Digital Commerce 360 2018/4/12 8:00

Web、モバイル、店舗を含むすべてのチャネルやデバイスで、カスタマージャーニーのステージに合わせてパーソナルで説得力のあるコンテンツ提供し、顧客のニーズに応えるには、オムニチャネルのインフラを整える必要があります。

インターネットのおかげで、現代の消費者は情報通で目が肥えています。そして、Amazon(アマゾン)のような世界最高峰のユーザーエクスペリエンスを体験しているため、他のブランドにも同じような体験を求めます。そんな消費者から買ってもらうには、卓越したカスタマーペリエンスやパーソナル体験を提供する必要があるのです。

小売事業者は、さまざまな方法でデータとアナリティクスを活用することで、パーソナルな体験を提供し、利益率を上げることができるでしょう。データとアナリティクスによって、ユーザーエクスペリエンスの最適化、個別プロモーションの展開、顧客の嗜好分析、カート破棄の減少、リアルタイムの機会活用、価格調整や在庫の管理などが可能になります。

残念ながら、多くの小売事業者は利用可能なデータを生かしきれていません。Retails Systems Research(RSR)社によると、「利益率を上げるために小売事業者たちが利用している方法や技術は、真に活用されておらず、最適化もされていない」そうです。

データに無関心な事業者は売り上げを落とす

消費者は、自分に関係ないプロモーションを提供する小売事業者を選ばなくなります。アクセンチュア社の調査によれば、66%の消費者は大勢のなかの1人として扱われたら、別のブランドに乗り換えると答えています※1

※1 編注:原文ではアクセンチュア調査と書かれているが、調査資料はセールスフォース発表のもの。
セールスフォースのグローバル消費者調査によると、顧客の66%は1人の個人として扱われることを望んでいる(編注:セールスフォースの資料を編集部がキャプチャし、追加)
https://www.salesforce.com/blog/2016/10/stats-from-state-of-connected-customer.html

同様に、セールスフォースの調査では75%の消費者が、自分の名前を覚えてくれている、過去の購買履歴からおすすめ商品を紹介してくれる、過去の購買履歴を把握してくれている企業から商品を買いたいと考えています。

ウェブ、モバイル、店舗を含むすべてのチャネルやデバイスで、カスタマージャーニーのステージに合わせてパーソナルで説得力のあるコンテンツ提供し、顧客のニーズに応えるには、オムニチャネルのインフラを整える必要があります。

データで差別化する

小売事業者が顧客に個別プロモーション提供するには、データを収集し、効果的に活用する必要があります。消費者から選ばれているマーケットプレイスは、小売事業者が消費者の動きを追跡し、SNSの活動をモニタリングし、豊富なデータを集めることを可能にしています。パーソナライゼーションに必須である、詳しい顧客プロフィールを作ることができるのです。

パーソナライゼーションは、包括的な顧客プロフィールを持つ中央集権的なデータベースを構築することで最もうまく機能します。プロフィールデータには、「年齢」「性別」「職業」「居住地」「オンライン上の行動」「過去のデータ」などの要素が含まれます。抜けている部分があれば、「Acxiom」「Datalogix」「Epsilon」「BlueKai」などのサードパーティが提供するでもグラフィックデータや行動履歴データを活用してみましょう。

消費者が何を欲しているのかを予想するのではなく、コミュニティを作ったり、チャットボットを活用してお客様の質問に答えたりすることで、より正確な情報を入手することができます。

アナリティクスとアクション

詳しい顧客プロフィールが完成したら、データを分析し、パーソナライゼーションに活用していきます。AIやマシンラーニングに基づき、簡単に使えるビジネスアナリティクスは、今はクラウド上で利用することができ、IBM、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、セールスフォース、アドビなど、さまざまな企業がサービスを提供しています

全米小売連盟のレポートによると、マシンラーニングに基づく最新のアナリティクスは、小売業界に革命を起こすそうです。フォレスターリサーチ社の調査にも、次世代のカスタマーエクスペリエンスを最適化するうえで重要な要素は、最先端のアナリティクスだと書かれています。

顧客にとって最も関連性の高いプロモーションを提供するために、小売事業者は最先端のアナリティクスを活用できるでしょう。キャンペーンの結果データを分析し、どの要因が最も売り上げに貢献したかを確認することができます。

消費者のリアルタイムの行動を把握できるシステムでクリックの流れを分析すれば、消費者がどんな興味を示したときに、どのようなトリガーを与えるべきか決定できます。たとえば、結婚式や卒業式がありそうな人、新しい車や家を買いそうな人には特別なプロモーションを提供できるのです。

サイト離脱やカート破棄に対して、カスタマイズされた個別メールを配信することで、販売損失を最小限に抑えられます。

在庫と価格の管理

データを上手に活用すれば、在庫や価格の管理など、さまざまな部分で利点があります。消費者は、在庫の状況がわかる小売事業者から購入する傾向があります。RSR社のレポートによると、在庫管理で得られた知見は、小売事業のサプライチェーン管理にも生かせるそうです。

データ活用が大きな違いを生むのは、「ダイナミックプライシング」(価格調整)です。アクセンチュア社が指摘するように、価格調整ほど小売事業者の利益率に直接的かつ大きなインパクトもたらすデータは他にほとんどありません。最近まで、「ダイナミックプライシング」が大胆にできるシステムは大変高額で複雑なものでしたが、現在ではボタン1つで価格を変更できる簡単なサードパーティのシステムがあります。

データはユーザーエクスペリエンスの最適化にも活用できます。「GlassBox」や「IBM」「TeaLeaf」といったソリューションを利用すればユーザーのセッションを分析することができ、モバイルのインターフェースでどのようにユーザーが動くのかもわかります。デザインで足りない部分や、ナビゲーションのネックになっているところを理解し、修正することもできます。

小売事業者がコンバージョン率を上げるために活用できるデータ分析技術は「Personali」「Dynamic Yield」「Segmentify」「Charodic」「Nosto」といった新しいタイプのパーソナライゼーションやレコメンデーションを可能にする企業が提供しています。このようなソリューションシステム使えば消費者がどこで離脱するのか、どこで接触してプロモーションを提供すれば購入が起こるのかがわかります。「MaxTrafiic」「OptiMonk」「Sleeknote」「Sumome」「OptionMonster」などのソフトウェアを使ってポップアップを表示し、メールアドレスを取得することも可能です。

新しいチャンスを最大限活用する

急速に進化していくマーケットでは、小売事業者が競争力を保つために活用できる、多くの新しい技術やデータソースが生まれています。マッキンゼーの調査では、IoTによって小売事業者に大きなチャンスがやってくると言われています。たとえば、IoTセンサーに送られるデータを活用すれば、消費者のリアルタイムな購買行動を追跡し、カスタマイズしたプロモーションを提供できるのです。

パーソナライゼーションのツールや技術を活用して、データにこだわる小売事業者は将来大きな利益を手にする可能性が高いでしょう。フォレスターリサーチ社の調査では、過去5年間でカスタマーエクスペリエンスに注力した企業は、遅れをとっている企業よりも売り上げが14%高いという結果が報告されています。データによって提供されるチャンスを最大限に生かすことによって、顧客を喜ばせ、競合を出し抜くことができるのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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