瀧川 正実 2014/9/11 14:53

景品表示法への課徴金制度導入を検討している消費者庁に対し、公益社団法人日本通信販売協会は9月5日、同制度に関する意見書を提出したと発表した。制度を導入する場合は、事業活動を過度に萎縮させないよう、対象は故意の不当表示に限定すべき旨を意見表明した。

意見書では、「過去の事案も含めて、不実証広告規制に係る判断基準や内容の詳細が公表されない限りは、不実証広告規制に係る表示は課徴金の対象とすべきでない」と表明。事業者が表示を選択する場合、不当表示か否かは明確でない場合があり、優良誤認を恐れてしまうといった萎縮効果が大きいとしている。

法律案で、「違反行為を行った事業者自らが注意義務を尽くしていたことの証明があったときは、例外的に課徴金賦課の対象から除外するものとする」という概要については、「主観的要素として、故意の不当表示に限定し、また、事業者に故意があったことの証明は行政により行われるべきである」と指摘した。

課徴金については、「課徴金の額が150万円未満となる場合には課徴金を賦課しないこととする」という法律案に対し、「資本の額等によって区分を設けるべきである」と意見表明している。

消費者庁は不当表示を取り締まるため、景品表示法の課徴金制度の導入を検討。課徴金は不当表示があった商品やサービスの売上高の3%とする案を内閣府消費者委員会に提出している。法律案では、「課徴金の額が150万円未満となる場合には課徴金を賦課しないこととする」としており、該当商品の売上高が5000万円以下の場合は対象外となる。

景品表示法を巡っては、通販会社やEC会社が措置命令を受けるケースが多い。商品の原材料、原産国、品質などすべてをチェックすることは難しく、メーカーのパンフレットなどに基づいて広告表示を作成するしか方法がないためだ。

消費者庁は8月に景品表示法への課徴金制度導入に関する法律案の骨子を公表、パブリックコメントを募集していた。

担当編集者のコメント: 

メーカー商品やプライベートブランドを販売する通販・EC事業者は今回の課徴金制度の導入の動向をしっかりと把握しておいた方がいいだろう。近年、大手のテレビショッピング企業、名のある有名なEC企業なども不当表示で、措置命令を受けているケースがあるからだ。

その理由は、メーカーから仕入れた情報を確認することが難しいためだ。商品を仕入れた際、一般的にメーカーや卸業者から入手したパンフレットなどを基に、サイトに商品情報を入力するだろう。

ただ、メーカー側が記載した情報と、実際に商品に使われていた原料が異なったり、効果を示す数値が間違っていたりすることがある。実際こうしたケースで、措置命令を受けた企業を何社も見てきた。

人的リソースの問題なども含め、1つ1つの商品を確認していくことは困難に近い。消費者庁のホームページには、表示対策に関するQ&Aもある。こうしたことをチェックしていくことから対策を始めていきたい。

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