世界を先読み!日本独占配信 米国でもっとも有名なEC専門メディア『Digital Commerce 360』からの最新記事
海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

Nikeのスゴイ買い物体験を生み出す「店舗+アプリ」施策の裏側

ニューヨークのナイキ旗艦店は、支払いや試着の手配など、アプリを片手に買い物をする前提で設計されています

Digital Commerce 360

2018年11月29日 8:00

6階建てのNike(ナイキ)の実店舗では、ナイキのアプリのさまざまな機能がスムーズに連携し、スマートフォンでの支払いや、更衣室への商品手配、店舗のスタイリストとのスケジュール調整までできるようになっています。

ナイキの新コンセプトストア「Nike by Melrose(ナイキ・バイ・メルローズ)」がロサンゼルスにオープンしてから数か月後、ニューヨークにナイキの旗艦店がオープンしました。

6万8,000平方フィートの広さを誇る6階建ての店舗は、アプリを片手に買い物をすることを前提として設計され、スマートフォンでの支払い、更衣室への商品手配、店舗のスタイリストとのスケジュール調整もアプリでできるようになっています。

ナイキがショッピング用のアプリを発表したのは2年以上前ですが、機能を強化したのはつい最近です。5月末締めの第4四半期決算によると、オンライン売り上げの約40%がアプリ経由でした。同社のチーフデジタルオフィサーであるアダム・サスマン氏は、詳細な数字は明らかにしませんでしたが、「現在もアプリの勢いは衰えていません」とインターネットリテイラーへの取材で話しました。

ナイキのアプリをダウンロードすると、自動的にナイキの会員サービス「NIKE+(ナイキプラス)」のメンバーになり、割引、カスタマイズされたおすすめ商品の紹介、限定商品の案内が届きます。ブルームバーグのレポートによると、「ナイキプラス」の会員は、Webサイト「Nike.com」ユーザーよりも3倍も多く買い物するそうです。

「ナイキ・バイ・メルローズ」を訪れた消費者の「ナイキプラス」会員への転換率は、ナイキの他店舗の6倍になりました。また、ブルームバーグのレポートによると、ナイキが来店経験のある会員と、ない会員を比較したところ、来店経験がある会員はない会員よりもオンラインストアで30%多く買い物をすることがわかりました。

つい先日、ナイキはニューヨークの旗艦店に似た店舗を上海にもオープンしましたが、2分に1人のペースで会員が増えているそうです。「期待以上に、会員が積極的にアプリを活用している」と、サスマン氏は言います。

データを活用したカスタマーエクスペリエンス

ナイキのアプリはジオフェンシング技術を使い、店の周囲をデジタルの「フェンス」で囲っています。そうすると、アプリユーザーが来店した瞬間に察知できます。アプリ上で、「Nike App at Retail」(編注:スキャンや試着など店舗固有のアプリ機能や店舗内でロックを解除できるクーポンなどを提供するアプリ)のセクションが立ち上がり、最新のプロモーションやコンテンツが表示されます。

「ナイキ・バイ・メルローズ」では、試着用スキャン、商品情報表示用スキャン、予約、受取、ロッカー受取、QRコードを読ませてフリーギフトを自販機から受け取る機能など、さまざまな機能がテストされましたが、旗艦店でもそれらの機能が提供されています。

メルローズでの学びを活かして、この旗艦店のカスタマーエクスペリエンスをデザインしました。(サスマン氏)

たとえば、ナイキ・バイ・メルローズは地域密着型の店舗として、ロサンゼルス界隈で売れ筋の商品情報を提供していました。ニューヨークでも、ECサイト、モバイルサイト、アプリから得られる顧客情報を統合した上で、ニューヨーク地域での売れ筋商品を表示します。

サスマン氏は次のようにも言います。

データを活用して、お店の品揃えを消費者に伝えています。消費者は、購入商品を決めるために、その街で何が流行っていて、どんな商品が売れているのかを知りたいからです。(サスマン氏)

