世界各国でホリデーシーズンが終わりました。蓋を開けてみると、アメリカを含む多くの市場で、“オンラインショッピングの利便性が店頭での買い物よりも勝った”という結果が出ています。

米国のホリデーシーズン売上は8割超がスマホ経由

全米小売業業界(National Retail Federation)によると、2019年のホリデーシーズン全体の売上高は4.1%増加。また、Adobeの調査ではホリデーシーズンのオンラインショッピングの売上高は1,425億ドルに上り、その84%がスマートフォンからの買い物だったそうです。

ホリデーシーズンのオンラインショッピング売上推移
ホリデーシーズンのオンラインショッピング売上推移(2016-2019)。Adobe「2019 Online Holiday Shopping Growth Driven Primarily By Smartphones」より編集部が作成

Amazonのベストセラー商品を見てみると、消費者はマスカラから調理鍋まであらゆるものを買いだめしていたことがわかります。

eMarketerの調査では、モバイルショッピングへの移行を示す新たな数字が示されています。アンケートの回答者の50%以上が、1か月以内に商品やサービスを購入するためにモバイルアプリを利用したことがあると回答。モバイルからのコンバージョンはオンラインショッピング全体と比較しても急速に伸びています。

1か月以内のスマホユーザーの利用動向
1か月以内のスマホユーザーの利用動向。eMarketerの「Smartphones Will Account for More than One-Third of Ecommerce Sales in 2019」より編集部が作成

この傾向は、最近までオンラインよりも実店舗に重点を置いてきた一部の小売業者にとっては難題かもしれません。多くの人にとって、物理的な店舗の存在はブランドのDNAと魅力を示す大きな要素です。

しかし、モバイルは顧客と店舗をつなぐ強力なツールになり得ます。今日、多くの買い物客がブランドや商品を最初に目にするのは、オンライン上に掲載されたモノであることがほとんどです。

今後、実店舗での強力な顧客体験とオンライン上での存在感を兼ね備えられる小売事業者が成功を収めることになるでしょう。では、小売事業者がモバイルに切り込む最善の方法は何でしょうか。いくつかのヒントを示します。

「Nordstrom」の組織体制に学ぶブランドロイヤリティ向上策

消費者が特定のチャネルに依存しなくなると、すべてのタッチポイントで同じ購買体験を期待するようになります。そうなると、多くの小売事業者は店舗とオンラインの目標を確実に一致させるために、大きな構造的な変化が求められるようになります。部門間の関係強化や、新しいチームの構築などがあげられるでしょう。

米国の大手小売事業者「Nordstrom」は、この流れをすでに理解しています。Nordstromは最近、新設したCOO(最高執行責任者)にケン・ウォーゼル氏(編注:Nordstromの最高デジタル責任者を歴任した人物)を任命しました。

この動きは、Nordstromおよび小売業界全体に大きな変化が起きていることを示すものとして解釈できるでしょう。Nordstromによると、ウォーゼル氏は「Nordstromのデジタル資産と店舗資産を統合し、消費者に一貫した購買体験を提供する」ための活動に尽力するそうです。

オンラインとオフラインの両方のビジネスのあらゆる側面を組み合わせて、統一された購買体験を消費者に提供するために、Nordstromは縦割りのチーム体制を壊す必要があります

このアプローチは、多くの小売事業者にとって運用レベルでもメリットがあります。たとえば、売り上げがそれほど多くない実店舗でも、実は大量の店舗受け取りを行っているということがデータでわかる可能性があります。総合的なデータに基づくアプローチを採用し、すべてのタッチポイントが消費者と意味のある関係を構築する機会であることを認識することが、ブランド・ロイヤルティ構築の鍵になるのです。

分析データを使用して消費者のエンゲージメントを高める

データは、デジタル化が店舗にもたらす最大の利点であり、データに基づく洞察によって、ブランドのビジネス戦略全体を強化することができます。

モバイルデータは従来、非常に縦割り型で活用されてきましたが、近年、モバイルが企業にとって消費者と最も近い接点であることがわかってきました。世界的に見ても、アプリ内で費やされる時間は2016年から2018年にかけて50%増加しており、この数字は今後数年で急増することは間違いありません。

パーソナライズされたコンテンツに対する消費者の需要が高いことから、消費者の目を引くモバイル広告を作成するには、データも不可欠です。これらの広告は、人口統計データや心理学的属性データ、過去の行動(閲覧したアイテムなど)に基づいて作成することもできますし、消費者がマーケティングチャネルのどこにいるかに合わせて調整することもできます。

その後、分析データを使い、どの商品やメッセージが最も消費者の共感を得るかを決定することで、キャンペーンをより効果的に研ぎ澄ませていくことができるのです。

モバイルへの移行に成功したブランドから学ぶ

モバイルの変革を始めようとしているブランドにとっては、困難な戦いのように見えるかも知れません。しかし、成功している実店舗ブランドはたくさんあります。

ファッションブランド事業を手がけるAbercrombie & Fitchの事例はとても重要です。Abercrombie & Fitchのアプリには、eコマースに必要なすべての主要機能を備えています。

洗練されたユーザーエクスペリエンス、注文のトラッキング、特定の商品の店内在庫があるかどうかをチェックできる店舗検索、カスタマーサービスオプションへの簡単なナビゲーション。また、決済サービスのVenmoとKlarnaとの提携により、消費者に多様な支払いオプションを提供しています。

Abercrombie & Fitchのアプリ
Abercrombie & Fitchのアプリ(AppStoreよりキャプチャ)

さらにこのアプリには、単なる買い物のための機能だけでなく、お気に入りのアイテムを保存する機能(カートへの追加とは別機能)、会員制クラブ、店内プレイリストもあります。これらのコンテンツはブランドへの親近感を醸成するための大切な要素であり、ユーザーがその時点では買い物をする気がなくても、アプリに再度チェックインする理由となり得るのです。

この戦略は、かつてのショッピングモールの猛者に恩恵をもたらしています。Abercrombie & FitchのCEOであるフラン・ホロウィッツ氏は2019年、「デジタルトラフィックの3分の2以上がモバイルからで、自社アプリはブランドの中で最も急速に成長しているプラットフォームになった」と述べました。

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モバイルは、従来の実店舗型小売事業者に、消費者にリーチして、理解するための新たな方法を与えてくれます。そして、最も個人的で普遍的なチャネルとして、消費者のカスタマージャーニー、嗜好、ネットサーフィンの習慣に関する重要なデータを提供してくれるでしょう。優れた店舗戦略とモバイルを組み合わせることで、小売事業者は競争の激しい市場で成長を続けることができるのです。

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この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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