スマホ・アプリコマース時代のマーケティング戦略

スマホコマースで成功するための近道はネイティブアプリの視点でUI/UXを考えること

オーディエンス(ユーザー)をデバイス横断で管理し、デバイス毎のUX戦略を取ることが重要

杉崎 健史

2015年5月14日 8:00

昨今、PC/ブラウザ中心で活躍していたEC各社が、アプリ市場に続々参入してきていますが、今回はその背景と実態について、ご紹介致します。

ECサイトは、約50%がスマートフォンでの購入の時代へ

代表的なECサイトである「ZOZOTOWN」と「楽天市場」の決算資料を見てみます。

スマートフォン経由での購入が増加し、直近では約50%がスマホ経由での購入となっています。現状のトレンドを踏まえると、2016年には60~70%まで増えるのでは?と推測できます。

特に、若年層はスマホの利用者が多いので、その世代が消費を担う時代が来る頃には、スマホ経由でのシェアは圧倒的になっているでしょう。

EC・小売業種がアプリ市場へ続々参入

どのような企業がスマートフォンアプリ市場に参入してきているか、Google Playの無料ショッピングカテゴリのランキング上位約50位を抽出し(2015年4月時点)、調べてみました。

大きく3つに分類できるます。1つ目は先行的にネイティブアプリファースト戦略を取っている企業群(メルカリ、Frill、LINEモールなど)。

2つ目はPC/ブラウザ市場を主戦場にしていて、クロスデバイス戦略を取るAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの企業群。

3つ目は、アプリを1つの重要なチャネルとして捉え、オムニチャネル戦略を取っているオフライン市場の小売業(ヤマダ電機、洋服の青山、ノジマ、東急ハンズ、ヨドバシカメラ、ビックカメラ)となります。

「世界でモバイルアプリの利用率が年々増加しているなか、伸張率が一番高かったカテゴリは、2012年:ゲーム、2013年:メッセージングアプリ、2014年:ショッピングアプリとなり、アプリの汎用性が広がり、市民権を得てきた」と第1回目の連載で記載しましたが、まさに、ネイティブアプリを重要なチャネルの1つとして、認識してきた証拠と言えるでしょう。

アクティブ率を測る為、主要アプリのレビュー数を比較

Google play無料ショッピングカテゴリのランキング上位(Amazon、メルカリ、楽天市場、Yahoo!ショッピング)の4アプリを比較してみます。通常、インストール数で比較するかと思われるでしょう。インストール数はプロモーションを増やせば、拡大することが可能です。重要なのは、「ユーザーがアクティブであるか否か?」という指標で、Google Playのレビュー数を比較することにより、「ユーザーがどのくらいアクティブに利用しているか?」を、おおよそ比較できます。

当社の保有するデータを活用し、この方法で調べてみました。比較期間は、2015年1月〜4月までの4か月間になります。

レビュー数だけの比較となりますが、クロスデバイス戦略を取るAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングと比べ、スマートフォンファースト戦略を取るメルカリのレビュー数が圧倒的。アクティブなユーザーを保有しているアプリ=「活性化しているアプリ」である事が明白となりました。

実際、メルカリ社が発表した1300万DL突破、月間流通総額30億円想定、売れた商品のうち約20%が1時間以内に取引成立、平均滞在時間43分など、驚愕の数字もうなずけます(参考記事)。

デバイスごとに見せ方を調整することが必要に

PC/ブラウザ視点でネイティブアプリを開発するのと、ネイティブアプリ視点での開発は大きく異なるため、スマートフォン特有のUX(ユーザーエクスペリエンス)が重要となります

たとえば、利用するユーザー、目的、場所、時間、ユーザー行動導線、スクリーンの大きさ、UI/UX、プロモーション戦略などを、PCとネイティブアプリで比較してみても、明らかに別物で、違いは明白です。

メルカリ社に関しては、ネイティブアプリファースト戦略を取ることで、アプリ特有のUXおよび、戦略に絞り込み、成功している代表例と言えるでしょう。

すでにEC事業を展開している企業は、企業特有のIDでしっかりオーディエンス(ユーザー)をデバイス横断で管理した上で、デバイス毎のUX戦略を取る必要があります。

これからEC業界に新規参入する企業であれば、成長市場であるネイティブアプリにフォーカスした戦略を取ることが、成功の近道となると思います。

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