特集:EC構築パッケージ オムニチャネル、スマホ対応などで市場が再び活況に
特集・ECサイト構築パッケージ

スマホ対応などサイト作りで知っておきたい支持されるベンダーの特徴~EC構築パッケージ特集

EC企業から選ばれるECサイト構築パッケージを提供する主要13社を徹底調査

中川 昌俊

2014年8月5日 16:41

ECサイト構築パッケージを使って通販・ECサイトを構築する事業者が増えている。スマートフォン(スマホ)やタブレットなど新たなデバイスの台頭、オムニチャネルの浸透などを受け、通販・EC事業者がこうしたトピックへの対応を急いでいるからだ。リアル店舗を持つ事業者は、オムニチャネル戦略を進めるためのECサイト構築パッケージに注視。通販・ECを主力にする事業者では、スマートフォン(スマホ)やタブレットなど、複数チャネルでの販売を一元管理するためのシステム投資を行うケースが目立つ。こうした市場の変化に対応するECサイト構築パッケージ提供社の中から、優れた機能や対応を提供している13社を取り上げ、それぞれの特徴や最新事例をまとめた。
 

増えるECパッケージ利用者 修正、新機能追加などに強み

自社ECサイト構築の形態は主に4つの分類に分けることができる。

最も広く利用されているのは、無料もしくは月額1万円以下でECサイトが簡単に構築できるASPカートサービスだ。こうしたサービスには基本的なシステムが揃っている。豊富なテンプレートの中から好きなデザインが決められるため、個人や中小企業の利用が目立つ。一方で指摘されることが多いのカスタマイズ性。住まいに例えてみると、賃貸マンションがASPサービスに近い。賃貸マンションは安価に借りられる一方で、壁に穴を空けたり間取りを変更するといったことは基本的にできない。

安価なサービスを利用してきた中小企業が成長すると、デザイン面、機能面などで支障が出てくる。こうした企業に最適なのが、月額固定費が1万円以上のASP型カートや、簡易なECパッケージだ。こうしたシステムは、さまざまな機能があり、一部はカスタマイズも可能。マンションに例えると、必要な設備がある程度備わっている他、部屋の細かな設備を好みのものに変更したりできる。一方で、部屋全体の間取りや基本的な設備を変更することは難しい。

こだわりのあるECサイト作りや、効率的な運営を目指すEC企業が取り入れているのが今回の特集で紹介するEC構築パッケージサービス。最近では、EC企業が要望した機能を基本機能で追加することで、カスタマイズを行う手間を省くシステムも出てきている。しかし、基本的にこのクラスのECサイトになると、カスタマイズで対応する機能が多い。

また、安価で利用できるASPや簡易的なECパッケージにはない受注管理や顧客管理など、情報の一元管理が行えるのも特徴だろう。マンションに例えると、分譲の一戸建てと考えると分かりやすい。設備はマンションよりも豊富で、自分の好みに建てることができるが、土地の大きさは制限されている。

さらに大規模なECサイトはスクラッチで構築されるケースがほとんどで、予算が1億円を超えるケースも珍しくない。これは土地からすべて自分で用意する一戸建てと考えることができる。

 

表 ECサイト構築サービスの基本的な評価比較
  主な提供社 メリット デメリット





















1万円以下で利用できるASPカート GMOペパボ、ブラケットなど 安価に利用できる 独自性が出せない × × ■■■■
月額1万円以上のASPカート GMOメイクショップなど 安価ながら独自性が出せる バックヤード管理機能が少ない ■■■
ECサイト構築パッケージ 今回の特集で紹介 基本的機能は揃える コストが高い ■■
フルスクラッチ 日本ユニシス、オラクル カスタマイズで自由に設計できる コストが高い。開発期間が長い × × 自由設計 ×

上記4分類の中でEC事業者の導入が増えているのが、月額1万円以下で利用できるASPカートと、EC構築パッケージだ。

月額1万円以下の構築パッケージは、基本的な機能を充実することで、一定規模のECサイトでも十分利用できるサービスを提供。スモールスタートを考える企業・個人の需要を満たしている。

ECサイト構築パッケージは、従来スクラッチで開発していた企業が利用するケースが増えている。スクラッチの場合、新たな機能を追加したり、外部システムの修正に対応させるといった変更がある度、開発コストがかかり、対応スピードも遅くなる。その点、パッケージではシステムで対応できるため、開発コストや対応スピードの面でも有利なケースが多い。

特にEC業界では新たなマーケティング機能が続々とリリースされるため、こうした環境に素早く対応するためには、パッケージの方が有利なケースが多い。従来、スクラッチで提供していた大手システム会社も、最近ではECパッケージも提供しているケースが多くなっている。

こうした、ECパッケージの利用が増える傾向は今後も続くと見られる。サービス提供会社も今後増える可能性があり、EC事業者は自社の事業規模やマーケティング方法、将来像、ビジネスモデルなどさまざまな要素を基に、パッケージ提供会社を選ぶ必要がある。

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