また、デジタルサービスを提供するAvionos社の共同創設者、ダン・ネイウィーム氏は次のように語ります。

我々は、消費者がどのように商品を見て、フロアを回遊するのかわかります。よりパーソナルなカスタマーエクスペリエンスを提供するためのインサイトがわかるのです。新しい旗艦店は、ナイキにとっても消費者にとってもウィンウィンのお店といえるでしょう。消費者はパーソナルなエクスペリエンスを手に入れ、ナイキは小売業界を脅かすほどの新商品や店舗を作るための情報を手に入れることができるのです。(Avionos社 ダン・ネイウィーム氏)

ナイキが追加した新たな店内アプリ機能

スピード支払いは、ニューヨークの旗艦店で利用可能な機能です。スピード支払いを使うと、その場で商品をスキャンして、購入できます。そして、各フロアにあるショッピングバッグコーナーで商品を袋に入れて、お店を出ることができるのです。

「ナイキ・バイ・メルローズ」では、「ショップ・ザ・ルック」(このスタイルを購入する)という機能が試されましたが、ニューヨーク店ではさらに大規模に同機能が展開されています。消費者が店舗内のマネキンをスキャンすると、各商品がアプリに表示されます。商品を選んで、サイズと色を指定すると、試着室にそれらの商品が準備されます。試着室の準備が整ったら、アプリに通知が届くのです。

サスマン氏は「デジタル的にも物理的にもサポートできる店舗デザインになっています」と言います。店舗のバックオフィスでさえも、「ショップ・ザ・ルック」の機能をサポートする設計になっています。ニューヨーク店のすべてのフロアで、マネキン着用の商品は一緒に保管されていて、店員が取り出しやすいような工夫がされています。

ナイキは、消費者の要望を探り、どんなサービスが成功しているかを見極めた上で、さらなるアプリ機能をニューヨークの旗艦店で展開する予定です。

店舗がオープンしたその日から、我々は学び続け、発明を繰り返し、新たなイノベーションを起こしていくのです。我々のプラットフォームは、アプリがあればどこでも展開可能です。うまく機能するものは、ブランド全体で活用していきます。(サスマン氏)

次の展開として、ナイキは来年の秋にパリにも旗艦店をオープンする予定です。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

この記事をシェアしてほしいタヌ!

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る

企画広告も役立つ情報バッチリ! Sponsored

AI時代を勝ち抜くEC戦略。レガシーシステムから脱却し、「Shopify」で実現するPDCA高速化とイノベーション 2025年12月23日 7:00 「声のする方に、進化する。」会社全体最適を目標とするワークマンの「補完型EC」 が実践する「レビューマーケティング3.0」とは? 2025年12月17日 7:00 「所有から利用へ」の潮流をAIで勝ち抜く。事例で学ぶレンタル・リユースビジネスの成功法則とEC構築術 2025年12月16日 7:00 「サムソナイト」「グレゴリー」のEC改善事例。CVR改善+購入完了率が最大45%増の成果をあげたアプローチとは 2025年11月12日 7:00 スマホゲーム「モンスト」ファンがお得にアイテムを購入できる「モンストWebショップ」はなぜ「Amazon Pay」を選んだのか。導入効果+UI/UX向上に向けた取り組みを聞いた 2025年10月30日 7:00 アンドエスティが「3Dセキュア2.0」の超効率的運用に成功したワケ。オーソリ承認率大幅改善、売上アップにつながった不正対策アプローチとは? 2025年10月28日 7:00 EC業界で市場価値を最大化する――「全体を見渡せる人材」になるためのキャリア設計 2025年10月27日 7:00 転売ヤーが引き起こすEC市場の混乱に立ち向かう! Shopifyパートナー・フラッグシップが提案する最新対策 2025年9月29日 8:00 14か月で累計売上30億円超え。 韓国のネイルブランド「ohora」の急成長を支えたEC戦略とは 2025年9月22日 8:00 生成AI検索が変える消費者の購買行動。UGC活用でサイト流入を最大化する 2025年9月10日 8:00