Digital Commerce 360 2021/8/12 8:00

オンライン通販事業者は大きな危機に直面しています。コロナ禍に直面して以来、倉庫や配送センターでは人員削減やソーシャルディスタンスの確保に必死です。小売企業はeコマースの需要増加による負担増の管理に苦慮していますが、今後もその傾向は続くでしょう。

ただ、オートメーションによってeコマースのワークフローが最適化されれば、他のタスクにリソースを割り当てることができるようになります。

オムニチャネル向けのプラットフォームを提供するBrightpearl社の調査によると、消費者の3分の2(65%)が、2021年のオンラインショッピングの消費額を2020年よりも増やすと答えています。事実、オンライン通販事業者の上半期の売上高は前年同期比で600%以上増加しています。

慎重に成長する

売り上げが増加するのは喜ばしいことですが、従来のピーク時以外の「需要の高まり」に十分に適応できていない小売事業者が多いのが現状です。オンラインで買い物をする消費者の需要の増加に対応できず、圧倒されてしまうことがあります。

その結果、注文を逃すこともあります。また、誤った受注、商品を売り過ぎたりし、消費者を失望させてしまうこともあります

これらの問題は、中小規模の小売事業者だけの問題だと思われるかもしれません。しかし、世界の大企業の中には、急な需要増加に対応するのに苦労している企業もあります。たとえば2020年、Microsoftは、新世代のXboxコンソールの予約受付を開始した後、さまざまな問題に直面しました。

このようなオペレーション上のトラブルはコロナ禍以降、重要な課題となっています。また、消費者の多くが経験していることでもあります。

急な需要増加による在庫切れや配送の遅れが増えたことで、消費者とオンラインブランドとの関係が大きく損なわれ、34%の消費者が「配送が信頼できないことで、オンラインショッピングに対する信頼が完全に失われた」と回答しています。

オートメーションで期待通りの配送を実現

オンラインビジネスを長期的に成功させるためには、オンライン注文をより迅速に、より正確に、そして従業員やエンドユーザーの安全を確保しながら処理する必要があります。それが実現できなければ、エラーや遅延のリスクが発生。販売者と消費者の間の微妙な関係をさらに悪化させ、結果的に再販の機会を失うことになります。

多くのユーザーがAmazonにロイヤルティを感じるのには理由があります。注文から配送まで、Amazonは完璧に処理するからです。Amazonは、スピードと利便性を支える効率的なエコシステムに数十億ドルを投資してきました。そのようななか、小規模なブランドは競合などとの競争に苦戦しています。

さまざまな市場で事業を展開し、需要が拡大している場合、効果的に対応するためには正しいオペレーションが必要になります。しかし、成長を求めるあまり、マルチチャネルでの販売競争を生き抜くために必要な、フレキシブルなデジタルオペレーションを持たないブランドがあまりにも多いのが現実です。

在庫管理や顧客とのコミュニケーション、配送を含むすべての重要な業務タッチポイントを上手に管理する術を持っていないのです。

このような状況は、最終的に、需要に対応できない脆弱なインフラ、サービスの失敗、カスタマーエクスペリエンスの低下につながります。2020年の調査では、25%の消費者が購入後に商品が在庫切れになった経験をしています。

オートメーションで解決

今の状況下、小売企業と倉庫はオペレーションを回すために、柔軟性と拡張性を維持しつつ、一時的な労働力、信頼性の低い労働力への依存度を下げる必要があります

それを実現するのが自動化です。注文処理から在庫、出荷までのワークフローを自動化することで、倉庫作業のために人が常駐する必要がなくなります

オートメーションによって、ソーシャルディスタンスが保たれ、従業員を守ることができるだけでなく、反復的な手作業によるヒューマンエラーのリスクを取り除くことが可能です。また、オーダーのピッキングと梱包を効率的かつ迅速に行うことができ、従業員の生産性が向上します。

オートメーションによってeコマースのワークフローが最適化されると、会社の成長やイノベーション支援など、他のことにリソースを割り当てることができるようになるのです。

Amazonは競合他社よりも速い処理スピードを維持していますが、中小企業もスピードアップしています。調査によると、出荷を自動化した小売事業者はオンラインでの注文を最大92%増加させることができます。中小ブランドでも、巨大なオンライン通販企業に取って代わる選択肢として、自らをアピールする機会が十分にあるのです。

ブランドが今まで気にかけていなかった小売モデルや技術が、コロナ禍によってにスポットライトを浴び、ブランドの復活や競争力アップに役立っています。

成長の前にオートメーションを

ボイスコマース、AR、新しいソーシャルメディア(Reels、TikTokなど)、さらにはWhatsAppなどによるアプリ内課金など、多くの魅力的な技術が新しい販売方法を可能にしています。

しかし、小売企業が成長を優先させることには注意が必要です。新たな販売方法を模索する前に、まず、現在の体制がさらなる需要の増加に対応できるほど洗練されているかどうか、自問する必要があるでしょう。

体制が整っていない場合は、販売チャネルや注文を、在庫や出荷と同期させる技術や、注文管理やフルフィルメントを自動化するツールを導入し、消費者が常に正しい商品を予定通りに入手できるようにしましょう。そうすることで、期待以上の成果を上げ、LTV(顧客生涯価値)を最大化することができます。

コロナ禍以降、顧客獲得のみに関心を持つ企業は、需要増に対応が追いつかず、カスタマーエクスペリエンスが標準以下になるというリスクを常に抱えています

一方、購買プロセスの各段階で優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することに注力し、さらに自動化を戦略的に導入して顧客の期待に応えるブランドは、長期的に高い定着率、収益性、成功を期待することができます

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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