by futureshop
https://magazine.future-shop.jp/interview-pellemorbida

関係者が多くなるECは社内を巻き込むことが大切ですね。社内広報も頑張りましょう。

2050年、EC化率は39%に。小売業販売額の減少、実店舗の最適化、110億個を超える宅配便個数など小売市場の未来 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11593

ここまで増加して配達できる? と思いますが、そうなることに備えないといけませんね。

激安「SHEIN」よりも安い!新興EC「Temu」の衝撃 SHEINは新山千春のウェディングドレスで話題 | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/715541

引き続き話題の「SHEIN(シーイン)」と「Temu(ティームー)」。バチバチの争いはまだまだ続きそうです。つまり安い商品はこことの勝負が続きます。

“安い”だけで勝負できない現代の中国EC市場 国民の関心は市場価格と販売価格のギャップにある | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/13658

「中国人は『費用対効果』『将来への投資』」への関心が強い傾向にあります。

楽天、3Qの国内EC流通は12.6%増の4.4兆円 「ふるさと納税」駆け込み寄与、「SPU改悪批判」を一蹴 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/10146

インターネットサービスは順調に成長。あとはモバイルだけ。

後払い決済、4人に1人が「利用経験あり」。未利用者の決済手段はクレジットカードが最多、ポイントなどのお得さ重視【後払い決済サービス利用実態調査】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11585

コンビニ、キャリア決済、QRコードよりも利用者は少なめですが、ないと困るのが後払い決済。

Shopify構築日記 #167 新しいAppを導入するときってどうしてる? | 北山浩|Shopify構築日記書いている人
https://note.com/ec_zoe/n/n03e860376946

1人でやっているのなら好きにすれば良くても、企業で使うとなると慎重に進めないといけないです。

楽天出店者のみなさん、RMSの「商品別参照元」機能を使っていますか?回遊性の分析にとっても便利です! | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/231116-rakuten-reference-source-product/

売れない理由・売れる理由がデータにはあります。よ~く見てみましょう。

今週の名言

常に商品取材が舞い込む大創産業が、それでも企画を打ち続ける理由とは? | PRマガジン
https://blog.cd-j.net/featured-companies/daiso/

実際、キャラバンすると、どういう記者さんがいて、どんな情報を求められているか等も伺えるので、とても貴重な機会だと思っています
「声をかけたくても、かけづらかったんですよ」と言われたこともあったり。
そんなイメージを抱かれていたのかと思うこともあります(笑)

お客さんへのアプローチも自分たちから。待っていても反応は返ってきませんので。

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